クローズ ZERO
クローズ ZERO
2007年11月22日 渋谷 アミューズCQNにて
(2007年:日本:130分:監督 三池崇史)
もうねぇ・・・今年は三池崇史監督の映画が、春『龍が如く 劇場版』、夏『SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ』・・・秋にこの『クローズ ZERO』と・・・観られて嬉しい限りです。
欲を言えば、冬にもう一本・・・で、春夏秋冬、日本映画の四季制覇をして欲しい。
まぁ、わたしが、三池崇史監督の追っかけで、ひとり大騒ぎしているだけで、クールなシビアな観客の皆さん、また、原作は人気コミックだそうだから原作漫画ファンの言いたい事も想像出来なくはないのですが、だからといって、わたしの中で三池崇史監督の評価が下がる事はありません。
ふ。そこら辺がね、もう、年の功ってやつですか?
亀の甲羅なら、分厚く、木の年輪なら、バウムクーヘンよりも厚いわたしの三池監督好き。
映画祭の最中でも、時間を見つけて、三池崇史監督の映画は見逃さない。
もともと、わたしは、体育会系なんですよ。
最近、仕事になると、もう、口でなんとでも言えるけど、手は動くんですか?って思います。
理屈だとか、理想だとか、理論だとか・・・机上の理想やら空論をこねるより、手を動かせ、手を!なんて思ってしまうのです。
まだ、理由理屈があるなら、いいけれど、ただ、面倒だから楽したいから・・・なんて事は、不可。
ね?体育会系でしょう?一緒になって、楽しましょ・・・が出来ない体質なんです。
また、本を読むのも好きだけれど、絶対に言われたくない言葉が「文学少女」だったし、もちろん、自分で自分を文学少女なんて自称する愚かな事はしないです。
自称、「文学少女」、「文学青年」、「思想家」、「哲学者」・・・にこれほど向かない映画はないですよ。
自称、映画評論家、にも向かないだろうなぁ。「自称」というのは、もう開き直っていて確信しているから、とりつく島もないタイプだからですね。
だから、そこら辺は、覚悟の上で観るタイプの映画だし、三池監督はそういう映画を作り続けています。
この映画は「(もう年で体が動かないけど)体育会系(の女)」のための映画です。
小栗旬とか、山田孝之とか、若い男優さん目当ての人もいるでしょうけれど、決して「目の保養」として、この映画は男優を撮っていないので、満足度は低いかもしれません。
やさぐれ男子校、鈴蘭高校のトップは誰だ!それを決めるのは喧嘩に勝つ!それだけだ。
話はそれだけなんですね。
滝沢源治という、強い転校生(小栗旬)が、乱入することから大騒ぎになる鈴蘭高校です。
この映画で面白いのは、一番トップに近い、と噂されている3年生の芹沢が山田孝之で、群れのリーダー格ではあるけれど、小柄で、まぁ、女の子みたいなキレイな顔していてあまり「強そう」に見えないことですね。
しかも、短気ではなく、なかなか、手を出さない。じっと傍観しているような態度をとり続けるのです。
しかし、何も知らない相手が、外見で「この、チビ太!」とかいって、かかってきても、ぜ~~んぜん相手にならないくらい強い、という設定です。頭脳派、芹沢。
対して、オレは絶対、鈴蘭のトップになってやる!と鼻息荒い、滝沢は、頭を使うよりも、直感即行動派。
他にも群れは色々出てくるのですが、最終的には、滝沢と芹沢の対決、になります。
滝沢が、ボクシング技(小栗旬はボクシング得意ですからね)、に対して、芹沢が柔道、プロレス技という細かい、凝り方なんか楽しいですね。
『ジャンゴ』で、今までの優しい人のイメージを覆す、キャスティングで、堺雅人に注目したのですが、この映画では、山田孝之と、滝沢側につくことになる、高岡蒼甫でしょうね。一瞬、目を疑ったよね、高岡蒼甫。
また、山田孝之は、『電車男』『手紙』といった「おとなしい、控えめ」印象からかけ離れているけれど、その外見を上手く使ったキャスティングだし、小栗旬は、少年殺人犯から、『キサラギ』の家元から、ホストから(舞台もやっているし)、巾の広い役者さんを上手く使っています。
男を撮ると、相変らず、うりゃうりゃうりゃ~~~って疾走感ばりばり出して、ガチンコ勝負堂々とやらせるのですが、やはり、女の人には、弱い・・・といいますか、なんか、女の子はなぁ~~~って、カメラの向こうで頭かいている監督を想像してしまうのが、黒木メイサ。
あくまでも清楚で、でもちょっと気が強い・・・可愛い子みたいなね。
まぁ、この映画に限らず、ただの暴力映画とか、喧嘩映画とひとくくりにしてしまうにはもったいない、疾走感と役者根性が観られる有り難い映画なんですよ。
三池監督らしい、可笑しさは・・・プールの上にもう、卓球台設置しちゃってるとか、GPSを狙う・・・って何?が「源治・パーフェクト・制覇」の略だったりして・・・暴走族の壁の落書きのノリだよねぇ~~~と笑ってしまいました。
130分という長さであったことを後から知った疾走映画の傑作ですね。