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やわい屋

No:16 ずんずん。

2018.03.16 21:00

「おい!おらんのか!」と外から声がする。

「おらんのか!」玄関が開いて…
続く引き戸が開いて…
土間を抜けて最後の引き戸が開いて、大きな声が響く。

「おい!鮎採ってきたぞ!いらんか!」

僕らは布団の中でどちらが起きるかのせめぎあいをした後
寝室の戸を開ける。

目の前には洞さんが立っている。

というかもう鮎を置いて帰ろうとしている背中を急いで呼び止めて感謝を伝える。


田舎の朝は早い、しかしそれ以上に僕らは起きるのが遅い。

田舎に住めば自立した人間になれると思ったら大間違いだ。

いつももらい物ばかりしているから頭が上がらない。


田舎が教えてくれるのは自分がいかになにも出来ないかという事だけだ。