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キミの時間

2015.09.27 03:00

【キミの時間】 

♂2人 ♀2人 計4人 

~30分 

 

槻白 一稀(つきしろ いつき) 

男、高校二年生。バカ。 

 

東条 沙耶(とうじょう さや) 

女、高校二年生。元気。 

 

和泉 悠真(いずみ ゆうま) 

男、高校二年生。お兄ちゃん系、委員長。 

 

一之瀬 詩織(いちのせ しおり) 

女、高校二年生。可愛い。 

 

 

沙耶ママ 

優しい。(詩織と兼ね役推奨) 

 

病院の先生 

(悠真と兼ね役推奨) 

 

―――――――― 

♂一稀: 

♀沙耶: 

♂悠真・先生: 

♀詩織・ママ: 

―――――――― 

 

 

――― 学校・朝 

沙耶「おはよー!」 

 

詩織「おはよ♪あれ?今日は一稀君一緒じゃないんだねー」 

 

沙耶「えっ!?なんであいつと一緒に来なきゃいけないのよっ」 

 

詩織「いっつも一緒にいるじゃん?」 

 

沙耶「ただ家が隣なだけだって言ってるでしょー。それ以上なんてないない」 

 

一稀「はぁ…はぁ…、おいこら!(バックを投げる)なんで起こしてくんねーんだよ!危なく遅刻するとこだったじゃねぇか!」 

 

沙耶「いったいなぁ…!なんであたしがあんたを毎日毎日起こさなきゃならないのよ!あたしはあんたの彼女じゃないの!」 

 

一稀「はぁ!?誰がお前みたいな馬鹿で、女の魅力の欠片もないやつを彼女にするかよ!こっちから願い下げだっつーのっ!!」 

 

沙耶「誰が……あんたみたいな脳筋、彼氏にするかってーーのっ!(鳩尾に蹴り)」 

 

一稀「っいってぇぇぇぇぇ!」 

 

悠真「おーおー朝からやってるねぇw夫婦喧嘩」 

 

一稀/沙耶「夫婦じゃない!」 

 

悠真「へぇ~。にしては、毎日毎日にぎやかなことで♪」 

 

詩織「まぁまぁ…二人とも落ち着いて…ね?悠真君も、茶化さないのっ!」 

 

悠真「だってさ、こいつらいじるの面白いだろ?」 

 

詩織「そうだけど……」 

 

一稀「あっ!そうだ沙耶、今日返ってくる数学の小テストで勝負しようぜ」 

 

沙耶「…は?なに言ってんのあんた。絶対に嫌」 

 

一稀「はっはーんwさては自信ねぇんだなぁ?www」 

 

沙耶「…いいわよっ。受けてたつわ」 

 

一稀「そうこないとな!んじゃ、負けた方が一つなんでも言う事聞くってことでっ!」 

 

 

――― テスト返却後 

一稀「ぶっwwwwww11点wwwだっさーーーーーーw」 

 

沙耶「なっ…そうやって馬鹿にしてるけど、あんたはどうなのよ!」 

 

一稀「ふっふっふっ…聞いておどろけ!俺は、26点だ!」 

 

沙耶「……」 

 

詩織「あ、あはは…」 

 

悠真「……お前ら…揃いにそろって赤点じゃねえか!なにしてんだよ!詩織ちゃんを見てみろ。満点だぞ!」 

 

一稀/沙耶「すいません…」 

 

一稀「で、でも!勝負は勝負だぜ!一つ言う事聞いてもらうからなっ」 

 

沙耶「な、なによっ」 

 

一稀「えっ…あぁ…そ、それは、思いついてからのお楽しみってことで♪」 

 

詩織「考えて、なかったんだね…」 

 

 

――― 二日後 

沙耶「…おはよー」 

 

一稀「あっれ~?沙耶さん遅刻ギリギリですよ~?お寝坊さんですかー?ww」 

 

沙耶「うるさい…」 

 

一稀「え…?え?え?そんだけっ!?ゆーまー!沙耶が!沙耶が冷たいよー!」 

 

悠真「こっちくんな!いい加減お前の対処に疲れたんだろ」 

 

一稀「うぅ・・・」 

 

詩織「沙耶?どうしたの?なんか元気ない…?」 

 

沙耶「え、ううん。大丈夫だよ。全然元気っ!ね?」 

 

詩織「そ、そう?ほんと?」 

 

一稀「あっ!そだっ、詩織!宿題うつさせてー!」 

 

詩織「あ、沙耶ごめんね。また後でね。もうっ、今日もしてきてないの?」 

 

沙耶「あのバカがほんとごめんねー。……けほ」 

 

 

――― 一週間後 

一稀「はぁ…はぁ…おいこら!(バックを投げる)あ、あり…?」 

 

悠真「いってっ!…いーつーきーくーん?何してくれてやがりますかねぇ!」 

 

一稀「ご、ごめんって!ほんとごめん!悠真に当てるつもりなんてなかったんだって!ほんと!――ぐぇ…ギブ…」 

 

詩織「ゆ、悠真君。そのぐらいにしないと一稀君が死んじゃうよ…」 

 

悠真「チッ…!詩織ちゃんに感謝するんだな」 

 

一稀「げほっ…げほっ…。ってか、沙耶は?まだ来てね―の…?」 

 

詩織「あ、沙耶ね。朝に連絡があって、今日は風邪で休むって」 

 

一稀「あいつが風邪?仮病の間違いだろww」 

 

悠真「エロゲの発売日、って休んでるお前と一緒にすんなっ(殴る)」 

 

一稀「いてっ…なんだよー!人をダメ人間みたいに!」 

 

悠真「それは伝わったのか。バカのくせに」 

 

詩織「あはははは…」 

 

 

――― 放課後 

悠真「いつきー、これ。沙耶ちゃんのプリント。届けとけよ」 

 

一稀「はぁ?なんで俺が?お前が頼まれたんだろー」 

 

詩織「一稀君、家隣でしょ?それに悠真君と私これから塾だから、ね?おねがい」 

 

悠真「そゆこと。よろしくなー」 

 

一稀「ちょっ…。はぁ…、めんどくせぇ…。沙耶のやつさぼりやがって」 

 

 

――― 沙耶宅 

一稀「おーい、さーやー!あっれ…?誰もいねぇのかな…?」 

 

沙耶「…げほげほ。ごめん…今開ける…」 

 

一稀「お、おう…ほんとに風邪だったのか。ほいっ、これプリント。叔母さんは?」 

 

沙耶「ありがと…。今出かけてる…」 

 

一稀「そか。…んじゃ、帰るわ。お大事にな」 

 

――ドサッ(沙耶が倒れる) 

 

一稀「っ!?さ、沙耶っ!?おいっ、どうした?おいっ」 

 

 

――― 病院 

沙耶「っ……」 

 

一稀「あっ…!沙耶!目、覚めたのか?大丈夫か?沙耶?聞こえてるか?」 

 

沙耶「……いつ…き?…ん、…ここは?」 

 

一稀「お前あの時病院が救急車失って意識が倒れただろ!?」(焦って) 

 

沙耶「……は?」 

 

一稀「だーかーら!」 

 

ママ「まぁまぁ、一稀君おちついて、ね。沙耶?大丈夫?あなた玄関で倒れて、一稀君が救急車呼んでくれたのよ」 

 

沙耶「そう…だったんだ…」 

 

先生「目が覚めましたか?気分はどうですか?とりあえず今日は入院して、明日検査してみましょうね。お母さん、少しお話があるので、こちらに」 

 

ママ「あ、はい。…じゃあ沙耶、また後でね。一稀君も、ありがとね」 

 

 

沙耶「……なん……よ」 

 

一稀「え?なに?聞き取れねーよ」 

 

沙耶「だから、なんでこんなことしたのよ。風邪で救急車呼ぶバカがどこにいるのよ」 

 

一稀「は?なんでって、おまえ」 

 

沙耶「救急車呼べなんて言ってないっ。頼んでないっ」 

 

一稀「そ、それは……んじゃっ、あのままほっとけばよかったのかよ!」 

 

沙耶「そうよ!ほっといてくれたらよかったのよっ」 

 

一稀「……あー、そーかよ!それは悪うござんした!もう知らね。そんなにほっといてほしいならもう関わらねーよ!……じゃあな」 

 

 

沙耶「……ばか。……こんなの…ただの風邪…でしょ…」 

 

 

――― 次の日 

悠真「おはよ―――っ!?いつきっ!?俺より早く来てるとか、どうしたよ!?」 

 

一稀「・・・おう」 

 

悠真「え?そんだけ!?どうしたよ?頭でも打ったのか?」 

 

詩織「おはよう。あれ?今日は一稀君早いんだねー」 

 

悠真「詩織ちゃん!おはよう。そうなんだよっ!一稀のやつおかしいんだって!話しかけても微妙な反応でさ…」 

 

詩織「え?えっとー…一稀君大丈夫?どうしたの?あ、そういえば今日も沙耶休むって来てたけど…、沙耶と何かあったの?」 

 

一稀「別に何もない…席着けば、先生くるよ…」 

 

 

――― 放課後 

悠真「いつきー、遊びに行くぞ!」 

 

一稀「はぁ…?そんな気分じゃねぇ…」 

 

悠真「知るか!強制だ強制!あ、詩織ちゃん悪いんだけど今日の塾は休むわ。ごめんね」 

 

詩織「はーい。わかったよー、伝えておくね」 

 

一稀「ちょっ…離せって!何なんだよ…」 

 

 

悠真「ふぃ~。遊んだ遊んだっ♪」 

 

一稀「なんなんだよ…。無理やり連れてきて、勝手に遊びまわって楽しんで。なにがしたいんだよ…」 

 

悠真「それはこっちのセリフだ。お前こそなんなんだ?その態度は。らしくない通り越してあからさますぎるだろ。なにがあったよ?」 

 

一稀「べ、別に…なにもねぇよ…」 

 

悠真「お前は変なとこで意地張るからな…。バカのくせに、いやバカだから、か?」 

 

一稀「何もねぇって言ってんだろっ」 

 

悠真「……はぁ。ま、どっちが悪いか知らねーけど。お前から謝れ」 

 

一稀「はぁ!?なんで俺がっ」 

 

悠真「やっぱケンカしてたのな。んじゃ尚更だ。そーゆーのは男から折れるもんなんだよ」 

 

一稀「チッ…わりぃ…もう帰るわ」 

 

 

悠真「…がんばれよ」 

 

 

――― 病院 

ママ「検査お疲れさま。明日の朝には退院ですって」 

 

沙耶「ほんっとだよ!いろんな機械使われて疲れた!ただの風邪だよ?ヤブなんじゃないの?」 

 

ママ「こらっ。そんなこと言わないの。検査結果は明後日出るみたいよ」 

 

沙耶「ママー?あたし元気だよ?ほらっ!ね?」 

 

ママ「そうね。……明日一稀君に会ったら仲直りするのよ?」 

 

沙耶「えっ!?な、なんのこと?」 

 

ママ「見てればわかるわよ。沙耶も一稀君も頑固なところあるからね。ずっとケンカしたままでいいの?」 

 

沙耶「それは、……やだ(小声で)」 

 

 

――― 次の日・昼 

悠真「今日も沙耶ちゃん来てないなー。ちゃんと謝ったのかー?」 

 

一稀「しらね…。邪魔、飯食うから…」 

 

悠真「はぁ…んなことだろうと思ってたけど。ほいっ卵焼きいただきっ」 

 

一稀「あっ、てめっ」 

 

詩織「あーっ、沙耶!ひさしぶりー。風邪は、もう大丈夫なの?」 

 

沙耶「詩織ー♪会いたかったー♪うんっ!もう元気♪」 

 

悠真「おっ!沙耶ちゃん、おはよ。元気そうだな」 

 

沙耶「ご心配おかけしましたっ!東条沙耶、完全復活ですっ」 

 

悠真「ははっ。みたいだな。おい一稀、嫁さん来たぞー」 

 

一稀「あっそ…」 

 

沙耶「あ…。あー!もう!悠真ったら、そんなんじゃないっていっつも言ってるでしょ!」 

 

詩織「あ…う…。そうだっ、沙耶はもうご飯食べた?購買行かない?」 

 

沙耶「いいね!詩織のおごり?あたし、すっごいお腹すいててさー」 

 

詩織「えー…。しょうがないなー、今日だけだよ?」 

 

沙耶「やったっ♪れっつごー♪…ほら詩織おそーい」 

 

詩織「あ、ちょっと沙耶、待ってよー」 

 

 

悠真「沙耶ちゃん、元気になったみたいだな。それに比べて、お前は……」 

 

一稀「なんだよ……」 

 

悠真「別に」 

 

一稀「意味わかんねぇ……」 

 

 

――― 放課後 

一稀「悠真!今日も遊(びに行こうぜー!)」 

 

悠真「わりぃ、さすがに二日もさぼれないわ。また今度な!」(被せて) 

 

詩織「一稀君またねー」 

 

一稀「…あ。はぁ…帰るか…」 

 

 

一稀「……」 

 

沙耶「……」 

 

一稀「なんなんだよ。なんで着いてくんだよ?」 

 

沙耶「……家こっち」 

 

一稀「じゃあ先行けば」(立ち止まる) 

 

沙耶「えっ…あ…えっと、明日検査の結果出るらしいよ…」 

 

一稀「あっそ…」 

 

沙耶「うん……。……それだけっ。じゃあね!」 

 

一稀「……はぁ」 

 

 

――― 数日後 

一稀「お前ら今日も塾だろ?じゃあ俺先帰るわ…」 

 

悠真「あ、おう。わりー、また明日なー」 

 

詩織「一稀君、またねー」 

 

 

悠真「詩織ちゃん、ちょっといいかな?」 

 

詩織「え?……あぁ…うん」 

 

悠真「一稀たちの事。あの元気バカが、ここ最近ずっと暗い」 

 

詩織「沙耶もあの日からまた、来なくなっちゃったし……」 

 

悠真「最初はケンカが原因っぽかったんだけどなー…こないだの感じでは、沙耶ちゃんは平気そうだったしな……」 

 

詩織「けど、あの日の沙耶はなにか無理してる感じだった、かな……」 

 

悠真「やっぱりそう思う?詩織ちゃんが言うなら、間違いないな。んー…、ケンカして沙耶ちゃんは仲直りしようとしてる、けど一稀が意地張ってる、ってとこか…?」 

 

詩織「うーん……。なのかなぁ?」 

 

悠真「ん?なにか引っかかることでもあるのか?」 

 

詩織「引っかかるっていうほどでも、ないかもしれないんだけどね……。休む前ぐらいからかな?沙耶、痩せてる気がして……」 

 

悠真「あー……、風邪じゃ…ない……とか?…なんて考えすぎだよなww」 

 

詩織「そ、そうだよねっ。私たちが考えてもわかることじゃないもんね!わたしの気のせいだと思うしっ」 

 

悠真「おう…。にしても、ほんとどーすっかなぁ……。あいつらがクラスのムードメーカーなとこあるしなぁ…。あんな風に落ちられてると、つまんなくなるよな」 

 

詩織「私たちにできること、ないかな?…仲直りさせるとか」 

 

悠真「一稀の背中は押したつもりだったんだがな…。あの頑固バカ、動く気ねーみたいだからな……」 

 

 

――― 帰り道 

ママ「あら、一稀君。今帰り?おかえりなさい」 

 

一稀「あ……。どうもです…」 

 

ママ「ちょうどよかったわ。一稀君にお話があるの。少しおうちに上がってもいいかしら?」 

 

 

一稀「コーヒーと紅茶、どちらがいいですか?」 

 

ママ「じゃあ紅茶もらえる?」 

 

一稀「どうぞ…それで、どうしたんですか?」 

 

ママ「ありがとう。……沙耶のことよ。何も聞いていないのでしょう?」 

 

一稀「……はい」 

 

ママ「驚かないで聞いてね?沙耶は……もう長く生きられないみたいなの」 

 

一稀「はっ!?えっ……嘘…冗談ですよね…?」 

 

ママ「こないだの検査の結果が出たの…」 

 

 

――― 回想・病院 

先生「先ほどお母さまにはお伝えしましたが、先日の検査の結果がでました」 

 

先生「大変申し上げにくいのですが、沙耶さんの体は日本では珍しい病気に侵されています」 

 

沙耶「えっ…先生?冗談ですよね……?だって、ただの風邪ですよ?嘘ですよね?何かの間違いですよねっ!?」 

 

ママ「……沙耶(優しく)」 

 

先生「現代の医学では、治療法がまだ見つかっておりません。もちろん、やれることは精一杯させていただきます。…が、沙耶さんはあと数年しか生きられないでしょう」 

 

沙耶「待ってよ!あたしまだ十六だよ!?あと数年なんて!ねぇ!せんせ(っ!おかしいよ!嘘はやめてよ!)」 

 

先生「辛いのはよくわかります。すぐに受け入れられる話でないことも」(被せて) 

 

沙耶「だって!こんなに元気だよ!?」 

 

先生「ですが、おそらく一年以内に、歩くことが困難になると思われます」 

 

沙耶「……歩けなく」 

 

先生「そうですね。今後については、正直に申し上げますと、入院していただいてもできることは限られてます。ですので、沙耶さんの意思次第ということになりますね。いずれは入院せざるを得なくなるわけですから」 

 

沙耶「……だ。…いやだっ!入院なんて!あたしは学校に行きたい!みんなと卒業したい!」 

 

ママ「沙耶……。先生、私からもお願いします。この子のしたいようにさせてあげてくれませんか?」 

 

先生「わかりました。できる限りのサポートをしましょう」 

 

 

――― 回想終了 

一稀「そんな…沙耶が…」 

 

ママ「ごめんなさいね。本当はすぐに伝えるべきだったのだけど…。あの子に止められててね。今話したのも、私の勝手なのよ」 

 

一稀「…いえ。話していただいて、ありがとうございます…」 

 

ママ「あの子を責めないであげてね。あの子もすごく苦しんでるの…」 

 

一稀「はい…。わかって、ます…」 

 

ママ「じゃあ、私はそろそろ行くわね。買い物に行くって出てきてるから。そろそろ戻らないと怪しまれちゃうわ」 

 

一稀「沙耶は…、ずっと家に?」 

 

ママ「そうね。ずっと部屋に閉じこもったままなの。ご飯は部屋の前に置いておくと、少しは食べてくれてるのだけど……」 

 

一稀「そう…ですか…」 

 

ママ「勝手なお願いなのだけど、これからもあの子と今まで通り、変わらずにいてあげてほしいの」 

 

一稀「それはっ、もちろんです!」 

 

ママ「ありがとう…。沙耶をよろしくおねがいね」 

 

 

――― 次の日 

一稀「……おはよ」 

 

悠真「うぃーっす。今日もギリギリだな。嫁さん今日も来てねーぞ?ほんとどしたよ?」 

 

一稀「え?いあ…、何も知らない。悪い…」 

 

詩織「一稀君、大丈夫?クマすごいよ…?寝てないの?」 

 

一稀「え…あぁ…。ちょっと寝れなくてな…」 

 

悠真「徹夜でゲー(ムでもしてたかー?)」 

 

詩織「保健室いこっ!少し休ませてもらおっ!」(被せて) 

 

一稀「えっ…いや…」 

 

詩織「理由は言いたくないならそれでもいいよ。けど、沙耶ちゃんも休んでて、一稀君もこんなんじゃ、不安だよ……」 

 

悠真「そうだな…。ほらっ!さっさと立て。保健室行くぞ」 

 

一稀「……あぁ」 

 

 

悠真「担任には伝えてきたから、そこのベッド使っていいってよ」 

 

一稀「悪い…。ありがと」 

 

詩織「……ねぇ、一稀君。沙耶となにがあったの?」 

 

一稀「……何もないよ」 

 

詩織「だって、メールも電話も連絡付かないんだよ?」 

 

一稀「……そっか、お前らも何も知らなかったのか。そうだよな……」(小声) 

 

悠真「ん?なんて言ったんだ?」 

 

一稀「いや…何も言ってねぇよ…」 

 

詩織「何か、知ってるの?」 

 

一稀「だから、何も知らないって……」 

 

悠真「……そうか。じゃあ、お前が寝れなかった理由は何だ?」 

 

一稀「っ……!それは……さっき言いたくないならいいって……」 

 

悠真「それは詩織ちゃんが言ったことだろ。俺は言ってないからな」 

 

一稀「……何もない」 

 

悠真「沙耶ちゃんが居なくて寂しいんだろ?」 

 

一稀「なっ…、そんな、わ、け」 

 

悠真「お前の自慢の明るさはどうしたよ?ケンカしたままでいいのか?」 

 

一稀「だからケンカなんてっ……してた……けど……。そうじゃねぇんだ……」 

 

悠真「そうじゃないって?」 

 

一稀「……わかんねぇ。何もわかんねぇんだよ……」 

 

悠真「もう気づいてんじゃねぇの?沙耶ちゃんのこと、好きなんだろ?」 

 

一稀「っ!!……好き……わかんねぇよ……そんな風に思ったことなんて……」 

 

悠真「ないのか?」 

 

一稀「……。……少し、一人にしてくれ……」 

 

悠真「……」 

 

 

詩織「……いいの?」 

 

悠真「さぁ…?たぶん?」 

 

 

――― 次の日 

沙耶「おっはよー!みんなー!元気だったー♪」 

 

詩織「沙耶ーっ!メールも全然返事ないから心配したんだよっ!」 

 

沙耶「あははっ。ごめんごめん、ちょっと忙しくてさー」 

 

詩織「もう…。けど、元気そうでよかったー♪ここ最近一稀君もずっと変でさ、何かあったのかと思ってすごく心配したんだからっ!」 

 

悠真「まぁそんな感じだ。まだあいつは来て、っと噂をすればっ」 

 

一稀「……おは、っ!……おう、来たんだ」 

 

沙耶「おはよっ。何その顔?あたしに会うのはそんなに嫌ですかー?」 

 

一稀「っ!!……別に」 

 

沙耶「なんなのよ。まだ怒ってるの?はぁ…、ほっとこ♪」 

 

詩織「……いいの?」 

 

沙耶「いいのいいの。あんなバカ、相手にするだけ時間の無駄よ。青春は一瞬なんだよっ!」 

 

 

――― 昼休み 

詩織「沙耶、今日も購買行く?」 

 

一稀「…おい。ちょっとこい(腕をつかんで引っ張っていく)」 

 

沙耶「えっ!?ちょっ、いきなりなによっ!ごめっ詩織、すぐ戻るからっ!」 

 

一稀「……(無言で引っ張る)」 

 

沙耶「わかった、わかったから。ついていくから、引っ張るのやめてってば!」 

 

悠真「じゃあ俺は今日購買にしようかな。俺でよければお供しますよ?」 

 

詩織「え?あ、うん。悠真君ありがと」 

 

悠真「な?良かったろ?」 

 

 

――― 屋上 

沙耶「で、屋上まで連れてきて何の用よ?」 

 

一稀「…お前、屋上入ったことあった?」 

 

沙耶「は?何の話よ。そもそもここ、普段カギ締まってるじゃない、なんであんたがカギ持ってんのよ」 

 

一稀「合鍵作った。さぼるのに最適だったからな」 

 

沙耶「最低」 

 

一稀「見てみろよ。結構眺めいいんだぜ。ほらっ、俺んちも、隣のお前んちも見える」 

 

沙耶「…だからなによ」 

 

一稀「……お前さ…長く生きれねぇって、ほんとなのか…?」 

 

沙耶「っ!…はぁ?何わけわかんない事言ってんのよ。ただの風邪だっ(て言ったでしょ?)」 

 

一稀「ただの風邪でこんなに休まねぇだろっ!…なんでそんなに嘘つくんだよ。お前の病気の事…おばさんから聞いた…」(被せて) 

 

沙耶「…言わないでって言ってたのに。……そうだよ。あたしあと数年しか生きれない。風邪なんかじゃなかった。薬も治療法もない…一年もしないうちに歩けないってさ…」 

 

一稀「知ってる…。全部聞いたから…」 

 

沙耶「それで?だからどうしたの?一稀に関係ないでしょ?」 

 

一稀「関係なくなんかないだろっ!」 

 

沙耶「関係ないよっ!!あたし死ぬんだもん!あたしだけがみんなと居られなくなるんだもんっ…」 

 

一稀「……」 

 

沙耶「だからもう関係ないの……。みんなあたしのこと忘れてくれれば……。あたしが居なくなれば……それで……」 

 

一稀「っ!(胸倉つかむ)んだよそれっ!諦めんのかよっ!生きること!なに勝手なことばっか言ってんだよっ!」 

 

沙耶「離してよっ!諦めるって何!治らないのに、じゃあどうしろって言うのよっ!病気の事も!あたしの気持ちも!なにもわかんないくせに(偉そうなこと言わないでよ!もうほっといて!)」 

 

一稀「わかんねぇよっ!!!……お前の気持ちは、お前じゃないからわかんねぇ…。教えてくれなきゃわかんねぇよ…。けどさ…、今お前が言ってるのはお前の本心じゃねぇだろ…。俺らといた時間、そんな簡単に消せるものなのかよ!違うだろ!」(被せて) 

 

沙耶「……ぐすっ。わかんないよ…あたしにも…」 

 

一稀「……くれよ。」 

 

沙耶「…え?」 

 

一稀「お前の残りの人生、俺にくれよ!……俺はお前に生きてほしい!幸せにしたい!お前と居たい!」 

 

沙耶「え……。なに言ってるのよ…」 

 

一稀「これ、命令だから!こないだのテストの罰ゲーム、まだ使ってなかっただろ!だから、命令!お前の人生俺にくれ!」 

 

沙耶「……無理だよ。あたし、死ぬんだよ?歩くことも、なにもかもできなくなるんだよ……?」 

 

一稀「それでもいい!歩けなくても、動けなくても、ただ俺の横にいてくれれば、それでいい!沙耶!お前が好きだ!」 

 

沙耶「……バカ。遅いよ…」 

 

一稀「遅くねぇ!ぜってぇ死なせねぇ!俺バカだからそんな病気の寿命なんかしらねぇ!」 

 

沙耶「……ちがうよ。……あたしはあんたのことずっと、ずっと前から好きなの!気付くの遅すぎなのよっ!バカ一稀!」 

 

一稀「あー……。へへっ、んだよ。両思いかよっ!緊張して損したっ!」 

 

沙耶「損したって何よっ!」 

 

一稀「いあ、なんでもねー。んじゃ、そろそろ戻ろうぜ!飯食う時間なくなっちまう!」 

 

 

沙耶「これからあたしの病気がどうなるかはわからないけど、一稀は変わらず居てくれる。こんなバカなやつだけど、好きでいてよかった……」