誘拐犯はカラスが知っている 感想
2018.03.09 03:49
動物好きとしては見逃せなかったタイトル。
今まで、本格や新本格を含めミステリーはいろいろ読んできましたが、全編に渡って動物が捜査に(警察犬だけではなく、その行動が)貢献する作品は読んだことがない!
警察犬のビスマルクと候補のマックスの描写がとにかくかわいらしいです。
恋愛描写が入ると読みにくさを感じる厄介な質なので、今後が気にかかります。
*画像はAmazonより*
音信不通となった両親を探す世捨人・白井の元に、大学の後輩で警察犬ハンドラーの友美がたびたびやって来る。世間との隔絶を案ずる友美は、彼の愛犬マックスを捜査に駆り出し、しぶる白井を捜査に引っ張り出す。
動物屋敷に住まう白井の動物行動学者としての知識が、警察とは違った観点で真相へと迫っていく。
密室殺人の真相を知るのは同じ厩舎にいた馬だけ、手がかりの潰えた監禁場所への道しるべとなるのはカラス、盗まれた絵画を見つけたのは鳩、隠された宝石の行方を知るのは都会にいないはずの何者か。
ひとつひとつのミステリーが、白井の両親へと続くパズルのピースとなる。
犠牲者はもちろんいるし、悲惨な事件もあるけど、動物(動物の行動)が主点なので、えぐさのない事件が多い。
手のこんだ謎はないけれど、動物たちの習性が解決に関わっているので、一気に解き明かすのはちょっと難しいかも? 動物行動学は勉強になります。
白井が世間に関わらない理由は両親の音信不通、そちらの謎解きは手がかりが少なすぎて真相にはさっぱり近づけませんでした。
がっつりミステリーを読みたい人というよりは、空いた時間にさらっと読みたい人におすすめかも。