【朗読動画】「注文の多い料理店〜序」をアップしました!
こんにちは、舞姫☆ちあき☆です。
盛岡は紅葉、真っ盛り。この前まで緑深きうるうるしていた葉っぱが、今は色を変えて地面に落ちていることが不思議でたまらないな〜と、ひんやりした風を浴びながら落ち葉の絨毯を歩いていると、ふと、こんなことを思いました。
秋になると、広葉樹は色を変えて落ち葉になるのは、もうみんなの当たり前ではあるけれど、なんでそういうふうに神様は決めたんでしょうかね〜。不思議!
葉っぱが土に潔く還っていく姿を目の当たりにすることで、寂しさや儚さ、美しさを感じたり、大きな力に生かされ巡っていること感じられるようにと、もしかしたら神様の意図がそうさせたのかもしれないですね(^^)
さてさて、今日は新しい朗読動画をアップしましたのでお知らせいたします。
今回は鮮やかな黄色が眩しい桜の木の下で、宮沢賢治作品を青空朗読しました♪
皆さんは、『注文の多い料理店(全集)』の冒頭に書かれている「序」をご存じでしょうか。
これから始まるイーハトーブ童話を読む前に、心でお話を楽しめるようにと賢治さんのお計らいで書かれたものなのかなと思うのですが、
とにかく、私はこの「序」が大好きで、読むたびに、心に隙間ができて、スーーーッと風が入りこんでくるような爽やかな気持ちになるのです。
読むたびに、立ち止まり、今、目の前にある景色を心の眼でじっーっと感じようって思えてならないのです。なにもないように感じて不安になってしまう時も「ちゃんと、たくさん、ここにあったな〜」と思い出せてホッコリします(^^)
この日、「序」を声に出して読んでみると、まるで大正十二年から令和に生きる私たちへ、賢治さんから頂いたラブレターを読んでいるような気持ちになりました。
賢治さんももしかしたら、この桜の木の下に座っていたかもしれないですね。
ぜひ言葉を感じて楽しんで頂ければ幸いです。
〜序〜
わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、
きれいにすきとおった風を食べ、
桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。
わたくしは、そういうきれいなたべものやきものをすきです。
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野原や鉄道線路やらで、
虹や月あかりからもらってきたのです。
ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです。
ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。
なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。
大正十二年十二月二十日 宮沢賢治
賢治さん、ありがとう。