帰りたくない
2018.03.09 15:03
今朝あびくんが死んでしまって、
その後泣いた。
とても悲しくて、
泣いた。泣いた。
今日は朝から晩まで仕事が入っていたので、
午前9時、私は家を出た。
そして午後11時半をすぎ、
私は今、電車の中にいる。
仕事仲間に誘われて、
晩御飯を食べてきた。
とびきりおいしい梅酒を飲み、
おいしいそばを食べ、日本酒を飲んだ。
杯を重ねても、
私は酔わなかった。
こんな日は、酔えないんだね。
そして気づいた。
家のベッドにあびくんを寝かせているのに、
私はなかなか家に帰らない。
もしかして私は、
家に帰りたくないのではないか?
あびくんのあの寝姿を、
私は見たくないのではないか?
たくさんの人がSNSを通じて、
追悼の意を述べてくれた。
それを見るだけでもう、
気持ちがいっぱいいっぱいだった。
もうすぐ家に着く。
あびくんはどうしているだろうか?
そんな心配も、もうできない。
悲しいことだ。
寂しいことだ。
帰りたくない。
あびくんはいるけれど、
生きたあびくんがいないあの家には、
帰りたくない。
きっとものすごく冷たくて、
ものすごく固くなっているにちがいない。
いやだ。
そんなあびくんは見たくない。
電車は最寄駅に近づいている。
帰りたくない。
帰りたくない。
でも、
帰りたい気もする。
死してなお、
やわらかなあの毛並みに、
弾けるような弾力のあの耳に、
また触れたいと私は思う。
あびくんはどうしているだろうか。
あ、眠っているだけか。
眠っているだけか。
眠っているだけなのか。
起きてくれないかな。
もう一度、もう一度だけ、
起き上がってくれないかな。
あのかわいいお顔を、
あのお目目を、
私に向けてくれないかな。
いいよ、
そうしてくれたら私は帰る!
そんなことをついつい、
考えてしまうの。