猫にしつけはできる?
犬に比べて猫は「自由気まま」というイメージがありますよね。確かに好きな時に好きなことをして、人の指示に従おうという気はあまりなさそうに見えます。しかし、ペットである以上、家の中で人と一緒に生活するためには最低限守ってほしいルールというものがあります。しつけをすることができないといわれている猫に、人と生活するためのルールを守ってもらうためにはいったいどうしたら良いのでしょうか?
猫は本当にしつけができないの?
確かに猫が「待て」や「ふせ」という人の言葉に対して、きびきび動く姿はあまり見たことはありません。猫は人に何かを指示されても、喜んでそれに従おうという気はありません。もともと単独生活をする猫は群れで生きる犬のように「リーダーの(家族の人)言うことを聞かなきゃ」という気持ちはないため、犬と同じ方法でしつけをすることはできません。しかし、人間と一緒に生活するペットである以上、猫にも最低限教えておきたいしつけがいくつかあります。
今回は、以下の4つについて説明していきます。
・ 決められた場所でトイレをしてほしい
・ 決められた場所だけで爪とぎをしてほしい
・ 人の食べ物を盗み食いしてはいけない
・ 人を攻撃してはいけない
ネコちゃんのしつけは習性を利用して「間違ったことをしないように導く」ことがポイントです。
トイレのしつけ
トイレの場所は、まず人や同居猫(犬)があまり通らない、落ち着いて排泄できる静かな場所や、部屋の隅などにトイレを設置しましょう。もし猫が別のところで床の匂いをかいだり、地面を掘るようなしぐさが見られたらすぐにトイレに連れて行き、排泄をさせます。猫はもともと決められた場所だけで排泄しようとする習性があるため、一度トイレの砂の中にその子の排泄物のにおいが付着したら、ほとんどの場合は2回目から自ら進んでトイレに行くようになります。
①失敗しても決して怒らない
②トイレをしている時に邪魔をしない
③排泄物はなるべくすぐに片付ける
この3点を守ればトイレは比較的簡単にしつけることができます。
爪とぎのしつけ
猫は古い爪をはがして新しいとがった爪にするためと、爪跡と肉球の匂いをつけて自分のなわばりを示すために、爪とぎをする必要があります。ですから家の中には必ず爪とぎができる場所を作ってあげる必要があり、決められた場所でするように教えることによって、少しずつ習慣化していきます。
爪とぎは爪が適度に引っかかり、猫自身がとぎ心地がいいと思えるものを、本人がとぎたいと思う場所に設置してあげましょう。猫によって床でとぎたいと思う子もいれば、柱でとぎたいと思う子もいるので、好みに合ったタイプの爪とぎを用意しましょう。気持ちよく爪とぎが出来る場所を作ることによって、他のものに爪を立てないようにするというしつけをすることができるのです。
盗み食いをさせないしつけ
よく、猫がテーブルの上に乗って、人間の食べ物を盗み食いしてしまうという話を聞きます。どんな動物でも、悪いことをしたら怒るなどを繰り返せば、好ましくない行動を抑制することができるようになるかもしれません。しかし、それはあくまで人がいるときの話で、人が見ていないときにこっそり食べ物を取ることを止めさせることはできないでしょう。
猫が盗み食いをしないようにするには、普段から人の食卓から食べ物を分け与えたり、人の食べるものを食べさせないことが大切です。でも、中には人の食べ物をあげていないのに、魚やかつお節など猫が好きな匂いによって欲しがる子もいると思います。あげるつもりはなくても、勝手に戸棚などを開けて食べてしまう賢い子もいますよね。人間の食べ物は猫にとって塩分が多いだけでなく、中には中毒を起こす恐れがあるものもあるため、食べ物をしまってある場所にはロックをかけるなど、猫が勝手に開けられない工夫をして盗み食いを予防しましょう。
人を噛んだり引っ掻いたりしないようにするしつけ
そもそも猫が人を攻撃するのには2つの理由があります。1つは人に対して恐怖心を抱いている時で、自ら進んで手を出すのではなく、人が必要以上に近づいてしまった場合に、本気で噛んだり引っ掻いたりしてきます。この場合は猫に恐怖心を抱かせるようなことは極力せず、少しずつ心を通わせていくしかありません。
もう1つは、遊びに誘っている時です。本気噛みではなく、人の手を兄弟ネコや獲物に見立てて軽く噛んだり、後ろ足でネコキックをしてくるので、実際に手は傷だらけになってしまいます。これを止めさせるには、ねこじゃらしやぬいぐるみなど人の手以外のもので遊ばせて体力を発散させるしかありません。十分遊んだあとに、ぷいっとその場から立ち去るようにすれば、それ以上人を噛んだり引っ掻いたりはしないはずです。
おわりに
猫は犬のように人の言うことをすすんで聞く動物ではありません。さらに叱ったりすると信頼関係にも影響してくるため注意が必要です。しかし、人のほうが猫の気持ちを汲んで、好ましい方向に自然に誘導してあげれば、猫も人のルールの元でストレスなく一緒に気持ちよく暮らすことができるようになるでしょう。