文字式の利用。
私立中1年の数学の指導でのことです。
規則性の問題については、生徒に
どのように式を立てさせるか、状況に
応じて様々なことを考えます。
基本的には等差数列なので、
理解の速い子とかは
初項+公差×(項数-1)
でもいいのかもしれませんが、
具体的なイメージを持つことが難しいこともあります。
ですから、最も初期の段階では
以下のように指導を行ったりもします。
「3,7,11,15・・・
という数列があったとすれば、
数は4ずつ増えるということで、
必ず4の倍数が関係しています。
そこで、4の倍数を書き出してみます。
4,8,12,16・・・
すると、数列を見比べれば、
4,8,12,16・・・4n
3,7,11,15・・・4n-1
という関係が見つかると思います。
式の立て方で何か不安があるときは、
こんな具体的な方法も
頭に入れておいて良いと思います。」
この方法は、数学がとにかく苦手で、
通塾時期が遅かった中3生の子にもかなり有効で、
「この方法なら同じ数ずつ増える問題は
無双できるじゃないですか!」と大喜びでした。
変に意味もわからない公式を覚えるよりも
よっぽど具体性が高く、以降その子は
等差数列系の問題は全く間違えませんでした。
しかし実は、これは小学生的な発想です。
「これ、4の倍数より1小さいだけじゃん。
30番目とか言われたら、4×30-1でいいんでしょ?」
小学生は平気でそういうことを言うので、
頭が柔らかいのですよね。
しかし、本当は植木算的な発想で考えて欲しく、
初項+公差×(項数-1)
という公式も、実際は、
ある項にたどり着くまでに、公差を(n-1)回足せば良い
という簡単な理解に基づいているのです。
だから、小学生の理解も、
「30番目なら、最初の数に29回4を足せばいいだけじゃん。」
となればいいなと思っていますし、2クール目の
等差数列の授業は、小学生には統一的に
そういう授業を行ってきました。
しかし、4の倍数-1的な発想が役に立たないわけではなく、
中2の一次関数なんかでは初期の動きに対して、このタイプの
等差数列的な考え方が役に立ったりするので、
数に対しては多様な視点があって良いと思います。
そして、初項+公差×(項数-1)的な発想も、
実際は一次関数においても役に立ち、
いろんな面で繋がりを感じて欲しいと思っています。
横断的に色々な考え方が役に立ってきて、
その後の関数とか図形とかにおいても
広がりがあるので、文字式を扱う分野については
数の感覚を鍛えていく面でとても良い領域です。