リコイルスターターが戻らない
さあ、いよいよ春一番も吹いて暖かい時期が近づいてきましたね。
そろそろRCカーでも走行させようとしまい込んでいたエンジンカーを準備しようかな、という時にありがちなトラブルをひとつ紹介します。
RCカー開発担当の宮崎がお届けします。
最後に走行させたエンジンをそのままにしておいた方によくある症状です。
リコイルスターターを引こうとしたら、ものすごく固いとか引いた後にロープの戻りが悪いなんて時ありますよね?
こんな時の対処方法を紹介したいと思います。
今回はインファーノのレディセット付属エンジンで説明します。
まずは説明書を参考にして、クルマからエンジンを降ろします。
この時、エアクリーナーとマフラーはまだ外さないでください。
これらを先に外すと異物がエンジン内に入ってしまうため、必ず洗浄後に外してください。
そして、エンジンに付いた汚れを落とします。
パーツクリーナーを使用すると、簡単に汚れを落とすことができます。
パーツクリーナーはホームセンターで入手することができ、他のメンテナンスにも使用できるので準備しておきましょう。
パーツクリーナーが入手できない時は、薬局で入手可能な無水エタノール(アルコール)を使用します。
これをマジックリンのようなスプレー容器に移して吹きかけます。
100均ショップでも入手できますね。
ちなみに、薬局には消毒用アルコールというものが半値くらいでありますが、こちらは約20%ほど水分で薄められているので、その分、洗浄力が劣るのと揮発後に水分が残るのであまりオススメしません。
余談ですが、安価な理由としてエタノールはアルコール飲料に入っているアルコールと同じ成分のため、酒税がかかります。対して、消毒用アルコールは消毒用と謳い、飲料に適さない成分を入れることで酒税がかからないため税金分が安価になっているようです。
ここで注意ですが、パーツクリーナーもアルコールもどちらも揮発性が高いので換気が必要なこと。そして、作業する手や指の脂分も落としてしまうので、作業時はゴム手袋の着用をおすすめします。
きれいになったら、エアクリーナーとマフラーを外します。
マフラーを固定しているスプリングは、ラジオペンチを使うと安全に外せます。
さあ、ここからは初めて分解する方はドキドキしてしまうかもしれませんが、全然難しいことはないので、ぜひ自分でチャレンジしてみましょう。
まず、リコイルスターターのビスを3本外します。
クルマのシャシーに使用しているプラスドライバーよりも1サイズ小さいドライバーを使用します。一番上のビスは、他の2本と長さが違うので覚えておきましょう。
そして、リコイルスターターユニットをゆっくり引っ張って外します。
少し左右にカタカタ動かすと外しやすいと思います。
ここで、リコイルの動きをチェックします。
動きが悪い場合は、スターターのロープに廃油が付いたりして固着したことが原因になっていることが多いです。そんな時は、パーツクリーナーをリコイルがスルスル動くまでたっぷり吹きつけて油を流し落とします。
作業中、樹脂パーツが白くなったりしますが、気にせず作業しましょう。
スルスル動くようになったら、いったんエンジンに取り付けてスターターを引いてみます。
ここで作動に問題がなければ、このまま元に戻してもらってokです。
もし、取り付けた後にスターターロープが戻らない時は、もうひとつチェックするポイントがあります。
まず、バックプレートのビスを4本外します。
そして、ゆっくりと引っ張り出します。
続いて、スターターシャフトが指の力で回るかチェックします。
ここはスルスルと表現するほど軽い力では動きませんが、ヌル~っと重い場合は下の写真のOリングを掃除します。
ここに古くなった燃料が固着しているため抵抗が大きくなり、それがリコイルスターターの戻る力より強いのでスターターロープが戻らないのです。
まず、ティッシュペーパーなどで油分を拭き取ります。
クリーナーを使用したいところですが、Oリングにクリーナーは使用してはいけません。なぜなら、Oリングが膨張してしまうためです。
次に潤滑油(なんでもいいです)を少しOリングに付け、スターターシャフトを洗浄して元に戻します。
これで軽い力で動けば、このままリコイルスタータを組み上げます。
大体はこれで完治するのですが、どうしてもダメな場合はバックプレートをユニットごと交換する必要があります。
後は、逆の手順で組み上げていけばokです。
最後に白くなってしまった樹脂パーツですが、WD-40やCRC666などの潤滑スプレーを吹きかけてタオルなどで磨き上げればokです。
と、メンテナンスの説明をしましたが、これは走行した後に行うメンテナンス+ちょっとしたことで予防することができます。
①燃料は最後まで使いきる。
ガス欠で止まるまで走行させても、実は少し燃料が残っています。
1日の最後は何度もエンジンがかからなくなるまでエンジンをかける。
これは燃料に含まれるアルコール分を完全になくすためです。
長期間放置するとクランクシャフトやベアリングにサビが発生するのを予防します。
②プラグを外してWD-40やCRC666をエンジン内部に吹きリコイルスターターを数回引く。
これもサビの予防のために行います。
③リコイルスターターのロープに付いた油分を拭き取っておく。
ちょっと長くなってしまいましたが、楽しんだ後はきちんとメンテナンスを行いましょう。
では。