【メ】メリー・ポピンズ(私的埋蔵文化財)
「スーパーカリフラジュリスティックエクスピアリドーシャス」、当時の子どもはみんなこの長い単語が言えた。呪文のようなもので、青年期にさしかかっていた私の耳にも残った。そして今に至るまで忘れることができない。
だが、「メリー・ポピンズ」はあまり好きな映画ではない。いつの頃からかディズニー作品は子ども向き、そう頭に刷り込まれてしまったからだろう。大人になったと意識し始めた頃から本気で見なくなった。「アナ雪」の大ヒット(むろん、それだけではないが)まで、ずいぶん長い間、リバイバルアニメで稼ぐ仕組みは持った企業だが、クリエイター集団だとは思っていなかった。買収したPixerで新しいアニメを作り出してから、作品を選んで観るようにはなっていた。「モンスター・インク」や「Mr.インクレディブル」はとても好きだ。
ウォルト・ディズニープロダクションをそんな風に思うようになってしまったきっかけを思い出した。ディズニーのキャラクター商品は今もたくさん販売されている。あのデザインはディズニー・プロダクションから画像提供を受けるのではなく、商品製作者のところで描くのだ。そしてそれを提出して承諾を取る。イメージに合わない加工やコスチュームは拒否されるらしい。そして、当然、高額な著作権料は取る。
昔のニュースだが、どこかの小学校のプールの底に、卒業制作だったかで生徒達がミッキーマウスの絵を描いた。水を張ったプールの底にミッキーがいるのだ。商品にするのでも営利目的でもない。ローカルニュースにもなった。しかし、それを見たディズニー・プロダクションから拒否され、消すよう命じられた。著作権侵害にあたるということなのだろう。うるさいことを言うなぁと、ちょっと引いてしまった。
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そしてジュリー・アンドリュースである。「サウンド オブ ミュージック」の時にも書いたが、この女優さんとは不幸な先入観から逃れられなくなっている。それを上書きするような内容の物語、主人公なのである。「メ」で始まるタイトルの映画がこの時期、これしかなかったので取り上げたが、私には好きな映画でも面白い作品でもなかった印象しかない。だったらこんなこと書かなければいいのだが。
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それにしても、以前も書いたがこの頃の映画パンフ。何と英語表記の頁の多いこと。ジュリー・アンドリュースやディック・ヴァン・ダイクのプロフィールを英語で掲載している意図が分からない。当時、これが日本がアメリカを見る感覚だったのだろう。日本人の英語に対する感覚には、相変わらずこんなところがある気もするが。