韓国という憂鬱、人間社会の狂気と理不尽を見せつけるトラウマ国家②
原因究明と責任追及は果てしなく続く
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、「国民の生命と安全を守るのが国家の責任だ」と繰り返し表明してきた。戦争でもないのに、156人(11月3日現在)もの若者が犠牲になった。国民を守るという国家の責任を果たさなかったのは明らかで、セウォル号事故と同様に、今後は政権批判の材料に使われ、果てしない責任追及が続くことになるだろう。
最大野党「共に民主党」の朴洪根(パク・ホングン)院内代表は3日、この事故の真相解明と責任者の処罰のための国政調査要求書を近く国会に提出する方針を明らかにしている。
野党の国会議員からは、当日、梨泰院の警戒任務についた警察の主な役割が麻薬捜査だったことについて触れ、以前に「麻薬との戦争」を宣言した韓東勲(ハン·ドンフン)法務部長官の責任を指摘、雑踏警備に警察の要員が割り当てられなかったのは麻薬捜査を優先したためだと非難した。
また、左派系のラジオニュース番組のキャスターは、過去のハローウィンでは梨泰院では「一方通行」の規制が執られたと主張し、今回、そうした規制が執られなかった責任を追及した。しかし、管轄の警察署は、過去に「一方通行」措置がとられたことはないと否定している。いずれも事故責任の追及を政権批判に結びつけるため、世論を誘導する企図があることは明らかだ。
(2021年4月24日撮影 在韓日本大使館入り口で反日デモを警備する警察)
海外メディアも批判 外交問題にも
セウォル号沈没事故では、犠牲者の遺族がいまだに「真相究明」と責任者の処罰を求めて調査のやり直しを要求し続けている。検察の捜査や特別委員会の調査はすでに9回目か10回目に及び、問題の処理はおそらく永遠に終わることがないように見える。
今回、セウォル号事件と違うのは、犠牲者のなかに外国人が14か国26人も含まれていて、すでに外交問題にも発展していることだ。イラン人5人が犠牲になったイラン外務省の報道官は31日、「韓国政府の現場管理は不十分だった」と批判したほか、ニューヨーク・タイムスなど欧米の主要メディアの多くが、韓国警察の警備体制の不備を指摘している。 韓国政府は、事故原因の究明とともに、外国人犠牲者とその遺族に対する支援や後続措置などで、外交的な対応も迫られることになるだろう。
そして、今回の雑踏事故の信じられないような状況が広く海外にも伝わることによって、K-POPや韓国ドラマを通じて世界の若者の間に広まった好印象の韓国のイメージが徹底的に破壊されたことは、外交問題以上に国家的な損失といえるだろう。
海外に伝えられた事故の異常な真相
オーストラリア人犠牲者となった女性など友人2人と事故現場にいたオーストラリア国籍のネイサン・タバニティ(Nathan Taverniti)さんは、動画共有サイト「TikTok」を通じて当時の状況を説明し、犠牲者たちは「(韓国)政府に見捨てられた人々」だったと非難している。
タバニティさんは「多くの人々が集まることが予想されたのなら、なぜ備えなかったのか」と訴え、「予防対策の欠如が惨事の原因だった」と指摘する。そして「警察と救急サービスの人材が不足した」とした上で、「誰も助けようとしなかった。私は自分の友人が息絶えようとしている間に人々が事故現場を撮影したり歌を歌って笑ったりしているのをずっと見ていた」と当時の現場の状況を伝えている。「人々が死んでいっている状況のなかで、私たちは人々に向かって『後ろに下がって!』と大声を張り上げたが誰も聞いていなかった」「警察が到着するまでの30分間、支援の人々が投入されるまでに1時間かかったし、救助隊が来るまではもっと長くかかった」と証言する。
<中央日報11/1【韓国梨泰院圧死事故】「友人が死んでいくのに人々は笑って歌って…」豪犠牲者の友人が嗚咽>
突きつけられた韓国人の非情な人間性
さらに新聞は、事故を聞きつけて現場に駆けつけた国立がんセンター家庭医学科のカン教授(女性)の以下のような目撃談を報じている。
カンさんは、現場に到着したあと、午前3時過ぎまで3時間あまりにわたって倒れた人々への心臓マッサージ(CPR)を行い、また周囲の人々にCPRの方法を指導した。現場では多くの犠牲者に懸命のCPRを施したが、息を吹き返したり、脈が戻ったという人は確認できなかったという。疲労困憊して30分近く道路脇に座り込んでいたとき、通りかかった20代の数人が「弘大(ホンデ)に行って飲み続けようか」と言うのが聞こえたという。カンさんは「その話を聞いた瞬間、身震いした。他人の死の前で何も感じないまま、次の飲み会を探していた。(悪夢のような記憶として)一生忘れられないと思う」と話したという。
<中央日報11/1【韓国梨泰院圧死事故】「3時間CPR」医師が絶望した時…「弘大でもう一杯飲もうか」言葉に鳥肌>
K-POPの華やかなイメージだけではない韓国
弘大(ホンデ)というのは、ソウル市内の新村(シンチョン)や大学路(テハンノ)と並ぶ若者たちの街だ。
人で身動きできない狭い路地に、なおも入ろうとする人がいて、しかも、それでもなお「押せ、押せ」という声が後ろから聞こえてきたという証言があり、これだけでも信じられないのに、大勢の人々が死んでいった場所で、写真を撮ったり、踊ったり歌ったりしてなおもふざける若者がいて、「弘大(ホンデ)に行って飲み直そうぜ」という会話が平然と交わされる世界とは、いったい何なのか、「身震いする」思いなのは同じだ。
事故の原因を究明し、その責任を追及するのも、結構だが、K-POPや韓国ドラマを生み出した韓国とは、こんな精神文化の国であり、醜い人間性を見せつける若者たちが大勢育ってしまった国であるという現実が、世界に広く知らされたという事実こそ、深刻に受け止めるべきではないか。
(2021年4月24日撮影 在韓日本大使館入り口で反日デモを警備する警察)