にせ刑事
にせ刑事
The Bogus Detective
2007年11月21日 京橋 東京国立近代美術館フィルムセンターにて
(1967年:日本:92分:監督 山本薩夫)
山本薩夫監督特集
わたしが物心ついたときは、石原裕次郎にしても、勝新太郎にしても、もう大御所という感じで、若い頃、銀幕のスターとして輝いていたころ、は知らないのです。
この映画の勝新太郎は、とても若くて、イキイキとしていて、お茶目で、それでいて正義感あふれる若い刑事です。
美男・・・という基準は人それぞれですが、わたしとしては美男よりも、可愛い・・・人でした。
タイトルのように、主人公の刑事、勝新太郎は、実家が魚屋で父(加東大介です)に、魚屋を継げ・・・と言われても、刑事になった、刑事ひとすじの男。
しかし、川に落ちた男の子を助けようとして服を脱いで、無事助けたものの・・・・誰かが脱いだ服から拳銃を盗んでしまい、刑事剥奪。
しぶしぶ、魚屋を継ぐのですが、そんな時、誘拐事件が起きる。
正義感からもう、いてもたってもいられない・・・刑事と偽って捜査を始める・・・というもの。
勝新太郎が、大活躍するコメディタッチの刑事物。
とはいえ、本当の正義感とは何か・・・という事も鋭く追求していて、観た後さっぱり忘れてしまうような薄っぺらい娯楽映画ではありません。
警察の上司が、伊藤雄之助ですね。
魚屋を継いでも、テレビで刑事ものに夢中になっている姿など可愛らしいです。
勝新太郎というと座頭市かもしれませんが、この映画での勝新太郎のまっすぐな正義感ととんちんかんであっても突進する元気の良さがスクリーンから活き活きと伝わってきます。
今時の若いものは・・・なんてつい言ってしまう年になったのですが、こういうとにかく元気がいい!!!体力ありますっ!!!というぴちぴちとした若い人というのをあまり観ないような気がします。
楽をしたいとか、鬱屈しているとか、涙を誘うような優しさとか・・・時代が違うのひとことでは、納得いかないものがあるなぁ、と思います。
とにかく、元気いい勝新太郎!!!