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さいたま自死遺族の集い*星のしずく

彼の世と此の世の、わかちあい

2022.10.10 06:59

私は本来インドア派です。

インドア派でした。


お家の中で何か作ったり描いたり、空想に耽ったり、物語を綴ったり。


数日間外へ出なくとも程良く楽しめる。

猫の額ほどの自宅花壇のお花を眺めたり、それだけでも十分満たされていた、そういった生活を送っていました。



大抵いつもリビングには娘の有ちゃんが居ました。


友達と公園に遊びに出かける以外は、一緒にお絵描きしていたり、お菓子を作って食べていることが多かったと思います。

(中学に進学後、運動部に入部させてからは、そうはいかなくなりましたが)



そしてあの日、有ちゃんが先立ってからは、それまでの日常は一変、私は長時間家の中で一人で過ごさないように『工夫』するようになりました。

(心配する周囲の助言もありましたので)


ウォーキング時間を長く取り入れたり、向かいのお婆ちゃんちに長時間入り浸ったり…、外にパートのお仕事に出てみたり、複数の遺族会へ参加したり、カレンダーの空白を外出予定で埋めて凌ぐ…といった暮らしに変化していきました。


けれど、有ちゃんが還ってから6年目を生きる昨今は、休みの日に自宅でのんびり音楽を聴いたり、何か空想に耽ったりする時間が、以前のようにホッとできているな…と、変化してきていることに気づきました。


この連休中も、様々な宿題や、これからやりたいことの準備に費やしたりしながら自宅に籠もっているのも、特別しんどいとは感じません。



事後二年半後にやってきた、このニャンズたちの影響も大きいですね。



自宅に居るときの、喪失感や寂しさをさりげなく癒してくれてます。



ある時期から、有ちゃんとの対話を自然体で続けていることも大きいのかな。




そんな連休中、夢の中に有ちゃんが現れてくれました。


先立つ数ヶ月前に自宅の居間で、自分のお気に入りのぬいぐるみたちでテーブルまわりをぐるりと囲み、神妙な顔つきで何かを思い詰めていた、とある日の夕刻、あの場面です。



彼女は、自分自身がもう此の世では生きられない『こころの状態』に気づいていたのだな。


その苦しい状態を口に出せなくとも対話できたのが、お気に入りのぬいぐるみたちだったのだな。



声に出さずに対話する。


今の、私と有ちゃんにも近い状態。



………

うまく言語化できないのですが、あのときの有ちゃんのしんどさが、夢の中であれ、とてもリアルに伝わってきました。


こんなことは初めてなのですけれど、静かに静かに、私の心身に沁みてきたのです。



愛する者が自死したことへの怒りや悔しさ、やるせなさだとか、他責、自責でのたうちまわっているときには、聴き取ることのできない『物言わぬ死者の遺した想い』があるのでしょうね。



決して優しい穏やかなだけの夢ではありません。

けれど有ちゃんに寄り添い、わかちあえたと感じ、多少なりとも充実感がありました。





過日、今年のお盆に、さいたまの自宅に泊まった長女と、二人だけで過ごした夜がありました。


その夜テレビの地上波で、映画『天空の城ラピュタ』を流していたときに彼女はボソッと言い放ったのです。



「ラピュタはまだ観れるかな。となりのトトロはだめだ、今も観れない」



妹の有ちゃんが他界してから、姉妹二人の思い出が詰まっている『となりのトトロ』が観れないらしいのです。


自宅にも(有ちゃんのコーナーにも)、豚のポピーやムーミンと並んで、トトロのぬいぐるみがゾロリと取り囲み、供養をし続けていますもんね…。



実妹を突然自死で亡くした姉の気持ちを、私は全部を全部わかってあげられませんし、想像して心配するのが精一杯です。


それでも、只今のボソッとであれ、これもまた私の心身に沁み込んでくるような悲しみと痛みを感じ、言葉には詰まりましたが、とても大事なわかちあいの瞬間でした。



お姉ちゃんは、今もまだ悼み悲しみ続けているよ。


有ちゃんのことが大好きで、大事に思っているんだよ。



たくさんたくさん、声に出さずとも対話して、ずっと伝え続けたいことの一つです。

星のしずく*管理人




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