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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

近代アジアの動乱20-日本最初の軍歌

2022.10.29 11:42

さて新政府軍の東征と共に歌われたのが近代日本初の軍歌「宮さん宮さん」で始まる「トコトンヤレ節」である。すでに軍楽隊はペリー来航時に見せており、日本でもさっそく取り入れたというわけだ。この歌の作詞者は品川弥二郎、彼は尊王攘夷運動に深く関わっており、薩長同盟の成立にも尽力している。

その後内務大臣になった品川に質問したところ、作詞は自分だと言ったから間違いないようだ。作曲は大村益次郎や、祇園芸者の中西君尾という説がある。真面目一徹な大村よりも祇園芸者が作ったというほうが納得がいくのだが。トコトンヤレは実は当時の踊りの足拍子である。

大村説では、西洋式行軍のリズムに苦労しており、リズムを取るためになじみのトコトンヤレを導入して和洋折衷でリズムを取ったということだ。ともあれ、東の人間には朝廷もなじみがない。先頭にはためく錦旗と共に、この歌によって民衆に時代の変化を知らせていったわけだ。

楽器としては日本にある笛と太鼓で大河ドラマで出て来るようにピーヒャラと鳴らし、太鼓がドンドンとリズムを取る。ペリーの軍楽隊でも鼓笛隊の人気が日本では高かったということで、即席にしてはよくできたものだ。この歌は応援歌になったり、なんと最近では「鬼滅の刃」にも出て来るそうだ。