Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

西からやって来た氷期の狩人

2022.11.02 05:59

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/8040/886979  【西からやって来た氷期の狩人】

http://geolog.mydns.jp/www.geocities.jp/horiuchihiroe/tiiki/tiiki17/170122.html 【西からやって来た氷期の狩人】 

 1.旧石器時代とは?

 旧石器時代の区分/後期旧石器時代とホモ・サピエンス

 旧石器時代

 〇旧石器時代の期間 約250万~1万年間

 人類文化の表徴である石器をもとに分類

 人類が誕生した約700万年前以降を含めることがある。

 ●前期旧石器時代(250~20万年前)猿人と原人の時代

 ●中期旧石器時代(20~5万年前) 旧人の時代

 ●後期旧石器時代(5~1万年前)  新人の時代

 〇地球上における最後の氷河の時代(約7~1万年前)と重複

 *日本列島における縄文時代の始まりは約1万6000年前(最古の土器)遡るか。

 *旧石器人は、動物の狩猟と可食動物の採集活動により生活を営んでいた。また、定住することなく食料資源を求めて移動する遊動生活をしていた。

 *日本の後期旧石器時代は、現在のところ4万年前を初源としている。

 2.最終氷期の自然環境と日本列島の旧石器文化

 最終氷期の植生/最終氷期の動物相/日本列島における石器群の変遷

 3.相模台地における後期旧石器時代後半期の石器群について

 関東ローム層と相模野台地/相模の台地における石器群の変遷

 4.瀬戸内技法とサヌカイトー国府型ナイフ形石器の出現

 サヌカイトの岩石学的特徴と産状/瀬戸内技法と国府型ナイフ形石器

 5.近畿・瀬戸内地方の横剥ぎ石器群の変遷と特徴

 近畿地方における石器群の変遷/ナイフ形石器製作のための2つの仕組み

 6.東へむかった氷期の狩人

 瀬戸内技法と国府形ナイフ形石器の東日本への展開―北陸道は新幹線?

 7.狩人たちの東西交流

 南関東における国府型ナイフ形石器の位置づけー東海道はローカル線?

 まとめ―遊動・回帰する旧石器人


http://www.museum.city.nagoya.jp/exhibition/owari_joyubi_news/sekki/ 【石器に使われた石】より

 金属を知る前、人々は道具の材料として石を使っていました。どんな石でもよかったわけではなく、用途ごとに適した石が使われていました。とくに「切る」「けずる」といった用途には、刃物の刃のように鋭く割れて、じょうぶな石が選ばれていました。

 よく知られているのが黒曜石で、北海道や中部高地がよく知られていますが、日本全国で200か所ほどの産地があります。【写真①②】

①1北海道の黒曜石(北海道・白滝遺跡)

①北海道の黒曜石(北海道・白滝遺跡)

②中部高地の黒曜石(長野県・男女倉遺跡)

②中部高地の黒曜石(長野県・男女倉遺跡)

 また近畿地方・瀬戸内海地方ではサヌカイトという石がよく使われています【写真③】。サヌカイトによく似た下呂石【写真④】が岐阜県を中心に使われ、縄文時代の中ごろ以降になると、東海地方全体に広がっていきます。

③サヌカイト(奈良県・二上山遺跡)

③サヌカイト(奈良県・二上山遺跡)

④下呂石(石器は長野県・柳又遺跡)

④下呂石(石器は長野県・柳又遺跡)

 旧石器時代から縄文時代を通じて東海地方ではチャートという石が好んで使われています【写真⑤】。

⑤チャート(石器は長野県・柳又遺跡)

⑤チャート(石器は長野県・柳又遺跡))

 愛知県内に注目すると、尾張地方と西三河地方では、旧石器時代から縄文時代にはほとんどの石器がチャートで作られています【写真⑥⑦】。

⑥チャート(春日井市・上八田遺跡/個人蔵)

⑥チャート(春日井市・上八田遺跡/個人蔵)

⑦チャート(犬山市・入鹿池遺跡群/個人蔵)

⑦チャート(犬山市・入鹿池遺跡群/個人蔵)

ところが、東三河地方の石器をみると、白くてやわらかそうな石がとても多く使われています【写真⑧⑨⑩】。

⑧白い石(豊川市・日吉遺跡/個人蔵)

⑧白い石(豊川市・日吉遺跡/個人蔵)

⑨白い石(新城市・萩平遺跡/新城市教育委員会)

⑨白い石(新城市・萩平遺跡/新城市教育委員会)

⑩白い石(豊川市・鑓水遺跡/個人蔵)

⑩白い石(豊川市・鑓水遺跡/個人蔵)

この白い石はもとから白かったわけではなく、風化して白くやわらかそうな外観になってしまったのです。新しく割れた部分の内側には、濃い色が見えます【写真⑪⑫】。

⑪白い石の割れ口(豊川市・鑓水遺跡/個人蔵)

⑪白い石の割れ口(豊川市・鑓水遺跡/個人蔵)

⑫石材標本/白い石の断面(新城市・萩平遺跡)

⑫石材標本/白い石の断面(新城市・萩平遺跡)

これら白い石は、流紋岩、頁岩、溶結凝灰岩などいくつかの種類の石が風化したものです。もともとは硬く鋭く割れる石だったのです【写真⑬】。

⑬石材標本/溶結凝灰岩など

⑬石材標本/溶結凝灰岩など

 今回の「石器に使われた石」では、黒曜石やサヌカイトなど全国的に使われた石、チャートや白く風化する石のように地域的に使われた石、そしてそれらの石で作られた石器をご覧いただきます。