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45年越しの探したイラストの原書

2022.10.10 01:54

最初の出会いは本ではなくて。雑貨屋さんの輸入のメッセージカード。

姉が最初に発見して、私も釘付けになった。

それは 水の中に髪を流し大きく手を広げ、豊かな慈愛のあるれる笑顔をたたえた人魚とその数多の腕のなかの子供たち。子供たちには背に可愛いちっちゃなひれがあって。それぞれがそれはそれはさまざまな表情をしていて。

Illustrated Anne Anderson. Water Babies.と裏にあった。

もう一つはザリガニと少年?

絵のディーテール、時代は。そう、小学校頃からすでに私が金縛りに合う時代。何もその時代のことを知らなかった少女が、その時代の本や絵やアンテークのものを見るたび、手に汗をかいたり釘付けになる。

お小遣いを一気に使う意気地のない、そしてなぜか昔から姉がいつもさっさと選ぶと同じものは選べない見えない掟がこの姉妹にはあって。本当は私もその慈愛の母を買いたかったのだけれど。

結局ザリガニと子供を手にしていた。大きくなってから「なんで二つとも買わなかったんだろう」と後悔したもの。結局その雑貨屋さんはなくなり、しばらくみつけることもなかった。

そして。

中学校に入ると銀座のイエナ洋書に憧れて。その頃はネットもないし、洋書に触れる機会は少なく。ある雑誌から知った洋書屋さんにドキドキしながらいつまでもいたもので。

それでもなかなか子供がハードカバーを手に入れるという暴挙はできなかった。ペーパーバックや薄い絵本で挿絵の素晴らしいものを少しづつ。そういえば、同じ時代では森永のチョコレートのおまけに入っていた(確か「ハイクラウンチョコレート」)妖精の原書はようやく私のお小遣いでも買えたので少しづつ買い集めていたものだった。

そこで実は探していたのだ。Anne AndersonのイラストのWater Babiesを。Water Babiesはあった。しかしAnne Andersonではなく。似ているのだけれどそれは違うのだ。

ネットも情報も少ないその頃。探すのが楽しいところもあって。洋書を置いているところに取り寄せてもらうという知恵もなかったし、そこまではなぜかしなかった。

それから10年経って・・・。ヨーロッパに自由に行く機会があって。行く街々で古本屋を訪ねては探していた。あったらいいな ヨーロッパならあるんじゃないか、くらいの感覚で。ドイツではヴァッサーとWaterは言うらしいと調べたりもして。

結局出会うことはなかった。

その後さらに時を経て。ある時不意に例の姉から。

「八重洲ブックセンダーでね、聞いてみたのよWater Babiesないでしょうかって。調べてくれたんだけどつい先日処分?(転売ですかね)したらしいって。つい先日まであったらしい。もっと早く行ってみればよかったね」と言われた。ご縁のよくある ちょっとした切ない風が吹いていった。

取り寄せようまで今までなぜか思わなかった。地味に探して発見するという行為を楽しんでいたのだと思う。

そして今

ふと思い出して検索したら。一つ目は SOLD OUTだったけれど。

ありました。やっぱり。布のカバーのものが。便利な時代ですね。こんなに円安の今なのにね笑。

おいさき短いのかしらね?現代の便利さを使って手に入れてしまうなどとは。

それにしても

そんなに長い間忘れることなく、しかしふとそういえばと思い出す程度の淡い気持ちが45年も続くという。なんというしつこさ。

45年も経つと散財も許されるかな?幼い頃のカード一枚を大事に買う金銭感覚を今になってみなわらなければとも思う。

こちらはSOLD OUTでした・・・