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渡辺音楽教室

ブルグミュラー 25の練習曲 作品100 21.天使の合唱 - L' Harmonie des Anges

2022.10.21 06:56

子ども、初心者用の練習曲としておそらく世界で最も知られている「ブルグミュラー 25の練習曲」。練習曲というとツェルニーが思い浮かべられるますが、こちらはかなりメカニック重視の曲ばかりで面白くないとの評価もあります。そこで出てきたのがかのショパン・エチュード。練習曲としての体裁がばっちりありながら芸術性も高く現在でもピアニストが必ず通るバイブルとして世界中に知れ渡っています。ところがショパン・エチュードはちょっとそっとのレベルでは弾くことが出来ません。挑戦するには最低でもツェルニー50番以上の技術が要求されます。

練習曲もそうですがピアノの良い曲、芸術作品はどうしても高い技術力を必要とするものが多く初心者にはなかなか手が出せません。だからピアノは奥が深いとも言えますが、あるところでは敬遠される理由です。

それほど簡単な技術力で弾ける名曲って少ないです。ところが「ブルグミュラー 25の練習曲」はある意味それを成し遂げてしまった。

曲想もバラエティに富み音域、調性、拍子、強弱、テンポなどの面からも周到に計画された曲集となっています。初心者が次のステップとして入るのに丁度良いものです。

作曲者は、ヨハン・フリートリヒ・フランツ・ブルクミュラー。ドイツの音楽一家の家庭に生まれで父は、音楽家として活躍。弟は音楽の才能があり天才として名が通っていましたが残念ならが26歳で亡くなってしまいました。

ブルクミュラーは1874年68歳で亡くなったと記録されてますのでそうすると生まれたのは1806年?ショパンやリストよりちょっと年上。ロマン派の時代です。

そんな時代に有能なピアノ教師として教育作品を残すことで名を残すって凄いことです。

21.天使の合唱 - L' Harmonie des Anges

タイトルにもあるように天使の歌声をほうふつさせるきれいな曲に仕上がっています。19曲目アヴェ・マリアもそうですがペダル必須の曲です。ペダルは和音構成音、凝る音などを考慮し踏み分けます。上声音を響かせるためにはバスなど下声音をよく押えて弾きます。こうするとピアノの倍音が出やすくなります。3小節目から音の構成の変化、音域が下に移り広がりが出ます。こうした音の移り変わりポジション移動によって情景を巧く表現します。

9小節目からホ短調に移調されます。ピアノから始まりますが下声部がよく押えられてないと高音になったとき響かなくなるので深いタッチが必要です。16小節目でB Majorの和音で一旦区切られ次からまたテーマが始まります。繰り返された後、コーダに入ります。Gセブンスやc minorなど借用和音で音楽が彩られます。28小節目は天使が天から降りてくるように印象的に弾きます。セカンダリードミナントAナインスを経て終止します。

渡辺修司(わたなべしゅうじ)

1967年生まれ、埼玉県出身。

日本大学芸術学部音楽学科首席卒業、同研究科修了。専門:ピアノ、作曲、声楽。

2022年10月、31年勤めた紀伊國屋書店を退職。自宅で音楽教室を開講。

週末、音楽活動を行っている。ピアノのほか、バイオリン、フルート、ギターなども演奏する。クラシックからジャズ、ポップス、アニソン、演歌まであらゆるジャンルをこなす。

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