1735km
1735km
1735KM Jackfruit Thorn Kiss
2007年11月4日 NHKふれあいホールにて(第8回NHKアジアフィルムフェスティバル)
(2005年:ベトナム:110分:監督 グエン・グエム・ダン・トゥアン)
ベトナム映画ですが、監督はアメリカで映画を学んだそうです。
戦争とか宗教といったものはなく、列車の中で出合った男女が、ひょんなことから、道連れになる・・・というロマンティック・ラブ・ストーリー。
ついベトナムというと、ベトナム戦争の影が深く落ちているのですが、この映画は、ごく普通の人々を描いた恋愛映画です。
ハノイからサイゴン(現ホーチミン市)に戻ることになった、女性チャムアン。
映画では銀行に勤めている・・・と言っていますがフィナンシャル・アナリストという働く女性です。
金持の実業家と結婚が決まって、祖母に会いに行った帰りの列車。
ハノイからサイゴンまでは、1735kmあるんですね。
そこで、隣の席に座った青年、キエン。
キエンはというと、建築家をめざしているものの、普通の会社の枠にはまりたくない、と放浪の旅をしている所です。
お金持のプライド高い働く女性と、鷹揚で、のんびりした青年。
しかし、ひょんなことから2人は、列車から取り残されて、自力でサイゴンに戻らなければならなくなる。
その間、喧嘩しながらも、協力しあう2人。
なんとなく恋愛感情が生まれても、女性は結婚が決まっているし、男性は生活力が全くない。
価値観も全く違う・・・それを2人の会話で描いています。
気が強くて、上昇志向なのは、女性のチャムアンで、でも、やはり、いざ、というときに頼りになるのは人なつっこく、鷹揚なキエンなのです。
何故、列車で帰ることにしたのか・・・ということでは、2人は途中にある名所の寺などを見ておきたいから・・・ということで、フエ、ホイアン、ニャチャンといった外国人旅行者ではなくて、ベトナムの人が見ておきたい・・という名所がたくさん出てきます。
ですから、風景が、ものすごく綺麗です。
とにかく台詞の多い映画で、恋愛について、愛について、結婚観について、、、、とにかく話をする・・・という。
ヒロインが、かわいい・・・というより、仕事が出来て、金持と結婚が決まっていて、かなり、弁が立ち、気が強いのですね。
それに比べて鷹揚な男性。
会話の映画ですね。
男女の愛の問答なんて、『ベルリン天使の詩』みたい・・・2人は旅を終えて・・・ちょっと価値観や考え方が変わる。
それが、恋愛成就ですっという安直な完結法にはなっていないところがいいですね。
なんでもかんでも、恋愛成就が、映画のラスト、ハッピーエンド・・・というのは、アジア映画では意外と少ないです。
恥じらいというものの感じ方の違いなのかもしれませんが、すぐに「愛してる~~~」「わたしもよ~~~」で、ちゃらら~~~んと音楽が流れて抱き合う2人・・・でお終い・・・はわたしはもう、卒業かなぁ・・・なんて思います。
むしろ、この2人の出会いによって変わったところを、さらりと見せるところに知性を感じます。
恋愛成就がすべて!という見方は、安直という言葉が浮かんでしまうのでした。