Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

はむすたーが本体です(`・ω・´)

夢神様

2017.02.12 03:00

【夢神様】 

♂1人 ♀2人 不問1人 計4人 

~20分 

 

若奈(わかな) ♀ 17歳 

夢神様にお願いをする女の子。 

バイト先の高橋先輩に片思いしている。 

黒髪にメガネの地味な感じ。根暗ではないが、そこまで活発でもない。普通の女の子。 

 

鏡花(きょうか) ♀ 17歳 

若奈の友達。夢神様の噂を若奈に教える。 

若奈の幼馴染。ちょっとやんちゃ。 

SNSなど大好き。軽く中毒。 

 

高橋先輩(たかはしせんぱい) ♂ 21歳 本名:高橋 充(たかはし みつる) 

若奈のバイト先の先輩。同い年の彼女持ち。 

落ち着いていて優しい雰囲気。 

 

勇人(はやと) ♂ 18歳 本名:厳島 隼人(いつくしま はやと) 

祓魔師見習い。 

元気系メガネ男子。いずれ日本一の悪霊払いとして世界に名を轟かせる予定の、祓魔師見習い。 

 

夢神(ゆめがみ) 不問 年齢不詳 

最近若者の間で噂になっている、夢をかなえてくれるという神さま。都市伝説。 

〔正体〕 

・夢噛という悪霊。人を眠らせ夢を見させて、その間に精気を食い死に至らしめる。 

・眠らされて、死ぬまでには3日ほど。 

・眠っている間は夢を見る。夢はその人の見たい夢。理想の世界。 

・夢だと気付き、目を覚まそうとすれば起きられる。 

・目を覚ませれば、夢噛自身は非力なので簡単に倒すことができる。 

 

 

――――――――――――――― 

夢神      不問 : 

若奈      ♀  : 

鏡花      ♀  : 

勇人・高橋先輩 ♂  : 

――――――――――――――― 

 

鏡花「わーかなっ!やっほっ!」 

 

若奈「わっ!・・・もぅ。いきなり抱き着いてこないでって、いっつも言ってるでしょ?おはよう、鏡花」 

 

鏡花「若奈はほんっと真面目だよねー。昔からずっと一緒にいるのになんでこんなに違うんだか・・・」 

 

若奈「ほんと、昔は鏡花も可愛かったのにね・・・」 

 

鏡花「えー!かわいいじゃん!ほら!メイクもばっちりっしょ?」 

 

若奈「はいはい」 

 

鏡花「また流したー・・・。若奈もメイクすれば絶対可愛いのにー」 

 

若奈「私は今のままでいいの」 

 

鏡花「えー。絶対モテるよ?もったいなーい!」 

 

若奈「モテたりなんて・・・。いいの!このままで」 

 

鏡花「あー・・・。あっ!そだ!若奈もこれやろーよー」 

 

若奈「なに?これ?」 

 

鏡花「最近流行ってるSNSだよ!ちょっとスマホ貸して」 

 

若奈「えっ?あっ!ちょっと!何勝手にしてるのよー」 

 

鏡花「IDとかはー・・・これで・・・っと。はいっ!登録と、私のフォローしといたから!」 

 

若奈「もう・・・なんで勝手にしちゃうかな・・・」 

 

鏡花「大丈夫大丈夫!IDはいつも若奈が使ってるのにしたし!パスワードは変更できるよ?」 

 

若奈「そういう問題じゃなくてね?」 

 

鏡花「いいじゃん!でさ!これ見てよ!」 

 

若奈「この一番上のでいいの?えーっと・・・、夢を叶えてくれる夢神様?」 

 

鏡花「そう!夢神様!」 

 

若奈「なにこれ?宗教とか?悪徳詐欺とかじゃないの・・・?」 

 

鏡花「ちがうってーww最近流行ってる都市伝説だよ、ここで今凄い話題になってんのよ」 

 

若奈「都市伝説ねぇ・・・。夢を叶えてくれるって、神さまって元々そういうものでしょ?」 

 

鏡花「ちっちっちー(舌打ち的な)。違うんだなーこれが。夢神様は会えるんだってさ!会って直接お願い事をして、叶えてくれるんだって!」 

 

若奈「え?じゃあ会った人いるの?」 

 

鏡花「そうやって書いてる人はいっぱい居るよー。証拠はないから、わかんないけどね」 

 

若奈「夢を叶えてくれるかぁ・・・。ほんとにいるなら叶えてほしいけどねー」 

 

鏡花「高橋先輩が私を見てくれますようにー!ってね」 

 

若奈「ちょっと鏡花!!!やめてよ!そんなこと言ってないでしょ!ほんとに怒るよ!?」 

 

鏡花「いたいいたいっ!もう怒ってるっ。ごめんってばー」 

 

若奈「た、高橋先輩は彼女いるからダメだよ・・・。もう諦めたの!」 

 

鏡花「あー、もうごめんって!そだ!今日帰りにカフェ寄ってこ!パフェ美味しいんだって♪奢るからっ!ね?元気出してって」 

 

若奈「もぅ・・・調子いいんだから。そんなこと言ってお金あるの?金欠ーって言ってなかったっけ?」 

 

鏡花「だいじょーぶ!ちょうど昨日小遣いもらえたからさ♪」 

 

若奈「だからってそうやって使ってたら、またすぐなくなるわよ?」 

 

鏡花「やめてよー。ママみたいなこと言わないでよ。そんなこと言うなら奢らないよー?」 

 

若奈「それはだめ。奢るって聞いたもん」 

 

鏡花「じゃあ、そゆことでー!また放課後ねー」 

 

 

―――若奈家・自室 

若奈「夢神様かぁ・・・。いるわけないよね・・・wwただの都市伝説・・・。みんな好きだもんなぁそーゆーの・・・」 

 

若奈「高橋先輩・・・あー!だめだめ!先輩には彼女がいるの!だからもう諦める。そう決めたでしょ!・・・はぁ」 

 

若奈「『夢神様に会う方法・・・。まず、夢神様に会うには一人にならなければなりません。人気のない場所や、家ならば誰もいないなど、できるだけ人の目に触れないようにしましょう・・・』って・・・私何やってるんだろ・・・あるわけないのに・・・調べちゃって・・・」 

 

若奈「今家に一人だし・・・ないってわかってるよ!?わかってるけど・・・やるだけ・・・。ちょっと試してみるだけ・・・してみよっかな?」 

 

若奈「こうやって・・・えっと?あ、部屋も暗くするのかー。これで、準備はいいのかな?じゃあ」 

 

若奈「夢神様夢神様、私の夢を聞いてください。そして叶えてください。夢神様にすべてを捧げます」 

 

若奈「・・・・・・なんてね。あはは・・・何やってんだろ。電気付け――あれっ?え?なんで・・・?動けな(ないの・・・?え?なんで?)」 

 

夢神「お呼びですか?お嬢さん」(被せて) 

 

若奈「っ!?だれっ!?」 

 

夢神「おやおや?呼んだのはお嬢さんでしょう?」 

 

若奈「ゆめがみ・・・さま?」 

 

夢神「そうですよ?私が夢神様です。あなたの夢はなんですか?」 

 

若奈「わたしの・・・ゆめ・・・」 

 

夢神「夢を叶えたくて私を呼んだのでしょう?」 

 

若奈「まさか・・・ほんとにいるなんて思ってなくて・・・」 

 

夢神「本当にそうですか?私を呼べたと言う事は、どうしても叶えたい夢があるのではないですか?自分に素直に、正直になりましょうよ」 

 

若奈「でも・・・これは・・・」 

 

夢神「好きな人がいる。けど、その人には別の好きな人が・・・ですね」 

 

若奈「な、なんで!?」 

 

夢神「私は夢神様ですよ?それにあなたの心の声は強く聞こえてきますよ?それを口に出しましょう。そうすれば私が叶えて差し上げます」 

 

若奈「・・・た」 

 

夢神「はい」 

 

若奈「高橋先輩と・・・付き合いたいです・・・。彼女さんじゃなくて私を見て、・・・私だけを見て、好きになって、愛して欲しいです!!」 

 

夢神「良い夢ですね♪」 

 

若奈「言っちゃった・・・ははっ。良い夢なはずないじゃない・・・自分勝手で、最低な・・・」 

 

夢神「目を閉じてください。あなたの望んだ夢の世界へと導きましょう」 

 

若奈「あ・・・なんだろう・・・すごく・・・気持ちいい・・・」 

 

 

高橋先輩「わ・・・な・・・わか・・・・・・わかなっ」 

 

若奈「ふぇっ!?た、高橋先輩っ!?」 

 

高橋先輩「うおっ!?びっくりした・・・急におっきな声出すなよwwそれになんだー?高橋先輩ってwwみっくんじゃなかったの?若奈がそう呼びたいって言ったんじゃん?」 

 

若奈「え・・・?あれ・・・、うそ・・・」 

 

高橋先輩「何が嘘なんだー?あ、今更告白の返事が嘘とかなしだからな?」 

 

若奈「こく・・・はく・・・?」 

 

高橋先輩「おま・・・忘れんなよ。あっ・・・。ったく、またか?ほんと恥ずいんだからな?・・・若奈、好きだよ・・・」 

 

若奈「っっっっっ//////!!!」 

 

高橋先輩「お前が言わしたんだろーが!なんでそんな赤くなんだよ!こっちまで余計に恥ずかしくなるだろ!?」 

 

若奈「せんぱっ・・・じゃないや、みっくん!大好き!」 

 

 

 

 

夢神「本当に良い夢ですねぇ・・・。醜い欲にまみれた自分勝手な、最低で最高に良い夢です」 

 

夢神「おやすみなさい。・・・良い夢を。フフフフ・・・」 

 

 

 

 

―――若奈家の前 

――ピンポーン 

鏡花「若奈ー?いないのー?もう3日も学校休んでどうしたの?チャットしても既読もつかないし・・・」 

 

――ガチャ 

鏡花「あっ!若奈ママ!おひさぶりです!あの・・・え?どちら様って・・・え?え?」 

 

――バタンッ 

鏡花「なんで!?私のこと分からなかった・・・?・・・それより、若奈も知らないって、どういうこと・・・?家間違えた・・・、そんなわけないよ。だって若奈ママだったもん・・・。どうなってるの・・・?」 

 

勇人「なぁ!君!ちょっといいかな?」 

 

鏡花「な、なんですか・・・?」 

 

勇人「あぁ・・・すまない。少し声が聞こえて、気になったんだが。話を聞かせてくれないか?」 

 

鏡花「はい・・・?あなた・・・誰ですか?」 

 

勇人「これは失敬!名乗るのを忘れてしまっていた!僕の名は、厳島勇人!いずれ日本一の悪霊払いとして世界に名を轟かせる予定の、祓魔師見習いだ!」 

 

鏡花「・・・あの、警察ですか?はい、今(変な人に声かけられて。はい、いきなりです)」 

 

勇人「ストーーーップ!!!何をするんだ!ちゃんと名乗ったじゃないか!!!」(被せて) 

 

鏡花「ちょっとやめてください・・・!はなしてください!」 

 

勇人「わかった!わかったから、警察は勘弁してくれ。あれは何かと面倒なんだ・・・。と、とりあえず話を聞いてくれないか!!!君の友人は母親に忘れられている。そう言っていたね?!」 

 

鏡花「・・・そうですけど。それが何なんですか?」 

 

勇人「おそらくだが、君の友人は悪霊に取り込まれたのではないだろうか?」 

 

鏡花「さっきからなんなんですか?悪霊とか祓魔師とか、中二病ですか?痛いですよ。冗談に付き合ってる暇はないんで、さようなら!」 

 

勇人「夢神様!」 

 

鏡花「っ!?」 

 

勇人「やはり・・・、なにか心当たりがあるようだね」 

 

鏡花「い、いえ・・・。なにも・・・」 

 

勇人「夢神様。正体は夢を噛むと書いて『夢噛(ゆめがみ)』。人に夢を見させて喰う悪霊だ」 

 

鏡花「でも・・・夢神様は・・・夢を叶えてくれるんじゃ・・・?」 

 

勇人「やっぱり知っていたね。そう、夢神様の都市伝説ではそういわれている。だが、実際は理想の夢を見せ、眠らせて殺すんだ」 

 

鏡花「うそ・・・うそよ・・・。そもそも悪霊なんて・・・」 

 

勇人「ではなぜ、君の友人は消えた?失踪ならありえるだろう。だが、人の記憶。それも親の記憶から消えることがあるのか?」 

 

鏡花「そんな・・・。私のせいで・・・。若奈が・・・」 

 

勇人「話を聞かせてくれないか?もしかするとまだ助けられるかもしれない。君はまだ友人のことを覚えているのだろう?」 

 

鏡花「お願いします!助けてください!・・・あれ?あっ若奈!そう!若奈を!」 

 

勇人「君も忘れかけているか・・・。夢噛は眠らせた人の精気を吸い、殺すんだ。そして精気を吸われた人間は自分の存在を保てない。だから、人の記憶から存在が消えていく」 

 

鏡花「じゃあ・・・みんなが忘れてしまったら・・・」 

 

勇人「精気を吸い尽くされ。亡くなった・・・といえるだろうね」 

 

鏡花「じゃあ急がないと!どうすれば助かるんですか!?」 

 

勇人「助かる方法は2つある。ひとつは夢噛の見せる夢から目覚めることだ。夢噛は力は弱い悪霊だ。目を覚ましさえすれば普通の人間でも追い払うことはできるだろう」 

 

鏡花「目を覚ます?」 

 

勇人「あぁ。それを夢だと認識し、現実に戻ろうと強く思う。現実に戻ることを自分の願いとすれば、目を覚ますことができる。夢噛の夢は、相手の望むものを見せるものだからな」 

 

鏡花「じゃあ若奈次第ってこと?」 

 

勇人「だが、それは難しいだろう。だからもう一つの方法、夢噛を倒す。原因である夢噛を祓うことができれば、自然と目を覚ますことができる」 

 

鏡花「夢噛を倒してください!できるんですよね?」 

 

勇人「そのためには君の協力が必要なんだ」 

 

鏡花「協力・・・ですか?」 

 

勇人「あぁ・・・。夢噛は警戒心が強い。だから、僕のような霊気を強く持つものは通してもらえないんだ。・・・師匠たちなら無理やりこじ開けれるだろうが」 

 

鏡花「夢神様にお願いをするってことですか・・・?」 

 

勇人「話が早くて助かる!だが、そんな不確定で不安定なものではない。もっと確実な方法で道をつなぐ」 

 

鏡花「私にできるなら・・・」 

 

 

夢神「とても良い夢を見ているようですねぇ・・・。その夢は、死という最高の形で、永遠になりますよ。もう少しでね・・・フフフ」 

 

夢神「人間は本当に愚かで、最高に素晴らしいですね。この私を神と思い、自ら私の糧になってくれるとは・・・」 

 

夢神「強い欲求・欲望を持つ人間は簡単に落ちてくれる。たとえそれが夢だとわかっても・・・、自らが望んだ最高の幸せを手放すなど、できるはずもないのだから・・・フッ、ハハハハッ」 

 

勇人「夢噛!もう貴様の好きにはさせない!この僕!厳島勇人が貴様を滅してくれる!」 

 

夢神「っ!?なぜ、ここに人がいるのですか!?」 

 

勇人「答える必要はないな!」 

 

夢神「私は夢神!人々の夢を叶える存在(であり、皆に求められし敬愛すべき神ですよ)」 

 

勇人「違うな!貴様は夢噛!人を眠らせ食い殺す悪霊だ!」(被せて) 

 

夢神「・・・なるほど。私の正体を知っているのですか。理解しましたよ。祓魔師ですね?」 

 

勇人「あぁ!話が早くて助かるぜ!見習いだがな!!!」 

 

夢神「クッ・・・ハハハハハハハ。見習い・・・フハハハハハハ。見習いごときに私が負けるとでも?」 

 

勇人「ふんっ!好きに笑っていろ。僕は日本一の祓魔師になる男だ!!!はぁ!!!」 

 

夢神「なっに・・・。ぐぅぅぅうう・・・・」 

 

勇人「眠らせられなければなんということはない!浄化しろ!」 

 

夢神「・・・く。この私が・・・消える・・・だと・・・。見習いごときに・・・」 

 

勇人「僕の名は、厳島勇人!いずれ日本一の悪霊払いとして世界に名を轟かせる予定の、祓魔師見習いだ!」 

 

若奈「あ・・・れ・・・?私・・・」 

 

鏡花「わかなっ!よかった!!!目が覚めたのね!!!」 

 

若奈「鏡花、どうしたのよ?泣いてるの?」 

 

鏡花「バカっ!泣いてないわよ!!」 

 

若奈「あれ?そういえば私・・・ん?なんだっけ・・・すごく幸せだったような・・・」 

 

勇人「思い出さなくていい。それはきっと思い出さない方が君のためだ。そうじゃないと、また飲み込まれてしまうよ。欲望に」 

 

若奈「あなたは・・・?」 

 

勇人「僕か?僕はいずれ日本一の悪霊払いとして世界に名を轟かせる予定の祓魔師見習い!厳島勇人だ!覚えておいてくれたまえ」 

 

鏡花「勇人さんっ!本当にありがとうございます!あなたのおかげで若奈は助かりました」 

 

勇人「あぁ、だがすぐにでも病院に行くべきであろうな。夢噛はもういない。しばらく休めば良くなるはずだ」 

 

若奈「けほっ・・・けほっ・・・」 

 

鏡花「若奈っ。大丈夫?」 

 

若奈「大丈夫よ・・・。よくわからないけれど、勇人さんが助けてくれたのね・・・。ありがとうございます」 

 

勇人「当然のことをしたまでだ」 

 

若奈「けど、世界に名を轟かせるのに、日本一なのですか?世界一じゃなくて」 

 

勇人「っ!!!その発想はなかった!!!そうだな!僕は世界一になる男だ!」 

 

鏡花「あははっ!勇人さんならきっとなれますって!」 

 

 

 

 

夢神「なんと愚かな・・・。フフフ・・・ハハハハ。すべては夢。幸せは夢の中で・・・」 

 

夢神「おやすみなさい、見習いさん。・・・良い夢を。フフフフ・・・」 

 

 

 

―あなたのその幸せは本当に現実ですか?―