それぞれのシネマ
それぞれのシネマ
To Each His Own Cinema/Chacun Son Cinema
2007年11月17日 東京国際フォーラム・ホールにて(第8回東京フィルメックス)
(2007年:フランス他:119分)
オープニング作品
今年で60回をむかえたカンヌ国際映画祭が、世界の監督35人に「シネマ」をテーマに3分間の短編を製作依頼したもの。
この映画をオープニングにしたところ、観られないと思っていたので(北野武監督編は、『監督・ばんざい』の時、上映)、嬉しいと同時にかなり、びっくりしました。
さすが、監督、そして作品主義を貫く東京フィルメックスであります。
この映画は、どれだけ監督を知っているか・・・で楽しみ方は、違ってくると思います。
最初に監督名は出ず、短編が終わってから、○○監督でした・・・と出るので、「おお~~~」と感心する2時間です。
3分間X33短編なので、ひとつひとつを語る事は難しいのですが、シネマ、映画がテーマとなっているだけに、映画館をメインにもってくる作品が多い中、デヴィット・クローネンバーグ監督だけは、「3分間トイレだけ」だったりします。
また、あの長回しのテオ・アンゲロプロス監督が「3分間」なんて・・・とか、観ていて興味深いものがありました。
一番、印象に残っているのは、ケン・ローチ監督編で、映画館のチケット売り場に並ぶ父と息子の会話。
何がいいか、あれこれ・・・ホラーもあるぞ、アクションもあるぞ・・・ともめにもめるのですが、自分たちの順番になって息子が叫ぶ。
「サッカーのほうがいいよ!」・・・・父も「おお、そうだな、サッカーにしよう!」と去ってしまう親子に笑ってしまいました。
「今の映画事情」・・・様々なメディアが発達して、昔のような映画黄金時代ではないことを、親子の会話でさらりと風刺するところが、ケン・ローチ監督らしいところでもあり、コメディタッチなオチが、とても印象に残りました。
エリア・スレイマン監督は相変らず自分が出てきて、あの飄々とした顔が久しぶりに観られたのも嬉しいですし、世界最年長の監督、マヌエル・デ・オリヴェイラ監督も入っていたり、日本では北野武監督・・・というように、監督の選び方もカンヌらしい選び方です。
日本からは1人だけだった、というのは寂しい気もしますが、世界の評価・・・というものもよく現わしていると思います。
しかし、北野武監督編で、最初自転車に乗ってきた、たったひとりの観客(大人一枚、ではなく農業一枚、と言う)・・・帰りはとぼとぼ歩いて帰る・・・自転車を持っていってしまったのは誰?