【ちょっといい話】あの部長が辞めたわけ・・・
2015.12.17 00:53
そのときの部長はすっごく冷たくて、
いつもインテリ独特のオーラを張り巡らせてる人だった。
飲みに誘っても来ることは無いし、
忘年会なんかでも一人で淡々と飲むようなタイプで、
良く怒られていたこともあって俺はすごく苦手だった。
ある日のこと、
部長の解雇を伝える社内メールが全員に届いた。
あのむかつく部長が居なくなる!!
心の中でガッツポーズしたのは俺だけじゃなかったはずだ。
それから1週間後、部長の最後の出勤日。
退社のセレモニーが終わるとみんなそそくさと帰って行ったが
部長と俺だけは居残って仕事を片付けていた。
送別会の開催も自ら断った部長を苦々しく思っていると、
珍しく専務から呼び出された。
しぶしぶ専務室に行くと、
課長と専務が待ち構えていた。
俺はそこで始めて課長から
「部長解雇の真相」を聞いた。
原因は俺だった。
俺のミスの責任を全て部長がかぶってくれたらしい。
話を聞いてたまらなくなった俺は急いで部署に戻ったが、
部長の姿はすでに無かった。
ふと自分の机の上を見ると、
封の開いた買い置きのタバコ。
すでに一本無くなってる。
横に添えられたメモにはこう書いてあった。
「これぐらいはいただいても良いはずだ」
俺にとっては無くなったその一本が、思い出の一本です。