上場株式等の申告不要(平成29年税制改正)
確定申告お疲れ様です。
平成29年度の税制改正において
上場株式等の配当所得と特定口座の譲渡所得(源泉徴収あり)等について
申告不要制度を住民税についてのみ適用をすることが可能であることが明確にされました。
まとめてあるのは大和総研。
http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/20180201_012718.html
非常にマニアックな内容に見えますが、実は実務で非常によく出会っていたケースでした。そして、大体のケースは理解が得られず、烈火の如く納税者が怒りだしてクレームになっていました。役所に怒るケースもあれば、税理士に怒るケース、あるいは投資商品等を販売した金融機関等に怒るケースもありました。電話相談センターに怒るケースもありました。
所得税や住民税が還付になるからと申告をしたものの、社会保険料が住民税の課税所得金額をベースに算出されるため、還付額よりも保険料額の徴収が増えてしまうというケースです。あるいは、損失申告だからいいだろうと申告をすると、今度は医療費の負担割合が1割負担から3割負担に増えるというケースも散見されました。
なので、還付額を捨てて申告をしないという安全な申告や、どこまで申告をすれば最もよいだろうかというのを来年の医療費額を予想して数パターンの申告書を提示して選択してもらおうということもやっていました。
そういう選択肢を広げるためには、配当のパターンも多くあった方がよいので、複数機関に特定口座を開設し、銘柄も多岐にわたったほうが最適化しやすいという投資行動になります。
今後は所得税だけ申告をして住民税は申告をしないというパターンが増えましたので、納税者にとって選択肢が広がり、ますますパターンが増えるものと思います。
本質的には、特定口座や上場株式配当であっても当然所得であるのですべて合算して算出すべきものと思いますので、社会保険側で改正をすべきです。また、収入金額を例外規定等に使うのは間違いと思います(収入が多くても損をしている人もいっぱいいる)。厚生労働省と財務省は税と社会保険の一体化の中でこの複雑怪奇な制度の中で多くの納税者が涙を流してきていることを反省すべきと思います。
条文は福島県田村市のページにありました。
http://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/7/haikabukoujyo.html
練馬区ではオリジナルの申告様式を用意してなるべくわかりやすく申告をしてもらおうという意図が伺えます。非常に良い取り組みと思います。
http://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/zei/oshirase/kazeihoshiki-sentaku.html
自治体によっては職員が全然わかっていないケースもありますので、不安なときは税理士に相談してください。