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A recollection with you

路地裏の猫

2018.03.06 16:04

私は元々飼い猫だった。


主は大変な旅好きで、毎日、私を連れ出してくれた。偶に面倒なときもあったが、出てみればやはり、楽しかった。

ある日、何故、必ず私を連れて行くのかと聴いたとき、主はこう答えた。


広い世界を一緒に見て欲しい。と。


旅先で、私を可愛いだの何だのと言う客に、主はいつも是と返した。心地よかったのは初めだけで、次第に嫌になっていった。言われるほど、容姿に自信はなかった。

満月に差し掛かったある夜、私はこっそり家を抜け出して、路地裏の猫になった。


たぶん私は、不特定な誰かに自分を評価されることが怖かったんだろうと思う。光に当たるつもりもないのに、無理矢理当てられてしまうのが苦痛だったんだと思う。臆病者になってしまった私に気付いて、なんて、伝える手段はなかった。


こんな私でも、愛されていいんだろうか。

不安は募るばかりで、消えてくれなかった。