『W旦那+(プラス)』第166話 三代目妄想劇場
2018.03.17 01:30
翌日、臣と隆二が住むマンション近くの公園に3人の姿があった。
草むらにビニールシートを広げ、臣と隆二、真ん中に隆臣が寝転がっている。
抜けるような青い空、丘の上にある桜の木が満開になっている。
季節はもう春本番だ。
青空の中に薄く月が浮かんでいる。
臣と隆二は何も言わず目を凝らして月を見ていると、一瞬流れ星のようにキラッと光って消えるものがあった。
隆二「臣…見た?」
臣「光ったな」
隆二「理愛ちゃんの宇宙船だったりして」
臣「そうかもしれないね」
すると、真ん中に寝ている隆臣が空を指差して、
「あーちゃん」と言った。
隆二「あ…あーちゃんってマーマのことだから、やっぱ今の理愛ちゃんだ」
臣「だとしたら、スゲーな」
隆二「たっくんは新人類だって言ってたし…」
「なんか特殊な能力があるかも?」
臣「…俺は元気に育ってくれればそれでいいよ」
隆二「…なに?そのいいパパぶり」
臣「んだよ。文句あっか?」
隆二「文句はね…ちょっと耳貸して、臣」
臣「おっ!やる気かよ」
臣は左手をつき、上体を起こして、隆二の方へ顔を近づけた。
隆二は臣に軽くキスをして、
「愛してるよ」と言った。
二人の下で隆臣が「パーパ」と言って、両手を上げて笑っている。
臣は耳まで赤くなり、
「外だし…隆臣見てる前で…」
隆二「うわっ!珍し、めちゃ照れてる」
臣「るせっ!人をからかうのも程々に…」
すると隆二は隆臣の左頬にも軽くキスをした。
臣「あっ!抜け駆けすんな!」
隆二「ところが、これファーストキスじゃないんだよね」
臣「え?どういう意味?」
隆二「たっくんのファーストキスは直人さんに奪われちゃったよ」
臣「いつの間に…」
隆二「あ、でもね、たっくんの唇へはまだだよ」
一瞬間があり、臣と隆二は互いに見つめ合った。
End
次回、最終話です。