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今は無き劇場に…(エッセイ)

2022.10.31 01:03

もう10年以上にもなる。


我々が東京の東側を拠点にしている事もあり、

劇場選びは当時、かなりシビアな状況でした。


小劇場演劇というとどうしても東京の真ん中(新宿・澁谷・池袋)から「西側」と言うイメージが強いかと思います。

その代表的な場所としては下北沢あたりがわかりやすいでしょうか。


そんな中、我々の様な場末の社会人劇団においては舞台装置の搬入(アトリエが葛飾区の為)などの関係でどうしても遠いとなるので東側で劇場を探す事となるのです。


当時、極小の劇場が全く無くて…

というのはキャパが3〜40席で楽屋もまともな受付ロビーも無いですが、安価な極狭の劇場の事です。この手の劇場もやはり都心に集まっていた為、さらに昔は池袋や阿佐ヶ谷あたりで公演をやっていました。


そんな中見つけたのが浅草橋にあった「アドリブ小劇場」という劇場でした。


このサイズでは異例の「固定席」だけで60以上、パイ席と桟敷(さじき)席を入れるとMAX100席オーバーという劇場でした。(仕様書には120席ってか書かれてた気がするけど)


劇団拠点の新小岩から都心に向かって5駅とトラック搬入搬出としては最適だった訳です。


が、まずは我ら劇団がこの劇場を使うに値する力を持たねばならないというのが最大の難関でした。


集客に関しても、そして舞台装置に関しても、何よりただやりっぱなしの公演をある程度アマチュア劇団といっても多少なりとも「興行」にしていかないとならない知識と経験が何もわからなかった我々には必要だったからですね。


最終的には7回ほどこの劇場を取得して公演をした訳ですが、その間も色々な思い出があります。

「常小屋」として長年演って行きたいと思っていた劇場ではありましたが、時代の流れの中で惜しくも閉館してしまい。今はありません…。


現在、東京の東側にもいくつか小劇場と呼ばれるところは点在してますが、個人的にはここよりも我々に適した劇場は今の所見当たらないのが現状です。


またこのような小劇場が現れる事を切に願うばかり。


それどころか、都内小劇場がこれ以上減らない事を願うばかりです。