HGUC ファントムガンダム レビュー
2022.10.27 09:20
今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードユニバーサルセンチュリー より、
“HGUC ファントムガンダム” です。
コミック作品、“機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト” の主人公、フォント・ボーが乗るモビルスーツ、
“EMSーTC02 ファントムガンダム” が、
プレミアムバンダイ限定のハイグレードユニバーサルセンチュリーで発売されました。
プレバン限定で地味に継続しているクロスボーンガンダムのキットシリーズ。
ディキトゥスが発売されたことで木星帝国製の異形機のリリースが期待されましたが、まぁそう簡単にはいきませんよね。
ともあれ、このファントムファンダムも木星由来のようですし、特性的には十分異形というか、ゲテモノの範疇に入る機体ではありますが。
ちなみに、クロスボーンの物語はコミックを中心に展開していることもあって、僕はその内容をあまり知りません。
ファントムガンダムの存在も、今回のキット化で始めて知りました。
でも、ネクスエッジスタイルとか、ロボット魂などでもすでに立体化されてるんですね。けっこう人気あるんだな。
本当、いろんなガンダムがいますねぇ。
それでは、レビューしていきます。
キットはパチ組みに最低限の墨入れと付属のシールを貼ったのみです。
パッケージはいつもの2色刷りプレバン仕様ですが、説明書は表面がカラーで機体解説も掲載されたものでした。
知らない機体なので助かります。
EMSーTC02 ファントム
木星共和国(旧木星帝国)が一騎当千(サウザンド・カスタム=サーカス)をコンセプトに開発したMSのうちの1機。
レコードブレイカーとアマクサの2機のデータをベースに開発された機体で、正式名称はあくまで “ファントム” 。
ガンダムと呼ぶのはフォントだけのようです。
のちに改修されてゴーストガンダムとなりますが、これは先にキット化もされているクロスボーンガンダム ゴースト(XーO)とは別物。
ややこしいな・・
結局はガンダム擬きの1種という解釈でいいのかな?
プロポーションは標準的な人型ですが、全体に曲線主体でのっぺりしたデザインはやはり木星系っぽい感じがします。
カラーリングも独特ですね。
絶妙にダサいのが木星のトレンドなんだろうか?
地球人なんでちょっと理解できません(笑)。
虫っぽくもあるし、植物っぽくもある。
胸部の髑髏はどういう経緯で付いてるんでしょうかね?
なお、キットは外装部分は新規造形ですが、腕部や脚部の一部フレームにクロスボーンガンダムのパーツが流用されています。
頭部レイアウトは一見してツインアイにマスクなのでガンダムタイプに思えますが、V字アンテナはなし。
色味もあってガンイージっぽくも見えるなぁ。
ただこのツインアイは後述するファントムライトからメインカメラを保護するためのもので、実際奥にあるのはモノアイだそうです。
ただ、放熱のためのフェイスオープンギミックなど、クロスボーンガンダムやその前身のF91を参考にしたと思しき機能も有してはいます。
そのフェイスオープンギミックは、頭部の下半分を交換することで再現。
割れたマスクの下の発光表現はシールで再現されます。
アップにするとちょっと浮いた感じになってますね・・
なお、ファントムガンダムのフェイスオープンは2段階あり、まずマスク部が開き、続いて頬の装甲が開くようなのですが、キットでは一括で処理。
まぁ、パーツを組み合わせればマスクのみが開いた第一段階の再現も可能ではありますが。
背面。
V2ガンダムのそれを思わせるV字のウイングを備えたバックパックが目を惹きます。
同じミノフスキードライブ搭載機ではありますが、技術的な関連はあるんだろうか?
ウイングは上下、前後にスイングします。
下部の白いパーツは閉じそうに見えて閉じません。
あ、右側のウイング先端の白いパーツが外れてますね・・
武装・ギミック
フレイムソード
腰部サイドアーマー(スラスター)内に収納されている専用のビームサーベル。
ビームを発振しない状態でもヒートダガーとして使用できます。
ビーム刃は機体特性のために炎のように揺らめいた状態になり(それが名称の由来)、それを表現した2種の形状(計4つ)のエフェクトパーツが付属します。
収納状態はグリップガード部分のみをサイドアーマーに取り付けて再現します。
このサイドアーマーも非常にのっぺりしたデザインですね。
バタフライバスターB
XーOの武装であるバタフライバスターの改良型。
基本はビームライフルですが、名前の由来であるバタフライナイフのように折りたたむことで高出力のビ-ムサーベルにもなるという、トンデモ武器。
変形は差し換えで再現されます。
ちなみにこのバタフライバスターBのみで1枚のランナーで、タグもクロスボーンガンダムとなっています。
以前に別のキットに付属したものの流用ということなのかな?
ファントムライト
これは武装ということではなく、未完成のミノフスキードライブを可動させた際に噴出する余剰エネルギー・・いわゆる光の翼をIフィールドを使って無理矢理抑え込むためにそのエネルギーが揺らめいて全身に炎を纏っているように見える現象。
フレイムソードのビーム刃が炎のように見えるのもこのためですね。
結果として全身にIフィードの嵐を纏った状態となり、ビーム攻撃に対して強力な防御力を得ることにはなったものの、逆に自身を傷付ける可能性もあるという(先のカメラの件など)、まさに諸刃の剣。
しかも最大可動は15分程度だそうで、機動兵器としては完全な失敗作です。
キットでは揺らめく炎のような光の翼を軟質クリアパーツで再現。
通常時はカラーリングもあって案外地味な印象でしたが、一気に派手というか、ケレン身たっぷりな姿になりました。
これ主人公機ですよ。ラスボスじゃなくて。
頭部はこめかみ部分から触角のようなエネルギーが放出され、これがV字アンテナのようにみえてよりガンダムっぽい印象に。
同時に虫っぽさもアップ。
なお、この状態では放熱のために常にフェイスオープンしているのだと思います。
でも、キットとしては以下のように、
通常時の上下、ファントムライト放出時の上、フェイスオープン状態の下という4つのパーツで構成されているので、それぞれ組み合わせることが可能です。
胸部は白いパーツの四箇所から噴出。これは白いパーツごと交換する仕様です。
腕部は肩アーマーの前後と前腕の装甲(肘付近)からエネルギーが噴出。
それぞれ通常時のパーツの交換します。
肩アーマーについては通常時のパーツ(白い外装)が少し外しにくいので、
一旦バラして、アーマーの内側から矢印の白い部分をピンセットなどで押してやるといいです。
バックパックのウイング、サイドアーマーからはとくに大量のエネルギーが噴出。
機体のシルエットが大きく変わります。
こちらはそれぞれエフェクトパーツを直接取り付ける仕様。
フロントアーマーと膝アーマー、そしてふくらはぎからも噴出。
ふくらはぎは直接エフェクトを取り付け。フロントアーマーと膝についてはきぶぱーつごとこうかんするかたちです。
フロントアーマーと膝のエフェクトはけっこう干渉しますね。
というか、まさに自らを傷付ける配置・・。
エフェクトの取り付けというかパーツ交換ですが、肘や膝のものはともかく、胸部やフロントアーマーは丸ごと交換ではなく、噴射口にダボ穴を設けるとかもできた気がするんですけどね。
蜃気楼鳥(ミラージュ・ワゾー)
巡行形態ともされるMA形態に変形。
そもそも惑星間の高速移動用の試験機として開発されたファントムの、これが本来の姿ということなのかもしれません。
木星系らしい、大胆勝つ奇抜な変形だと思います。
さらに虫、あるいは植物(花)っぽい雰囲気になりました。
パッと見、脚部を左右に広げて腕を後ろに回しているだけの単純な変形かと思いきや、よく見ると腹部から腰部にかけて真っ二つに分かれています。
でもってフンドシ部分だけが独立して前に来て機首を形成し、バックパックは180度回転して底面に配置されるという、実はZガンダムバリに無茶な変形とやってのけているんですね。
ベクトルはまったく違うけど・・
そんなこともあって、今回のキットでは専用パーツを使った差し換え変形を採用。
ロボット魂では完全変形できるそうですけどね。
これが、そのMS形態用のコアパーツ。
これだけでも小型MAみたいです。
ここにMS形態から分解した頭部、腕部、脚部、バックパックにサイドアーマー、フロントアーマー(一部)を組み付けてMA形態が完成します。
裏から見るとこんな感じ。
完全に開かれてますね。
バックパックのカバーパーツを外すとスタンド用の3㎜穴があるので、MA形態での飛行シーンも再現も可能です。
もちろん、この形態でもミノフスキードライブを稼働させることでファントムライトが発生します。
うん・・キモイ。
MS形態時と違って腕部やフロントアーマーからはエネルギーの噴出はないもよう。なんでだ?
まぁ、強引に付けることはできますけどね。
しかし、空気抵抗とか関係ない宇宙空間用とはいえ、なんでこんな横に張り出した形に変形するのか?
推力の方向がバラバラですごく効率が悪いようにも見えるんですが・・
比較画像
クロスボーンガンダムX1と。
直接関係はないと思うんですが、まぁ、一部パーツが流用されてます(あくまでキットとして)し。
顔付きとか髑髏の意匠とか、似た雰囲気はありますが、やっぱり別の技術で作られてる感はありますかね。
ディキトゥスと。
ファントムのほうはなんとなくファントムライト放出状態で。
まぁシルエットからなにからまったく違う両機ですが、唯一全体にフラットなデザインは通じるものがあります。
変形させて。
あ、やっぱり発想は近い(笑)。
どちらも正気の沙汰とは思えません。
以下、画像
可動は標準的。自立もとくに問題なし。
オールガンダムプロジェクト以降、長らく定番となっていたフォーマットなので、水星のHGシリーズなどを組んだあとだとさすがに古さを感じますね。
でも肘、膝とも似よく曲がりますし、肩も前方に引き出し可能と、各可動部はスムーズに動きます。
ただ若干緩いかもしれません。
立て膝も綺麗に決まります。
平手が附属するのでバタフライバスターBに手を添えるポーズも可能。
スタンドを使って。
フレイムソード、ヒートダガーとして使うなら、逆手に持たせたほうが様になるかな。
通常時は地味ながら堅実な機体という印象です。
ミノフスキードライブを可動させなくても、普通に動くことくらいはできるんですよね?
ファントムライト放出状態で。
派手だなぁ。そして悪そう・・
ヴェスバー! じゃないけど。
ファントムライト自体には直接大きなダメージを与えるような力はないようですが、相手に恐怖感を与える効果は十分ありそうですね。
しかし、宇宙世紀のMSとは思えないな。
アナザー系のMSでも、こんなふうに全身から炎噴いてるようなのいないでしょう。
ミラージュ・ワゾーで。
こっちもまたつくづくキモイ形態ですな。
木星帝国も、一年戦争期のジオンばりにトンデモMAをいろいろ繰り出してくるイメージですが、意外と可変機は少なかった気が。
シルエットはジャムル・フィンに近い?
それにしてもこれ、パッと見全方向からの推力がちょうど釣り合ってしまってるようにも見えるんですけど。
動けないってことない?(笑)
せめてこう、かな?
全部後ろに向くようにしないと。
ぶっちゃけ、MS形態でも近い体勢にはなれますよね。
わざわざ変形する意味はあるのか?
まぁ、意味なんて考え出したら終わりですが。
以上、“HGUC ファントムガンダム” でした。
いわゆるゲテモノガンダムの類いですが、一応は主人公機です。
のちに改修されてゴーストガンダムとなるわけですが、ほぼ銀色になっただけなので、きっとそっちもいずれ発売されるでしょうね。
もちろんプレバンで。みんなが忘れた頃に急に来ると思います(笑)。
まぁ、なかなかインパクトのあるキットでした。
ガンダムばかりがキット化されると言われるなかで、一応ガンダムと呼ばれてはいるけど本来は違う。
なんか虫っぽくて、全身から炎を噴き出す。謎のトンデモ形態に変形する・・こういう突き抜けた個性のある機体がキット化されるのは新鮮でいいですね。
まぁ、ぶっちゃけ見ためのインパクトだけでキットとしてはとくに目新しい要素はないんですけどね。
完全変形が再現されてれば、また違ったんでしょうが。
あと、できれば相手役が欲しいですね。
それにしても、クロスボーンガンダムに登場するMSはキット化なんて一切考えてないデザインですよね。
それがたまにとはいえキット化されるんだから・・いい時代にはなってはいるんですよ。
もちろんいろいろな見方がありますけれども。
しかし一方で、同じコミック作品でも明らかにキット化前提デザインしておきながらまったくその気配がないムーンガンダムの登場MSとか、なんなんだよ? と思いますね。
キット化されないなら、後付け設定の変な機体出さないでほしい。
メドゥッサとか・・(笑)
とか言って、万が一キット化されたら大喜びするんだけどね。
ただそれも、その先にHGUC ハンマ・ハンマがあると信じるからこそ、だけど。
あ、これファントムガンダムのレビューだったわ・・