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竹本悠一郎 Yuichiro Takemoto

「3・h・m」....幸せへの方程式

2022.10.29 19:01

〈キャスト〉

ジョー・・・・竹下 虎志 •穴吹 淳

さちよ・・・・松尾 悠・櫻井 マリ

カシムラ/似た医師・・・・竹本 悠一郎

チェアマン・・・・三浦 太紀

サザンカ・・・・延 紗英子

ブリエーミャ・・・・住谷 茉奈実

〈ストーリー〉

三億円事件の数ヶ月後、遊び仲間のジョー、さちよ、カシムラの3人は、その手口を摸した現金輸送車襲撃計画「3・h・m」を思いつく。

それは勢いだけの杜撰なものだったが、小さな偶然や幸運に助けられ、驚くほどの大金を、本当に手に入れてしまった。

犯行前は大金さえあれば、皆が幸せになれると疑わなかった。しかしいざ大金を前にすると、個々の思惑は剥き出しになり関係は軋みだす。

ジョーは言葉巧みにさちよを誘い、分け前で揉めるカシムラを消す。

さちよは精神を病み失語症に、ジョーは奪った金を独り占めして姿を消す。

だが、紙幣番号は全て控えられており、うかつに使うことは出来なかった。


事件から50 年後。老人ホーム「幸せの園」には、ブリエーミャに介護されるさちよが暮らしていた。

ある日、養女サザンカに連れられたジョーがやって来る。互いに相手を認識することはないが、次第に何かを感じはじめる2人…。

過去を閉じ込めていた心のカギは融解し、記憶の断片とそれにまつわる擦り切れた感情が、立ち現れては消えてゆく。

仲間を殺めてまで、手に入れようとした幸せとは。その結末が、この「幸せの園」なのだろうか・・


チェアマンは、さちよが現金強奪事件に関係があるらしい、という噂を耳にして事件を調べ直す。ついに、ジョーという存在を探り当て、「幸せの園」に手繰り寄せる。

<作品ノート>

この作品は、1968年(昭和43年)12月に府中で起きた「三億円事件」にインスパイアされたものだ。

三億円は今ならば約二十億円、そんな巨額な現金を強奪するという荒々しい事件でありながら、誰ひとり傷つけず、そして保険のお陰で誰も損をしなかったという。ニセの白バイ警官が犯人、と伝えるニュースまでドラマじ

みて感じられ、三億もの現金と、風のように消えた犯人を当時は、ヒーロー視するような風潮すらあった。

小学生だった私は“犯人はいつまでも、幸せに暮らしたとさ・・”と勝手に夢物語を膨らませ、不謹慎だが羨ましいと思っていた。

気になって事件に関する本を読むと、事件後の仲間割れ、犯人の1人とおぼしき男性の不審な事故死。生活は周囲を警戒し、隠れるように。そして、薬物依存など。犯行後の人生はヒーローとはほど遠い、孤独で寂しい蒸らしぶりだった。もちろん真相は不明。

だが、これはドラマではなく現実であり、近いものはあるはずだ。ハッピーエンドにしたくないのは・・・・私が大人になったせいだろう。

幸せの定義は人それぞれだ。誰でも幸せを望み、幸せになる権利がある。犯人も「大金=幸せ」と考え、犯行に及んだのであろう。

しかしお金は手段であり、幸せの実態ではない。従ってこの等式は成り立たないが、いかんせん三億円である。幸せは金額に比例する、と考えても無理はない。問題は奪ったお金を実際に使う、犯行後の人生である。これがXであり「X+奪った金=望むべき幸せ」という方程式になる。犯行前に解を求めるべきだったが、そんなことを考える犯罪者は皆無だろう。

強奪の経験も、三億の現金も見たことがない私が、どれだけ考え想像をめぐらせても、犯人の後ろ姿さえ追跡するのは不可能。奪った三億円で、どんな幸せを買ったのか、それとも買えなかったのか・・・・私は、犯人に聞いてみたい。


三浦太紀

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