Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

◇小さなきっかけが、大きな安心を

2022.10.16 00:00

「あれをやりたいけど…」と思いながら、なかなかやれていないことがあります。


今回はそんな話で、昨日マンションの事務所から買い物に出掛けた時の話です。


私の盲導犬・シエルの朝のトイレやブラッシングなどの世話を終え「さあ、買い物に行くよっ」と、シエルと一緒に部屋を出ました。

部屋を出てすぐの所にエレベーターがあり、ボタンを押しました。

いつもならすぐに来るエレベーターがなかなか来ません。

あれ?と思い、もう一度押して待ちますが、一向に来ません。

「ひょっとしたら点検などの理由で動いていないのかな」と考えました。

私は目が見えないので、もし点検などの予告の貼り紙などがあってもわかりません。

そのことは以前から心配していることでした。

それで、そんな時のためにエレベーターの隣にある非常階段を一度練習で使っておきたいと思いながらも、これまで出来ていませんでした。

今のマンションに引っ越して間もない時、一度非常階段で上がってみようと上がりかけたのですが、2段上がっては角を曲がり、またすぐに角度を変えるなど、細かく方向が変わるので、何階まで上がったのかが分からなくなるのが心配で、途中で辞めました。

そのことがあり、これまで階段を使ったことがありませんでした。


そんなことを考えていたら、エレベーターのドアーが開き「今、点検中で、あと30分くらいかかります」と、担当の男性が教えてくれました。

「やっぱり・・」と思い、私が居る3階から階段で降りることにしました。

先ほど出たばかりの扉の鍵を開け、もう一度部屋に入りました。

「さあ出掛けよう」と張り切っていたシエルは「えっ?」とけげんそうな顔をしていたと思います。

「確か前に、こんな時のためにと買っておいたシールがあったなぁ」と、引き出しの中を探しました。

有りました。 

ボタンのような7ミリほどの円形の突起があり、手で触って分かるシールを見つけました。

それをポケットに入れて、もう一度シエルと一緒に部屋を出ました。


部屋を出て、エレベーター横の非常階段の鉄の扉まで行き、恐る恐るドアを開け、私が出ようとするのですが、シエルは動こうとしません。

「エレベーターに乗るんじゃないの?間違ってない?」と言いたいのか、前足で踏ん張り、動きません。

「大丈夫だよ。今日はこちらの階段で行こっ」と、シエルをうながしドアをくぐりました。

ドアを閉めて、取っての下に目印用のシールを貼りました。

これで、上がって来た時に「ここが3階」と分かるようになりました。

クルクル回る階段をシエルが上手に案内してくれたので、下まで無事に降りることが出来、「降りれたねぇ」と、シエルにポンポンしながら二人の初の挑戦を喜びました。


買い物から帰って来て、今度は登りに挑戦です。

曲がり角度を変わる度に方向を確認しながら3階のドアまで到着し、シールを確認して、ニコッとシエルと笑い、今回の挑戦を終えました。


2年半の長い間「やりたい」と思いながら、なかなかその機会がありませんでしたが、今回偶然のエレベーター点検で、やりたかったことが出来て良かったです。

小さなきっかけと、たった一回の挑戦と、7ミリほどのシールがこれから先の大きな安心を与えてくれました。

今回のことは「もっと早くにやれば良かったね」も、教えてくれる出来事でした。 

にこっ!  

亀ちゃん

※写真はグランドで思いっきり元気に遊ぶシエルです。