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藤田晋 invitational RTDリーグ

まさかの鳴かず!小林が語る鳴きの基準とは!?白鳥まさかのリーチ、その意図は!? RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 9-12回戦レポート

2018.03.11 10:00

3/5(月)および3/8(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 9-12回戦の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。


▼▼▼BLACK 9回戦:内川、冷静なダマテンで初トップ▼▼▼

前回までの成績はこちら↓

ここまでトップなしで最下位の内川。早くもマイナスが200を超えてしまった。

序盤戦ながら、こうなると大振りしたくなるものだが、内川は冷静なダマテンで場を制していく。

内川、まずはこのマンガンテンパイをダマテンに構える。

6sのスジにかかった3s待ちとはいえ、リーチ宣言牌が1sでは3sがケアされてしまうからだ。

とすると、宣言牌がペン3sに絡まない3mを手出ししてのリーチはどうだろうか。リーチしないにしても、手出しを入れて、少しでも1s付近のケアを外したい。

しかし、内川は、これもツモ切りとする。

この3mを手出しすると、下の三色に相手の意識が向いてしまう。

それならば、この後マンズとソウズだけを引いてツモ切りした場合に、ピンズのホンイツに見えるかもしれない可能性を残した。

内川の狙い通り、その後にドラを含むマンズとソウズのみをツモ切りし、これによって「ピンズのホンイツだと思った」と言う多井が、ドラをチーしてこの形になったところで3s放銃。

内川の冷静な選択が、多井をミスリードしてのアガリを引き寄せた。

すると、オヤ番でも2p3枚切れの2p5pを堅実にダマテンに構え、4000オールで内川が今期初トップを飾った。


▼▼▼BLACK 10回戦:我慢だけでトップを取ってしまう瀬戸熊▼▼▼

先制するも、その後に萩原・村上に追いつかれてオーラスを迎えた瀬戸熊。

とにかく我慢に我慢を重ねていた瀬戸熊は、アガリトップのオーラスも苦しい配牌からドラを切らずに我慢していたところ、そのドラが重なった。

ドラは直前に1枚切られていたこともあり、すぐに河に放たれてポン。

とはいっても、アガれそうにないリャンシャンテンである。


この仕掛けに対し、役ナシながら萩原にテンパイが入った。

リーチすれば出アガリトップだが、瀬戸熊への放銃で3着転落があるため、ダマテンで将来的なオリなどのオプションを残す。


ここに、村上からリーチ。

すでに2フーロ目を仕掛けていた瀬戸熊も、この3mをチーしてようやくテンパイまでたどり着いた。

アガった者がほぼトップ!激熱3人テンパイの結末は・・・

次巡、村上が掴んだのは4p!

これで瀬戸熊のアガリとなった。

「2着でもいいと思った」と語る瀬戸熊が、我慢に我慢を重ね、辛勝を収めた。


▼▼▼BLACK 11回戦:萩原、白鳥、小林、三者三様の選択▼▼▼

個性あふれる選択が目立った11回戦。今回の観戦記ではこの11回戦を厚めに紹介しようと思う。

まず、面白い手が入ったのは萩原。

三色を見て切り出したい7m8mがドラターツになっている。

少し脱線するが、平易な何切る問題を一瞬で難問に変える方法がある。それは「切りたい牌をドラに設定する」である。

市販の何切る問題で、自分が最初に選んだ打牌をドラに変えてみてほしい。そうすると、手牌は途端に全く違う表情を見せ、何切る問題を2度味わえてお得だ。

ということで、切りたい牌がドラになっているため、この手はやや悩ましいのである。

しかし、そこに座っている打ち手が萩原聖人なら、打牌は7mに決まっている。

もうそこに見えている三色を追わない1打など、萩原には存在しない。

とはいうものの、今回の何切る問題では、この7mが一般的な正解のようにも思える。

ドラターツを残してもタンヤオが確定しないため、ドラターツを外してタンヤオを確定させつつ三色というおまけを狙うのは合理的な選択といえるだろう。

実際には、三色にならない方が入って松本のリーチ現物待ちで1300のダマテンをアガリ切った。


続いてもう1つ萩原。

ドラ3で打点十分のこの手は、アガりやすさだけを追えばよいため、一般的な正解は打8pしかないように思う。

一方の萩原は3sを切った。

さきほどと同じ、目前にある三色を追ったのである。

この打3s、何切る問題としては不正解だろう。


しかし、次のように考えると、一理あるなと思った。

  A. 打8pでテンパイした場合、ダマテンに構える

  B. 打3sでテンパイした場合、リーチをかける

上記AとBを両方満たす打ち手なら、Aの打点はほぼ12000止まり。対してBは24000になることがそれなりにありそうである。

打点が50%アップなら、30%ほどのアガりやすさを犠牲にするのも確かにアリかもしれない。

しかし、ここでは1s引きからのアガリを逃す結果となった。


続いて、地味な打牌も紹介しておこう。

東3局、西家の白鳥は、9mをポンして東を引いた。さて、何を切ろうか。

トイトイが見えるため、2枚切れの1sを打つのかと思えば、白鳥は1枚切れの發を打っていったのである。

これには、私も目を見開いた。

白鳥「トイトイよりも供託優先ですね」

そうだ、この男は供託を見るとよだれが出てしまう特異体質の持ち主であった。

白鳥「トイトイの8000もいいですけど、役×2で2600は4900の方がいいかなと。何引いても次巡に發切りそうですし、それなら1sから2sや3sへの横伸びを見たほうがいいと思いました」

なるほど、面白い選択である。

よく、無造作にペンチャン・カンチャンを嫌ってしまう打ち手がいるが、鳴ける手牌でふわっとペンチャン・カンチャンを払うのは非効率になることがある。

鳴ける手牌ではチーができるためだ。

チーができるなら、たとえペンチャン・カンチャンだろうと一刻も早くターツができていることの価値が上がるわけである。

したがって、ペンチャン・カンチャンの素になる1sもふわっと切らない方がいいという結論に白鳥はたどり着いた。


しかし、同局を制したのは白鳥ではなく小林。

ドラ3でアガりやすさを追えばいい手牌なのだが、8mが2枚切れで機能が低下しているため、この手牌からは7mをツモ切った。

ペン3pという超ネックが残っているこの手牌では、1p2pポンからの一色手で仕掛けた方が早い可能性があるというわけである。

ところが、その超ネックの3pが埋まったとしたらどうだろう。

ネックが埋まったのなら完全に効率を追えばよく、小林は一色手を見切って打中といく。

たった1巡の差だが、一変した状況に対する小林の対応力が垣間見えた。

そして、目論見通りこのダマテンで最速のアガリを決めている。


その小林、南1局3本場で驚きの1打があった。

北家で北をポンしている小林、5pをツモって何切る?・・・

ではない。注目はここ↓

なんと、5mを鳴いてイーシャンテンにせず、ヤマに手を伸ばしていたのである。

これには驚いた。

聞けば、小林から鳴きの極意が返ってくる。

小林「この手広いリャンシャンテンは何も鳴かなくてよさそう。『遠い仕掛けは急所から』が基本なので、急所の役牌だけ鳴きましたが、『2フーロ・ノーテン・安手・アンパイなし』を満たす2フーロ目は基本的にしませんね。特に、RTDリーグのようなしっかりしたメンバーなら、3フーロの両面待ちはあまりアガれないので、やはり鳴くのは2フーロまでにしておきたいですね」

したがって、5mを鳴いて打東としなかったというわけである。

一方、巡目が進んで7pには声をかけ、ポンしていった。

巡目が深くなったため、ここでは仕掛けた方が有利であり、アンパイの白も持てるというわけだ。

これが、小林仕掛けずの理由である。

仕掛けの基準にお悩みの方は、『2フーロ・ノーテン・安手・アンパイなし』をやらないという基準を参考にしてはどうだろうか。


この半荘のトップはといえば、オヤ番で鮮やかな大物手を決めた白鳥。

テンパイだが、4sが1枚切れのアガれなさそうなシャンポン待ちである。

リーチする打ち手も多そうだが、ダマテンにするのが対応を好む白鳥の基本選択のように思う。

しかし、そのイメージに反し、白鳥はリーチをかけていった。

白鳥「他家の手がそんなに進んでいないと思ったので、ここでリーチしておいた方が有利かなと思いました。手替わりまで待てる巡目でもないと思ったので、リーチのタイミングはここしかないかなと」

つまり、タイミングでかけたリーチというわけである。

実際、白鳥の読み通り、他家は形の良くないイーシャンテン~リャンシャンテンであったため、「リーチ」の一言で一人旅。

当然待ちに自信があったわけではないが、これをツモって6000オールに仕上げた。

会心のトップに、白鳥はこう続けた。

「この手牌、確かにぼくにはダマテンのイメージがあるかもしれないですね。でも、たろうさんじゃないですけど、そろそろこういうリーチも混ぜて裏をかいていこうかなと思ってるんですよね」

対人戦略にも長けたブラックスワン白鳥が、不敵に笑った。


▼▼▼BLACK 12回戦:多井のイーシャンテン戻し▼▼▼

「多井といえば?」

というあいまいな質問がきたら、みなさんは何と答えるだろうか。

私の答えは決まっている。

「シャンテン戻し」だ。

イーシャンテン戻しやリャンシャンテン戻しを多用する多井は、とにかく好形や打点を目指してシャンテン戻しを好む。

この巡目でドラ雀頭の役ナシテンパイ。

2sは3枚切れなのだが、オヤということを考えれば、リーチをしないまでも連荘を見据えてテンパイを取りたくなるところ。

一方、多井はイーシャンテンに戻した。その打牌が面白い。

打1sではなく、打3sでテンパイを外したのである。

2sが3枚切れのため、4s引きの2s5sにさほど手ごたえがないこと、アガリがあるなら1sの縦重なりであること、切り出すことになったときの1sの安全度、それらを踏まえ、打3sでテンパイを外した。

すると、ドラがアンコになって1s単騎に受けると、スジにかかる4sを引いたところでツモ切りリーチし、一発ツモの6000オール。

多井が得意のイーシャンテン戻し一撃でトップを奪った。

多井はこれでついに首位浮上。予選でいえば2016シーズン以来だろうか。

久しぶりの好位置に、帰途つく歩調も軽やかだった。


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)

■次回3/12(月)21:00からWHITE DIVISION 13、14回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定