テヒリーム
テヒリーム
Tehillim
2007年11月22日 有楽町 朝日ホールにて(第8回東京フィルメックス)
(2007年:イスラエル:96分:監督 ラファエル・ナジャリ)
コンペティション作品
*第8回東京フィルメックス グランプリ受賞*
Filim is question.
これは、監督が言われた言葉なのですが、この映画は、どういう映画かというと「問いかけ」なんです。
だから、結果や真相といったものはなく、課程があるだけで、答えはないのですね。
ごく普通の家庭。
まだ若い両親と幼い男の子2人の敬虔なユダヤ教家族の様子から、始まります。
特に何の問題もないようで、男の子2人は、喧嘩したり、一緒に遊んだり・・・
しかし、父の運転する車が事故を起こした。
子供は、病院に運ばれます。
しかし、父は忽然と姿を消してしまった。
事故になって、救急車が来た時にはもう、父の姿はありません。
その後も父の行方はわからない。
困惑する残された家族のあれこれ・・・です。
祖父や伯父といった人たちが母子を支えます。
その様子を手持ちカメラで、ドキュメンタリーのように追いながら、残されてしまった者の戸惑い・・・を映した映画。
何故、何処へ・・・父が消えたのか、は、この映画では問題ではないので、あえて問うことは無粋でしょう。
何にでも、「残された人や物」というのがある訳で、忘れられがちな所、この映画は静かに追っていきます。
誇張表現や主張ばかりの映画への静かな反抗ともとれる映画ですが、ドキュメンタリータッチとはいえ、監督は意図的だろうけれど、「映画の中の人物への思い入れ」から距離を置こう、置こうと努力しているようです。
わたしの中では、とても印象が薄い映画の方になるのですが、こういった映画にグランプリを渡す・・・去年に続き、東京フィルメックス、侮りがたし。