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男体山の活火山指定

2022.11.02 06:25

https://finding-geo.info/Tochigi/Nantai_Volcano.html 【男体山の活火山指定】より

 男体山は、日光火山群の一部をなす成層火山です。2017年6月20日、火山噴火予知連絡会は日光火山群の男体山を新たに活火山と認定しました。これは、男体山の最新の火山噴火が約7000年前に起きたことが新たに確認され、活火山の定義である「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」に該当することになったためです (火山噴火予知連絡会の報道発表資料のページはこちら 外部リンク)。

男体山の南側斜面男体山の南側斜面。南から眺める男体山は、きれいな円錐形の山体を成しています。日光市歌ヶ浜にて。2000年2月撮影。

活火山認定の経緯

 1万年よりも新しい火山活動があることが最初に報告されたのは、2008年の日本地質学会です。このとき、学会ではプレス発表を行いました (そのときの資料はこちら 外部リンク)。また、当時の火山噴火予知連絡会にも報告されています (そのときの資料はこちら 外部リンク)。

 その後、男体山の火山地質や活動に関する詳細な論文も公開されました。その結果、噴火の年代が明らかになるとともに、男体山の形成史もかなり解明されてきたと言えるでしょう。

 男体山の地質については、日光火山群のページにある「男体山の火山活動と地質」で詳しく紹介しています。また、3D地質図で、男体山を初めとする日光火山群の地形と地質の特徴を、ぜひご覧ください。

日光火山群の3D地質図はこちら

(産総研 栃木県シームレス地質図)

今後の活動

 男体山が活火山に認定されたといっても、新たに噴気や地震活動が始まったわけではありません。男体山の最後の火山活動時期が従来考えられていたよりも長引いていて、その終わりが1万年前よりも新しいことが分かったのです。一方で、日光火山群の地下には引き続きマグマが存在しており、日光白根火山では有史時代の噴火も記録されています。国や大学等の機関による火山活動の観測態勢は既にありますので、明らかに通常と異なる現象があればとらえることが出来る可能性は大きいでしょう。

 関連する情報として、「栃木県の活火山と地震」のページもご覧ください。

男体山の西側斜面男体山の西側斜面。西側からの眺めでは、男体山は山頂部が広く見えます。日光市千手ヶ浜にて。2000年2月撮影。


https://www.okunikko.co.jp/staff_blog/2017/06/21/%E3%80%8C%E7%94%B7%E4%BD%93%E5%B1%B1%E3%81%AF%E6%B4%BB%E7%81%AB%E5%B1%B1%E3%80%8D%E5%A0%B1%E9%81%93%E3%80%82%E4%BD%95%E3%82%82%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93/ 【「男体山は活火山」報道。実は何も変わっていません。】より

昨日、「男体山が活火山に認定された」と各テレビ局のニュース報道がありました。

ニュースのこの部分だけを聞くと、「男体山は危険らしい!」と思ってしまうかもしれないので、簡単にご説明を。

ちょっと振り返っていただくと、学生時代には火山は「活火山・休火山・死火山」の3つに分けられていたのではないかと思います。

大まかには…活火山…現在活動している火山。休火山…現在は活動していないが、文献で噴火があったことが確認できる。死火山…歴史時代の噴火記録が無い。

ただ、地球の活動に対して人間の歴史というのはあまりにも浅く、歴史上の資料だけの分類には意味が無く、また技術の発達により有史以前の活動記録も調査が可能になりました。

そんなことから、2003年に【概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山】を活火山として定義されなおしました。

従来男体山の最後の噴火は12,000~14,000年程前とされていた為、「活火山じゃない」とされていました。

ところが、2008年に発表されていた7000年前の噴火の形跡が正式に認められ、「活火山」のカテゴリーに入った。このような流れです。

なので、「活火山として認定」というよりは、再分類の方がイメージに近いでしょうか。

ニュースの最後はどれも、【男体山は現在静穏である】と結んでいます。

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そもそも、現在の奥日光自体が男体山の活動によって作られたもの。

男体山の活動の形跡は、奥日光の各所で見られます。

冒頭の半月山からの眺めは、男体山が中禅寺湖を堰き止めている様子が見て取れますし、

堰き止め箇所となっている華厳滝の観瀑台右手に見られる

柱状節理は、まさに男体山の溶岩が冷えて固まったもの。

どうぞ安心して、奥日光の観光をお楽しみください。

いつもの観光も良いですが、【男体山の活動の形跡を辿る旅】、なんていうのも面白いかもしれませんね。