『霤[あまだれ]』対談
第三篇「霤[あまだれ]」チーム、村上愛梨さん、幡美優さん、榊原あみさんです。よろしくお願いいたします!
村上・幡・榊原 よろしくお願いします!
初通しを終えましたが、稽古はいかがですか。
村上 必死に頑張ってます(笑) 通しを観て、他チームの空気感と合わせるべきポイントが見えたので生き返りました。
幡 いつも稽古場では最年少になることが多いので、同世代と物を作るということにワクワクしてます。
榊原 頼りになるお姉さんです。
村上 いつも引っ張ってもらってます。
幡 やめて(笑) 私は考え過ぎてしまうタイプなので、若い二人が純真な気持ちで芝居に見るにつけ、気持ちが引き締まります。
榊原・村上 おおー(拍手)
それぞれの役に関して。好きな登場人物はいますか?
幡 村上さんの役(みほちゃん)が好き。気持ちが分かるというか、観てる人にも共感しやすいと思う。
村上 みほちゃんは自分に近いなと思っているんですが、自分が演じると少し暗くなってしまうのが課題だなと感じています。彼女は世の中に向けて言葉を綴りたいという気持ちを抱えつつ、自分への自信のなさや世の中の状況との狭間で葛藤している。だから言いたいことを言い合える相手がいて、自分の意思で行動できている姉妹がとてもうらやましく映るのかなって。
榊原 姉妹の関係は私も好きです。自信があるというか、一人だと絶対シクシクなってたところを、みんなで話すことで明るさが生まれる。三人がいるからこの雰囲気ができているんだなと思いました。
幡 確かに。みんな暗い気持ちになっても体が動かなくても、エネルギーが体内をめぐっているからこそ、ああいう展開になるんじゃないかなとも思います。ただ閉じこもっているだけではないなというのが、弱さの中に表れる人間の強さなんじゃないかなと。
榊原 台本を読んだとき、もし自分が登場人物と同じ立場だったら、こんなに明るく振舞えないかもと感じた。みんなの力があるから明るくなれるんだって思いました。
今回の作品のテーマは『生活と加害』ですが、このお話においてそのテーマはどんなふうに現れてると思いますか。
幡 加害っぽくないからこそ全員加害者なのかな。私がみほちゃんにかける言葉も、受け取り方によっては加害だし、妹の姉に対する態度も、姉の妹に対する行動も、自分の為にインタビューしているみほちゃんも加害だと思う。みんながみんな、自分の状況を必死に生きようとしていることが、たまたま加害になってしまうという見え方をしているように思う。
榊原 すごい。その通りです!!
村上 石の雨という大きな災『害』の陰に隠れた小さな害がいくつもあって、それらがお互いに影響し合っている話だなと思いました。
榊原 家族の中での加害って、他人に対してのそれとはまた異なるのかなと思った。
幡 心を許しあえているからこそ、言葉を選ばずに発言してしまうこともある。それを加害という言葉で表現するとすごく悪いもののように思えるけど、理解し合って一緒に生きていく唯一の関係性が家族というものなんだろうなと思った。
それでは最後に、意気込みをお願いします。
村上 テーマである『生活と加害』の『加害』という言葉が強く、殴り合いみたいな印象を受けるかもしれません。でも、そうではなく、もっと身近な、もしかしたら自分の振る舞いが誰かを傷つけているのかもしれないという積み重ねのお話です。だから、気負わずに観ていただけたらいいなと思います。
幡 あんまり重く考えずに見ていただきたいなと思うけど、観た後に楽しく重いものを受け止められるんじゃないかと思います。私は演劇を観ている時にそういう感覚が好きなので、笑える部分も考えさせられる部分もある良い作品になっていると思うので、こうご期待ください!
榊原 フライヤーとかあらすじを見たときと実際の通しを違った印象があって、いい意味で期待を裏切られました。柔らかいのに鋭くて、家に帰ってお風呂の中でぽかーんと考えたくなるような作品になってるので、期待していただきたいです。ぜひ見に来てね。
ありがとうございました!
露と枕 番外公演
連作短編集『雨のかんむり』
2022.11/9-13 @シアター風姿花伝