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公演「空洞」

キノパカ企画には、自分ではなくなれる魅力も自分であれる魅力も、ある

2018.03.12 16:30

こんにちは、広報梅田です。

今日は、今回出演が決定しており、過去作品にも出演経験がある二人に話を聞いてみました。

今回の公演で作品づくり、そして公演づくりに自ら関わっていく二人は、他での公演とは違う積極性を感じます。果たして木根雄大の作品、またキノパカ企画には一体どのような魅力があるのでしょうか?


石川絵理

立教大学現代心理学部映像身体学科所属。小学生の頃から地元の劇団に所属しミュージカルを学ぶ。大学から演劇を始め、演劇研究会で役者を務めつつ、現在は俳優事務所の養成所に通いながらラジオやドラマCDに出演している。

Twitter→@eri_star0927

Instagram→@eri_star0927


「木根さんの演出する作品に出演するのは今回で五回目になります。

私は違う世界に生きられること、自分以外の何かになれることが楽しくて演劇を続けていましたが、何度も舞台に立つうちうに、人は結局「自分が自分であること」から逃れられないのではないか、と思うようになりました。そのことで色々思い悩んだこともありましたが、木根さんの舞台に立つときはあまりそういうことを考えずに済むということに気が付きました。

何故かと理由を考えてみたときに、あくまで推測ですが(本人に自覚があるか分からないので)、木根さんの作品は「嘘が嘘であることを否定しない」、「作りものであることを自覚した上での上演」だからなのではないかと思いました。そのため、その役として生きよう、自我を無くそう、自分でない存在にならなければ、とわざわざ切り替える必要は無く、与えられた役を理解し、分析し、想像することで十分役者としての役目を果たすことが出来るのです。

つまり、その役について誰よりも知っていて誰よりも想像をめぐらせた「石川絵理」として舞台に立つことが許されているように思えるのです。だからこそ、変なプレッシャーを感じることなく純粋に演劇というものを楽しめるのかもしれません。


木根さんの作品で役者をやるにあたって私が勝手に一番大切にしていることは、そのシーンで「何が見えているのか」、「何が聞こえているのか」ということです。他の舞台に参加するときとは違って、役をとことん作り込むなどのいわゆる「役作り」をしようと思ったことはありません。その代わり、ふとした瞬間、例えば稽古場からの帰り道に、「これを見たらあの役はこう思うかな」と想像してみたり、「こういうときはこういう匂いがして、こういう音がして、こう感じるんだ」などということをちょっとストックしてみたりする。そういうことを繰り返して、確かにここにいるのは自分なのに何だか自分でないような感覚、いつの間にか自分の心に役がちょっと居場所を作っているような感覚をおぼえるようになります。この感覚は木根さんの作品ならではというか、他ではあまりないものかもしれません。いつもだったら本番直前はその役の思考回路に切り替え、とことん集中するのですが、木根演出のときは「これから私はこの役として舞台に立つんだなぁ」と考えて、その役にとって聞き馴染みのある音や、見慣れた風景を想像するくらいで、特に自分を別のものに変えようという意識はありません。もちろん演劇をやる上で、またエンタメ、コメディ、サスペンス、青春もの等の舞台に立つ上で、自分から遠くかけ離れた人間になろうとする楽しさも大いにあります。しかし木根作品に携わるときはあえて肩の力を抜くことで、物語を紡ぐということを大切にして、それ自体を楽しむことが出来るのです。


無理に別人格を引っ張り出してこない分、人によっては私がそのまま舞台に上がっているように思える人もいると思います。


木根さんは役を役者に当てはめるのではなく、役者にとって役を「はまり役」にしてしまうのが上手いのだと思います。

木根さんが脚本を書いたときに思い浮かべていたイメージを元に、役者が実際に動いてみてひらめいたことや、そのとき得たインスピレーションを柔軟に取り入れ、活かしていく。それ故に、「なんだ、役者は素でそのまま舞台に上げられているだけじゃないか」と感じやすいかもしれません。しかし、私が実際そのシーンのその状況に立たされたときに、「石川絵理」が本当にその台本のように喋るかどうかは分からないわけで、つまりそれは既に私自身ではないのではないか、と私は思うのです。私が立たされたことのないシチュエーションで、自分が考えたわけではない言葉を発しているのだから、それは「石川絵理」のようで「石川絵理」ではありません。私はそう思うからこそ、無理に自分を押し込めたりせず、こういうときはこうしたらどうか、こうするのではないか、と演出に提案し、一緒に作品を形作っていくことが出来るのです。そういうスタイルで作品を作っていくので、木根さんの稽古場に台本は必要なく、私たち役者は自然とその役の言葉を話すようになります。」


横山媛香

大学入学後、演劇サークルに入り演劇を始める。1年次から3年間で計7回公演に出演。サークルの同期とともに立ち上げた団体で、外部で公演をおこなったこともある。



「演技をする人はよく抱く感覚かもしれませんが、役を演じることで自分以外になれる感覚が、私は好きです。自分が経験した事のない人生や、自分の中からはなかなか生まれてこない感情を、役を通して体験できるのが魅力的だと思います。

木根さんの作品に出演させてもらうのは、今回で2回目ですが、また木根さんの作品に出たいなと思ったのは、木根さんの描く登場人物が魅力的だということが一つ大きな理由としてあります。温かみがあって、愛おしいやり取りを繰り広げる登場人物たちに憧れがあるのだと思います。そんな自分にはないものをたくさん持っている、憧れの人物を演じることで、自分自身も影響を受けると同時に、お客さんにも何か感じてもらえるのではと思えたことがよかったと思っています。」


話を聞いてみると、二人が感じる、キノパカ企画に対する魅力は大きく異なっていました。「自分でいてもいいこと」「自分ではなくなりたいと思えること」その二つのことが共存し、全て叶えられた上で作品が出来上がってい久野がキノパカ企画のようです。


だからこそ、キノパカ企画の作品は、きっとあなたのことも包み込んでくれます。


皆様のご予約、クラウドファンディングでのご協力、お待ちしております。