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段取り9割の心意気で臨みクレームゼロの現場を実現!

2022.10.24 03:00

ミス・トラブルが激減!スマート現場管理

現場で発生したミスやトラブルは、即クレームにつながりかねない。また、ミスやトラブルで工事がストップすると、工期が長くなる。すると粗利の低下も招いてしまう。スムーズな現場進行は非常に重要だ。各社の現場管理担当のスペシャリストに、アナログ、デジタル両面での運用術を取材し、効率的に賢く現場を管理する方法を探った。



段取り9割の心意気で臨みクレームゼロの現場を実現!

現場管理を「オーケストラの指揮」と捉え、事前に施主や職人と調整を重ねて万全の体制をつくり上げる、ジョン石橋ビルダーズの石橋直治代表。数字に基づく明確な工事品質を目標に、現場でも着実に施工を進め、写真による証拠も毎回残し、トラブル知らずの現場管理を実現している。



言った言わない論争を起こさせない周到な準備

宅建の資格を持つ妻と、二人三脚で会社を運営するジョン石橋ビルダーズの石橋代表は、「現場管理は段取りが8〜9割。そして、全てを証拠として文字に残せばトラブルは起きない」と断言する。

石橋代表は、打ち合わせや現調で、顧客に客観的データや詳細な診断結果を見せ、写真入りの見積書や工事のレジュメなど充実した提案資料を渡す。すると、いざ現場が始まった時には、施主からの問い合わせはほとんどない状態になっているという。

「『請け負け』という言葉があるように、言った言わないという論争になると、請けた側の立場が弱い。だからこそ『こちらがこれだけ伝えていたのに、なぜ先に言ってくれなかったのですか?』と言えるレベルまで情報共有をするのです」。

既存のシステムを使わない、その独自の手法を見ていこう。



予め工事品質の合格基準を明示し竣工後、実際に測定して証明

床は品確法に基づき2~3/1000未満の水平を合格、防水下地のコンクリートは高周波水分計で8%以下を合格とするなど、予め明確な品質合格基準を施主と職人に伝える。竣工後には様々な計測機器を使い、検査結果を撮影してデータをしっかりと残す。



作業終わりの職人は必ず東西南北の写真を送付

現場管理は「オーケストラの指揮」と考え、なるべく現場が重ならないように調整し、乗り込み日には必ず朝一で行く。当日は7時半に現場近くの駐車場に到着し、工事にまつわる各所に電話して遅延の有無を確認。全ての状況を把握したうえで8時半に施主に挨拶をし、9時に工事を開始する。

「解体するとやはり想定外のことが色々出てくる。動き始めさえすれば、後はスムーズに進むので、その後は訪問日を決めて行きます」。訪問日は工程表に組み込み、施主や協力会社と共有する。施主には職人と直接のやり取りはせずに、必ず自身を通してもらうようにもしている。工事品質は、住宅品質確保促進法などに基づいて明確に数値を定めている。職人には、工事工種ごとの品質合格基準を書面で示し、朝の打ち合わせ時に口頭でも説明して渡す。「『聞いていない』『忘れた』と言わせないのがコツ」だ。1日の作業終わりには、ビフォー写真とともに、全景・中景・近景の写真を東西南北撮って送ってもらう。また、現場に貼った当日のTODOリストにレ点チェックのうえ、リストの撮影・送付も義務付けている。念には念を入れて、確実な証拠を残してトラブルを回避するのだ。



現場監督として5Sの徹底に目を光らせる

同社の工事領域は多岐にわたるため、6割はレギュラーの協力会社だが、4割は単発の依頼となる。「タバコを吸わない」「安全・品質意識があるか」「マナーがちゃんとしているか」など職人の資質を見極めたうえで依頼し、5Sも徹底させる。石橋代表自身は2週間に1回顔のピーリングやネイルケアまで行う。「『爪きれいですね』と結構言われて、それも良い印象につながっていく」。清潔感のあるミントのスプレーを体に振り、施工後のトイレや浴室などにも一振り。匂いで爽やかさを演出するなど芸が細かい。細部にまで目を光らせて行き届いた対応を行うことで、ジョン石橋ビルダーズでは満足度の高いリフォームを行い、高粗利も実現している。



《現場をスムーズにする 段取り1》
顧客が知りたい情報を簡潔な表で説明した後、詳しく問診する

▲初回の顧客打ち合わせで、顧客が知りたい情報を詰め込んだ、A4の紙1枚の簡潔な表を用いて会社の特徴を説明。

▲その後、顧客の住環境や生活習慣を客観的データに落とし込める「問診票」を用いて詳細なヒアリングを行う。



《現場をスムーズにする 段取り2》
客観的データに基づくリフォーム案を示す「診断報告書」を提出

現調後の改修の提案は「診断報告書」として1枚の紙にまとめる。診断結果を一目でわかる表にし、100字程度の短いテキストでポイントだけ示す。「今回の対応」で施工方針を示し、「今後の対応」で将来的なリフォームの提案まで、この1枚の中で行っている。



《現場をスムーズにする 段取り3》
リフォーム後のイメージを共有できる写真入り見積書を出す

下は、和室をフローリングに変更する工事の見積書。ビフォーアフターのイメージ写真とイメージパース、床材のカラーバリエーションなどビジュアル要素も一緒に入れることで、この1枚でイメージの共有までが一息にできてしまう。



お話をうかがったのは…

ジョン石橋ビルダーズ(東京都世田谷区)代表取締役 石橋直治さん

ゼネコンで施工管理の経験を積み、30歳で独立。40歳でジョン石橋ビルダーズを設立。建築にまつわる知識で穴がないように、多数の資格を保有。妻と2人体制ながら、リフォーム評価ナビで東京都内で受注1位を誇る。



リフォマガ2021年9月号掲載



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