簡体字の書道がありえるのか?
【質問】
日本では小学生になると必ず書道(毛筆)を習いますが、中国の子どもたちはどうですか? 簡体字の書道とはちょっとぴんとこないような……。
【回答】
中国の小学校には昔から書道の授業があり、中国は小学生の書道授業を非常に重視しています。 近年、進学需要に対応するため、書道や美術、音楽の授業をカットする学校が出てきました。これを受けて、今年、教育部は「義務教育学校管理基準」という指示を出し、中国の伝統文化の教育を積極的に行い、音楽・美術や書道の授業を国の要求に沿って全面的に実行することを求めました。
中国のほとんどの小学校では、3年生から書道の練習をさせています。常用漢字の書き方を少しずつ覚えていくことを目的としています。そこから、どんな字が美しくしいか、ということも学んでいくのです。生徒の美意識と学習能力を向上させるわけです。
そういえば、当方も子どもの頃、週1回、学校で書道の授業を習っていましたが、学校では硯、筆、練習帳などを購入することが義務づけられていました。授業で、自分で硯を水で研ぐ必要があったのです。今、小学生は既成のインクを買っています。
書道には、初心者向けの簡体字の法帖と、上級の段階で有名な書家を模倣するための伝統的な法帖があり、それは勿論繁体字のものです。つまり、中国の子供たちが簡体と繁体、二つのパターンで書道を習っているはずです。簡体字の段階で、初心者向けのものを習い、その後、上達するためには、繫体字の書道を把握しなければならないです。 中国では、子供に書道を習わせたいという親が大勢います。これにはいくつかの理由があります。
携帯電話やテレビを長期間に使うことは、子どもの視力低下などを引き起こす可能性があります。筆文字は、文字が大きく、書く速度もゆっくりので、視力を保護することにもつながります。
また、筆文字を書くことは、子供の誤字脱字の修正にとても役立ちます。ネットでチャットが好きことで、一部のネット流行語に惑わされて、間違った言葉を書いてしまう子もたくさんいます。
書道を学ぶことは、子供の人格形成と情操教育に大いに役立つと思われます。書道を練習するために、水のような静かな心を持つことが必要であり、やんちゃで活発な子供には最適な心理誘導法だと言われます。
書道家の拓本を模写することで、子どもたちは書道の歴史に興味を持ち始め、名筆の歴史に触れ、書道への理解を深めていくわけです。
本屋さんで古代の書道家の法帖を買えます。言うまでもなくその書道は繁体字です。書道に興味のあるお子様には、古代の書家の作品を研究し、筆で伝統的な文字を書くことです。古代の代表的な書道家とは、王羲之、孫過亭、顔真卿、黄庭堅などが印象深いです。
書道は長く深い歴史を持つ伝統芸術であり、繫体字を使わずに書道作品を作ることは、現代人がスーツ姿で歴史ドラマを演じるようなもので、どう考えてもおかしな話です。中国の子どもたちが書道の学習を通じて、中国の伝統的な繫体字や文化に触れることはとても素晴らしいと思います。
(メルマガ黄文葦の日中楽話第77話より)