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産経新聞記事についてのヤフーの謝罪

2018.03.06 02:41

 平成30年3月5日のヤフーに関する記事(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180305-00010005-bfj-soci)で、産経新聞の誤報について、ヤフーが公式謝罪をしたという。発端は、産経新聞が、今年2月8日、「沖縄の交通事故で米兵が日本人を救出し、後続車にはねられた」(昨年12月1日に起きた事故について同月9日配信)という自社の報道について、「日本人を救助した」事実が確認できなかったとして、お詫びしたうえで記事を削除したことにある模様。この記事を配信していた「Yahoo! ニュース」が3月5日、お詫びと訂正を発表したという。「ニュースを提供した責任」がその理由としている。

 一般に、訴訟などの場面では、ニュースを配信した業者が、配信した記事について、例えば、これによって名誉を毀損されたとか、プライバシーを侵害されたなどと主張して、損害賠償や謝罪広告を請求することがある。

 その際、ニュース配信業者は、抗弁事由として、配信サービスにすぎない=単に情報を媒介しただけという主張をすることが多い。わかりにくいかもしれないが、ニュースの情報作成・取材元は別にあって、そこが取り上げた報道を配信業者は、単に機械的に引用しているにすぎないから、自社には責任がない旨の言い分である。
 今回、ヤフーが、異例の謝罪をしたのには、沖縄という特殊事情に配慮したものと思われる。詳細は、上記冒頭の記事の内容に譲るが、平素基地問題などで地元沖縄県民から厳しい目で見られている米兵が沖縄で日本人を救助したのに、地元の新聞社がこの事実をスルーして取り上げなかったことを産経新聞が批判的に報道したもの。その後の琉球新報の反論を経て、産経新聞は事実を検証した結果、琉球新報、沖縄タイムスの報道姿勢に対する批判に行き過ぎた表現があったとした。

 「Yahoo!ニュース」では、産経記事の一つを「日本人救出で重体 米兵に祈り」という見出しでトピックスに選び、さらにトップページにも配信したという。 ヤフーは、「Yahoo!ニュースとしてもユーザーにニュースを提供した責任がある」としており、同社が産経の記事を配信する際に、見出しを上記のように付けたことや大きくトップ記事にしたことなどに責任の根拠を置いているかのようである。

 法的には、上記「配信の抗弁」(自分のところは、単に他社の記事を機械的に配信しただけという主張)を今回は引用しないということのようですが、今後、どのように使い分けられるのかがあいまいな感じがします。やはり沖縄という特殊事情に今回は根差しているのではないでしょうか。(文責 弁護士 福島政幸)