代謝のしくみ
http://www.shoku-do.jp/taisya/index.html より
~代謝のしくみ~
代謝イメージ ここでは、食の基本の第3項目として私たちが食べた物が体の中をどのように流れて変化していくのかを学んでいきましょう。
私たちが食べた物は、体の中をどのように流れ、変化し、使われていくのでしょうか?
食べた物はどうなるの?
私たちが食べた物のほとんどは、そのままの形では体内で利用する事ができません。食べた物は、消化・吸収を経て体内に取り入れられ、血液やリンパ液によって体の各組織へ運ばれて利用されます。
消化 ・・・ 食べ物を体内で利用しやすい形に分解すること
吸収 ・・・ 消化された食べ物の栄養素を血液やリンパ液に取りこむこと
代謝 ・・・ 吸収された栄養素からエネルギーや体に必要な物質を生成すること
消化とは、食べ物を体内で利用しやすい形に分解することをいいます。吸収とは、消化された食べ物の栄養素を血液やリンパ液に取りこむことをいいます。 吸収された栄養素からエネルギーや体に必要な物質を生成することを代謝といいます。
代謝の後に残ったものは、尿や便として排せつされます。この一連の流れによって、私たちの体は支えられているのです。
食べ物 → 消化 → 吸収 → 代謝 → 排せつ
消化のしくみ
消化とは、食べ物の栄養素を、口、胃、胆のう、すい臓から分泌される消化酵素によって分解する事をいいます。
口・胃・十二指腸(小腸)はそれぞれ運動しながら、消化酵素の働きによって、食べた物を小さく分解し、その後大部分の栄養素は空腸・回腸(小腸)で吸収されます。
吸収のしくみ
小腸は、十二指腸・空腸・回腸の3つからできています。
ほとんどの栄養素と水は空腸と回腸で吸収されますが、空腸の方が吸収が盛んです。
空腸と回腸の内壁は高さ約1mmのじゅう毛で覆われており、その表面にはさらに「微じゅう毛」が生えています。微じゅう毛の表面積の合計は人間の体表面の約5倍に及び、栄養素や水分をむだなく吸収します。
微じゅう毛の表面には、ここまで消化されてきた栄養素を種類別に選び、最小サイズの栄養素にして吸収する酵素があります。
じゅう毛の内部には血管とリンパ管が通っています。吸収された栄養素は、下の2つの経路を通って全身へ運ばれ、さまざまな器官で利用されたり、貯蔵されます。
腸の毛細血管→門脈→肝臓→静脈→心臓→全身へ
炭水化物、タンパク質、ミネラル、水溶性ビタミン、水
リンパ管→胸管→静脈→心臓→全身へ
脂質、脂溶性ビタミン
小腸で吸収されなかった水分とミネラルは、大腸で吸収されます。
大腸では、さまざまな腸内細菌が常に活動していて、食物繊維などを発酵によって分解し、排せつしやすいようにします。
代謝のしくみ ~吸収した栄養素を使う~
私たちは、食べた物から栄養素を取り入れ、それを活動するためのエネルギーや生命の維持に必要な物質に変えています。この営みを「代謝」といいます。
エネルギー源となる栄養素は、炭水化物や脂質、タンパク質の3大栄養素です。これらが体内で分解されて、それぞれブドウ糖、アミノ酸、グリセリンと脂肪酸になり、体に必要なさまざまなエネルギーに変わります。
また、代謝で大きな役割を担っている臓器が肝臓です。エネルギー源となるグリコーゲンを貯えて必要に応じてエネルギーを生成するほか、体に必要なタンパク質の生成・分解、コレステロールの生成、アルコールや体に有害な物質の分解や解毒などの働きがあります。ビタミンやミネラルの一部は、肝臓で行われる代謝に利用されます。
炭水化物の代謝
消化によってブドウ糖などに分解された炭水化物は、小腸粘膜から吸収された後、肝臓に運ばれます。肝臓に運ばれたブドウ糖は、そのまま血液中を運ばれて、各組識でエネルギー源として利用されるほか、肝臓や筋肉ではグリコーゲンとして蓄えられます。グリコーゲンは再びグルコースに変えられてエネルギーの生成に使われます。炭水化物からエネルギーをつくった後に残るものは、二酸化炭素と水だけです。残った二酸化炭素は吐き出す息から排せつされ、水は尿や汗となって排せつされ、体には残りません。
グリコーゲンの貯蔵量には限界があり、余分なブドウ糖は中性脂肪となって肝臓や脂肪組織に貯蔵されます。そのため、炭水化物を取り過ぎると肝臓や脂肪組織に脂質がたまり、肥満や脂肪肝につながります。
脂質の代謝
食べ物から取った脂質のうち、中性脂肪は膵液の消化酵素によってグリセリンと脂肪酸に分解されてから小腸で吸収されます。
その後、グリセリンと脂肪酸は再び小腸で中性脂肪に再合成され、リン脂質やコレステロール、タンパク質とともに「カイロミクロン」になってリンパ管に入ります。そして、胸管を通って静脈に入り、心臓を経て肝臓に運ばれます。
消化作用を受けて分解された脂質は、皮下、腹腔、筋肉の間などにある脂肪組織に運ばれて体脂肪として貯蔵されます。貯蔵された脂質は、エネルギーが不足すると必要に応じてエネルギー源として消費されます。炭水化物と同様にエネルギーをつくった後に残るものは、二酸化炭素と水だけです。残った二酸化炭素は吐き出す息から排せつされ、水は尿や汗となって排せつされます。
肝臓に貯えられた脂質からはコレステロールがつくられます。その大部分が胆汁の成分として使われますが、そのほか細胞膜や神経の成分となったり、ステロイドホルモンの原料になります。
タンパク質の代謝
食べ物から取ったタンパク質は、アミノ酸に分解され小腸から吸収されます。そして肝臓に運ばれたアミノ酸は一部がタンパク質に合成され、その他のアミノ酸は血液によって体の各組織に運ばれ、細胞を構成する成分や酵素、ホルモンなどにつくり変えられます。
いったん合成されたタンパク質は一定の割合でアミノ酸に分解され、絶えず新しく合成されるタンパク質と入れ替わっています。
不要になったアミノ酸から出るアンモニアは肝臓で尿素に変えられ、腎臓を経て尿中に排せつされます。
また、アミノ酸を構成する炭素、水素、酸素はエネルギーとして利用されるとともに、二酸化炭素や水となって排出されます。
排せつのしくみ ~便と尿ができるまで~
便ができるまで
水分の95%は小腸で吸収され、残りの水分と消化されなかった食物繊維が大腸へ送られます。水分は大腸で少しずつ吸収され、消化されなかった物はだんだん固形状になって直腸に入り、便として排せつされます。
栄養素は小腸でほぼ吸収されますが、食物繊維は人の消化酵素で分解できないため、大腸へ送られて便の主成分になります。大腸に消化酵素はありませんが、腸内細菌がいて一部の食物繊維を分解します。
タンパク質は一部未消化のまま大腸に送られ、腸内細菌によって分解されます。分解物質にはアンモニアなどの有害なものが多く、便やおならが臭くなります。また、十二指腸に分泌される胆汁の一部が大腸に送られ、排せつされます。胆汁はビリルビンという黄色い色素を含むので、便は黄色い色をしています。
尿ができるまで
栄養素は体内で利用された後、余分な栄養素や老廃物が血液によって腎臓に運ばれます。腎臓では糸球体で血液中の物質や水をろ過します。ろ過されたものの99%は尿細管で再吸収され、残りが尿として排せつされます。
取りすぎた水溶性ビタミンや不要になったミネラルも尿とともに排せつされます。