西荻の魅力とは何か?それを確認させてくれる街フェス。【西荻ラバーズフェス】
それぞれの駅に、それぞれの文化が残っている東京の中央線。西荻窪も、他のどの街にもない雰囲気を抱えています。個人商店が並んでいる風景からは、そこに暮らしている人たちの顔が見えてくる街と言えるかもしれません。都会にありながら、どこかに懐かしさを感じる街。ビル建築が進む都心とはまったく違った佇まいがあります。その西荻を愛する人たちによるフリーフェスが「西荻ラバーズフェス」。実行委員長の高橋成彰さんに西荻の魅力を聞いた。
–––– 今年で3回目の開催となります。どんな思いを持って、フリーフェスを東京の西荻で立ち上げようと思ったのでしょうか。
4年前に店を初めて構えた「西荻窪」という街が思いの外、自分とよくフィットする気がして、どんどん好きになっていきました。商店会のみなさんに自分の仕事である、キャンドルやイルミネーションなど関わりを持たせていただくうちに、街に対して活動をする喜びを知りました。
お神輿でも、商店会活動でも、とっかかりは何であれ、街に関わっていくと近所の人と顔見知りになって、笑顔で挨拶ができる人が増えていきました。そのうち、「ありがとう」という嬉しい言葉をかけてくれる人たちも増えてきました。
「ありがとう」と言われると、何かお役に立てたのかな、と思うようになって、役に立って、みんなが喜んでくれて、それでにしおぎを大好きだーっていう人が今よりも増えて、それを機に西荻の街が今よりもっと良くなら最高ではないか、と思い立ち、その気持ちがアツアツのタイミングで最初の企画書を書きました。
–––– 3回目の今年は、どんな特徴を持っていますか。
3年計画の当初の予定通り、野外フェスとしては一旦今年で終わりになります。最後だからと、打ち上げ花火をあげるつもりもなく、純粋な去年よりのブラッシュアップ版です。
今回出店していただく、飲食や物販、ワークショップなど、西荻の各お店の個性とこだわりは本当に魅力的で、毎年、僕自身お客さんとして参加したい、できればビールも飲みたいと、本気で思います。これは他の実行委員も同じことを思ってると思います。やっぱり西荻大好きな僕らからしてみたら、やっぱり最高のフェスにしか見えませんから。
西荻でやってるのに西荻のお店がわざわざ準備をして出店してる。80店舗以上の店が揃う。普段は入りにくいお店、子連れでは行きにくいお店も、ハシゴできるんです。知らなかったお店、人、アクションも知るきっかけになります。
今回、初お目見えとなる「西荻ウルトラクイズ」も楽しみです。もちろん西荻のネタしかありませんし、優勝商品も西荻のアレです。
西荻であいましょう、というコンセプトになぞり、「であイス」というコンテンツの飲食可能のドームテントでは、西荻で共通の何かを持った友達ができるかもしれないイスが並んでいます。そして、西荻ラバーズフェスは公園だけがフェス会場ではありません。
西荻まちなかで繰り広げられる、まち歩きアドベンチャーは、フェスのシンボルにもなっている「こけしちゃん」にまつわるストーリーのカケラを街中からスタンプラリー形式で集める、というものです。そして、3年目となった西荻ラバーズナイトは、今回はフェス後の平日開催。1000円のチケットを手にハシゴできるという、お酒好きの西荻住民にとってはたまらない企画です。お一人様で参加をしていただければ、近所の友達もできるかもしれませんね。
–––– フリーフェスであり続けることへのこだわりとは?
代々木公園などで行われている、イベントというかフェスというか、無料ですよね。あの感じいいですよね。ただ散歩で通った人が、あれ、なんかやってる、って何かを見つけたり。街のマルシェの延長というか。フェスではないかもしれないですけど、そういうものでもいいなと。
特にこだわっているつもりはありませんが、一番最初は自分のポケットマネーで5店舗くらいの出店者を集めてアコースティックのライブをやって、予算30万円。まあいいや赤字でもいいからまずはやってみよう、という気持ちで始めました。その時点でで入場料をいただくイメージはなかったです。なんというか、変な話、ある日、急にアツくなってパッと3時間半で書いた企画書がきっかけなので、お金のことは全然。
毎年、9〜12ヶ月間ほど準備に要するフェスですが、実行委員は、たとえどんなプロフェッショナルな知識や技能を持っていようが、何100時間活動をしようがボランティアです。それは僕も一緒です。
例えば、地元の神輿を担ぐのに、またはその準備をするのに、お金はもらわないと思うんです。街のみんなでその街を盛り上げる、というそういう感覚でやってきているので、内部の人件費はゼロです。その分、予算はこの規模のフェスとしては相当コンパクトにやれていると思います。
–––– 西荻の魅力を教えてください。
人に聞くといろんな意見がありますが、僕はバランスだと思ってます。
田舎みたいな都会。都会みたいな田舎。新しいものと古いもの。人情味があったり、さっぱりしていたり。いろんな人が住んでるけど、何か目には見えない共通点があるような。
–––– 会場の桃井原っぱ公園とはどんな場所でしょうか。
一言で言えばシンプルな広い芝生の公園です。元々は零戦のエンジンを作っていた工場。それが自動車会社の工場になって、今はマンションが隣にある公園です。広くて、昼間はたくさんの子供たちが遊び、穏やかきわまいないです。
–––– 開催が目前に迫っています。どんなことを楽しんでもらいたいと思っていますか。またどんなことに注意してもらいたいと思っていますか。
作り手目線になってしまいますが、西荻のことを考え抜いて本気で作ったコンテンツたちですから、それはもう全部楽しんでもらいたいです。飲食物販のお店さんも普段フェス出店なんかする機会がないお店が、本気でやってきてますので。
あとは、どうでもいいとも思えるところに、こだわりが散らばってたりします。そこには根底にストーリーがあったり、暗号を仕込んでいたりします。とはいえ、この2年、そういった暗号やメッセージに気づいた人がいるのかはわかりませんが、そこは作り手としても楽しませてもらってやっています。
あとは、いくら都会のフェスとは言え、やっぱり野外のフェス。出店やコンテンツだけではなく、春の1日としても楽しんでいただきたいです。で、フェスはある意味では西荻のオマージュなので、西荻の街も行き帰りに是非立ち寄っていただきたいです。当日は8時から朝市、お昼には昼市と、西荻の街でも催しはありますし、ある意味、街が本物の西荻です。僕らが非日常的な作り物の西荻です。
注意点は、西荻ラバーズフェスはゴミ箱がありません。ゴミはおうちにお持ち帰りいただきたいです。それと、西荻が好き、という共通点を持った人の集まりの1日となりますので、ピクニックエリアなど場所を譲り合って、ついでにお隣さんとお話ししてみていただいたりしたら、もっと楽しくなるんではないでしょうか。
開催日:3月18日(日)
会場:杉並区立桃井原っぱ公園
入場料:無料
出演:Oi-SKALL MATES、おお雨 (おおはた雄一+坂本美雨)、シャムキャッツ、中山うり、ほか