秋の彼岸によせて
1.彼岸について
彼岸は、インドの古語のサンスクリット語で「悟りの世界」を意味する言葉です。 語源は、パーラミター(波羅蜜多)の漢訳語「到彼岸(とうひがん)」からきています。 パーラミターとは「完成する」、「成就する」などの意味があります。 煩悩や苦しみから放たれて自由になる、仏さまの悟りの境地にいくことがパーラミターです。
2.お彼岸をどうすごすか
ご先祖様の供養をすることはお盆と同じですが、生きている私たちが仏様の世界に心を向けて修行するための期間とされています。(お盆と違ってご先祖は帰ってきません)お中日を挟んで、私たちが①布施。②持戒。③忍辱。④精進。⑤禅定。⑥智慧の六つの徳目(六波羅蜜)を行い修行します。
3.六波羅蜜(ろくはらみつ、ろっぱらみつ)とは
①「布施」とは、見返りを求めず、財施・無畏施(恐怖を取り除き安心を与えること)・法施(仏さまの正しい教えを伝えること)を行うことを言います。
② 「持戒」とは、戒律を守ること。不殺(せつ)生(しよう)・不偸(ちゆう)盗(とう)・不邪(じや)淫(いん)・不妄(もう)語(ご)・不綺(き)語(ご)・不悪口(あつく)・不両(りよう)舌(ぜつ)・不慳(けん)貪(どん)・不瞋(しん)恚(に)・不邪(じや)見(けん)の十善(ぜん)戒(かい)などを守る。
③「忍辱」は、辱めを受けても耐え忍ぶということです。
④「精進」は、仏さまの教えを信じ、たゆまず怠らず人生を歩むことです。
⑤「禅定」は、時に心を落ち着けて自分を冷静に見ることです。
⑥「智慧」は、真理を見極め悟りを完成させる智慧のこと。五つの波羅蜜を実行し、中道を歩み、智慧(般若)波羅蜜を成就させることが仏教の目標です。
これらの修行はよく見ると私たちの毎日の暮らしの中でできることばかりですね。
無理せず出来ることから行ってみましょう。
(令和4年9月23日 秋彼岸会の法話)
「波羅蜜よりも腹一杯がいいにゃー。」とのことです。