歪愛(いがみあい)
【歪愛(いがみあい)】
♂1人 ♀2人 計3人
~20分
さおり 20歳 大学生 女
サバサバ系のしっかり者
ゆうこ 20歳 大学生 女
おっとりしていて、可愛らしい
のぼる 20歳 大学生 男
ぼーっとしていて、周りに流されるタイプ
―――――――――
さおり ♀:
ゆうこ ♀:
のぼる ♂:
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さおり「やっと金曜日だー・・・。今週も長かったなぁー」
ゆうこ「~♪~♪(鼻歌)」
さおり「あれ?ゆうこ?」
ゆうこ「あー、ごめーん。ちょっとまってねー」
さおり「・・・ん?何やってるの?次の授業遅れるよー?」
ゆうこ「あったっ!捕獲完了、外傷も無し、完璧だね。袋に縛って捨ててくれるから、回収しやすくて助かるよ♪」
さおり「なんでゴミ箱なんて漁ってるの?」
ゆうこ「え?これはー・・・、私の日課だよっ!」
さおり「いや、ゴミ箱漁る日課ってなにさ」
ゆうこ「そんな細かい事気にしちゃだめだよー。次移動だよね?急がなきゃー」
さおり「待ちなさい」
ゆうこ「ど、どうしたの?」
さおり「ポケットに隠したものを出しなさい」
ゆうこ「な、何も隠してないよー???」
さおり「出しなさい」
ゆうこ「見せなきゃダメ・・・?」
さおり「ダメ」
ゆうこ「ぜったい・・・?」
さおり「絶対」
ゆうこ「あれだねっ。さおり万引きGメンになれるよ!」
さおり「早く」
ゆうこ「・・・はい」
さおり「なにこれ?ストロー・・・?」
ゆうこ「うん」
さおり「ごめん。どういうこと?」
ゆうこ「これがゴミ箱漁ってた理由」
さおり「・・・ゴミ箱から拾ったって事?」
ゆうこ「うん」
さおり「なんで?使うの?」
ゆうこ「違うよ。見るの」
さおり「え?見る?」
ゆうこ「さおりも見る?」
さおり「いや、今見てるけど。普通のストローでしょ?」
ゆうこ「そうじゃなくて、コレクション!こっちは三日前ので、こっちは昨日の割り箸だよ」
さおり「え?え?え?」
ゆうこ「あとはね、消しゴムのカスと・・・今は写真しかないんだけど、これ!鼻血付きティッシュ!ちゃんと真空パックで保存してるんだー♪」
さおり「・・・待って待って、どういうこと?鼻血?真空パック・・・?え?」
ゆうこ「あ。・・・あはは。ごめん、つい興奮しちゃって」
さおり「そ、そうだね・・・。まずそれ、誰の?自分の・・・じゃないよね?」
ゆうこ「えっとね・・・。私ね、好きな人がいるの。それで・・・気付いたらその人が使った物、集めたくなっちゃって・・・」
さおり「ゆうこ、好きな人いたんだ・・・」
ゆうこ「うん・・・。絶対言っちゃだめだよ?」
さおり「言わないよ。・・・言える訳ないじゃん、こんなこと」
ゆうこ「えっとね・・・、のぼるくん、だよ」
さおり「のぼる!?ほんとに!?あー・・・そういえば・・・あー・・・」
ゆうこ「ちょっとぉ!言わないでって言ったでしょ!」
さおり「ごめん。びっくりしちゃって。大丈夫だよ、今ここにはあたしらしかいないし」
ゆうこ「・・・私が好きなのばれたら、お話しできなくなっちゃうし」
さおり「あー・・・まぁ。こんなことしてるのは・・・ねぇ」
ゆうこ「あ、ほら移動しなきゃ時間まずいよ」
さおり「え、あ、うん。そうなんだけどそれどころじゃないというか。それ以上の問題を目にしてるような気がするんだけど・・・」
ゆうこ「ほらっ、いくよー」
―――チャイム
のぼる「あっ、さおりー。ちょっといいか?」
さおり「のぼるじゃん。どしたの?」
のぼる「ちょいちょい」
ゆうこ「あ、じゃあ。・・・お昼いつものとこで待ってるね」
さおり「あ、ごめんね。・・・で、なにさー?」
のぼる「こないだはありがとうな」
さおり「こないだって?」
のぼる「ぬいぐるみの事だよ。誕プレ渡してくれたんだろ?」
さおり「あー・・・。なんで自分で渡さないのよ?しかもあたしからだなんて」
のぼる「いや、だってさ・・・。俺から渡したら怪しまれるだろ・・・」
さおり「怪しまれるって?なにが?」
のぼる「あ・・・。いや、それは・・・口を滑らせた言うか・・・なんていうか・・・」
さおり「なに?あんたも隠し事・・・?」
のぼる「え?どういうこと?」
さおり「こっちのはなし。それで、なにがあるの?」
のぼる「・・・盗聴器」
さおり「は・・・?」
のぼる「だから!・・・その、・・・盗聴器仕掛けてた。あのぬいぐるみに」
さおり「はぁぁああ!?何言ってるのか自分で分かってるの!?盗聴器って・・・盗聴してるってことでしょ!?」
のぼる「そりゃ、そうだよ。盗聴するための機械だからね」
さおり「盗聴って犯罪だよ!は・ん・ざ・い」
のぼる「それぐらい俺も知ってるよ。でも、俺の愛の前では法なんて関係ない!この気持ちは法なんてとっくに超えたんだ!」
さおり「・・・待って。じゃああたしは、あんたの犯罪に手を貸したってこと・・・?」
のぼる「それは悪かった。ありがとう」
さおり「ありがとうじゃないわよ」
のぼる「盗聴ぐらいで驚いてたら困るぜ?俺の隠しフォルダの中には、一万は優に超える隠し撮りやらなんやらがだな・・・」
さおり「あー・・・。なんだろう・・・この流れ、すごくデジャブ」
のぼる「おい、ちゃんと聞いてる?聞いてきたのはさおりだろ?」
さおり「いや、そこまで聞いてないって言うか。こんな話だとは聞いてないと言うか・・・」
のぼる「つまり、ゆうこのどこが天使で最高かというとだね」
さおり「つまりってなに!?天使とかもうわけわかんないわよ・・・」
のぼる「いや、何処からどう見ても天使でしょ?この荒廃した三次元に舞い落ちた天使。いや!女神!!」
さおり「あー・・・はいはい。・・・・・・あ、そうだ。今日飲み行こうよ。どうせ夜暇でしょ?」
のぼる「暇とは失礼な!女神のご帰宅時に合わせて盗聴。1時間ほどしたところで自宅に向かい、コンビニで購入した夕飯を頂きながらアニメを視聴という計画がだな」
さおり「ツッコみたいところはいろいろあるけど、触れないからね。で、暇なのね」
のぼる「まぁ・・・そうとも言えるかな。しかし、久しぶりだな」
さおり「あー、そういえば忙しくなっていけてなかったね」
のぼる「こうたが急に大学辞めてからだよ。その後からさおりも、ペット飼い始めたからって集まり悪くなっただろ?」
さおり「あー・・・。そーいえばそーだったね」
のぼる「今日は良いのかよ?」
さおり「午後から休みだし。一回家に帰るから」
のぼる「そっか。じゃあ7時にいつもの店でいいか?」
さおり「うん。よろしくー」
さおりM「お互い好きなんだし?ならもうくっ付けるしか・・・。このまま二人を放っておいたら、捕まるのも時間の問題よ・・・」
ゆうこ「先に始めてていいの?」
さおり「遅れるって連絡あったから、大丈夫よ」
ゆうこ「さおりからなんて珍しいね。もしかして朝の事気にしてる?」
さおり「まぁ・・・、ちょっとね」
ゆうこ「何もしなくていいからね。私は今のままで満足してるから」
さおり「あたしが満足できないから・・・」
ゆうこ「なにそれ、勝手だなぁ」
さおり「でも、ほんとにさ。付き合っちゃえばいいのに」
ゆうこ「そんなに簡単に言わないでよっ」
さおり「いや、すごく簡単だと思うんだけどなぁ・・・」
のぼる「おまたせー。遅れてごめんなー」
さおり「やっと来たー」
ゆうこ「お疲れ様ー」
のぼる「いきなり部長に捕まってさー・・・。今期のアニメがどうだの、最近声優は・・・とかさ。俺もオタクだけどさ・・・部長とは趣味がそもそも合わないからなぁ・・・」
ゆうこ「あはは・・・。あの部長無駄に話長いもんねー」
さおり「アニメ見ない側からすると同じにしか思えないんだけどね・・・」
のぼる「ちょっとそれは聞き捨てならないんだがっ!・・・まぁ、さおりに言っても意味ないことはわかりきってるしな・・・。それで、なんの話してたんだ?」
ゆうこ「え・・・えーっと。なんでもないよ?」
のぼる「なんでもなくはないだろー?」
さおり「まぁまぁ。とりあえず揃ったことだし、乾杯しない?」
のぼる「あ、そうか。んじゃ!久しぶりの同期会に、かんぱいっ!」
ゆうこ「かんぱーい」
さおり「かんぱい。なんかのぼるが仕切ると違和感あるね」
のぼる「しゃーねーだろ、こうた居ないんだし」
ゆうこ「ちょ、ちょっと」
のぼる「結局こうたとは連絡取れてないの?」
さおり「うん。番号もアドレスも使われてないって」
のぼる「・・・薄情だよな。何も言わずに大学辞めて消えちまってさ」
ゆうこ「のぼるくんっ!・・・その、ちょっとはさおりの気持ち考えてあげてよ」
さおり「あ・・・、ゆうこありがと。でも、うん。大丈夫だよ」
のぼる「うんうん。そーだぜー。勝手にいなくなったやろーなんていつまでも思ってたってしょうがねーだろ」
ゆうこ「・・・さおりがそう言うならいいけど。でものぼるくんはもっと人の気持ち考えた方が良いよ」
のぼる「・・・悪かったって」
さおり「大丈夫だからっ、せっかくの飲み会なんだよ。楽しくいこ?ね?」
ゆうこ「えー・・・もう飲めないよー」
のぼる「まだいけるって。こっちのとか飲みやすいし」
さおり「やめなってー。ゆうこが弱いの知ってるでしょ」
のぼる「さおりは強すぎんだよなー。可愛くねーぞー」
さおり「余計なお世話です」
ゆうこ「あ、これ美味しい。これならもう少し飲めるかなー」
さおり「大丈夫?無理しない方が良いよ?」
ゆうこ「だいじょーぶだよー。せっかくのぼるくんがすすめてくれたしー」
さおり「ったく。そんなに好きなら、お酒の力でも借りてアタックしちゃえばいいじゃない」
ゆうこ「えぇっ・・・無理だよー・・・」
のぼる「んー?何話してんだー?ラストのからあげ貰っていい?」
さおり「どーぞ。あたし、ちょっとお手洗い行ってくるね」
ゆうこ「えっ、ちょっと、さおりー・・・」
のぼる「おー?なんだ、お前も酔ったのかー?」
さおり「はいはい」
のぼる「にしても、ほんと久しぶりだよなぁぁああああっ!? 」
ゆうこ「えいっ!」(被せて)
のぼる「ど、どどど、どうしたの?」
ゆうこ「ちょっと酔っちゃった・・・かな。もたれちゃだめ?」
のぼる「えっ・・・いや、あの・・・別にいいですけど」
ゆうこ「ふふっ。のぼるくん敬語になってるよ?」
のぼる「いやっちがっ。・・・ってか、ゆうこちゃんってそんなキャラだったっけ!?」
ゆうこ「こーゆー女の子は嫌いですか?」
のぼる「え、いや・・・その・・・。きらいじゃない・・・けど・・・」
ゆうこ「えへへ・・・」
のぼる「いや、でも、ほら。さおりすぐ戻ってくると思うし・・・」
ゆうこ「もうちょっと・・・」
さおり「ゆうこって、酔ったら人が変わるし。危なっかしいから、いっつも隣に居るようにしてたけど・・・。そろそろ戻ろっかな。あんまり長すぎてもおかしいもんね。どうなってるかなー・・・」
ゆうこ「ほんっと!信じらんないっ!」
のぼる「はぁ!?お前だって家でストローだとかティッシュだとか眺めてニヤニヤしてさ!」
ゆうこ「勝手に人の部屋見てる方が悪いんでしょっ!」
さおり「ちょっとちょっと!何やってるのよ!」
ゆうこ「さおりっ!聞いてよ!のぼるくんがっ!」
のぼる「なんで俺が悪いみたいに言われなきゃいけねーんだよっ!」
さおり「あー!もう!ちょっと待って!ここだと他のお客さんの迷惑に・・・。すみません。ほんとすみません。もうすでになってるから!ほら、店出るよ!」
ゆうこ「ありえない・・・。そんなことしてたなんて」
のぼる「どっちがだよ。ゴミまで漁って、気持ちわりぃ・・・」
さおり「あー・・・もう・・・。先に出てて、お金払ってくるから」
さおり「お待たせ・・・。で?何があったのよ・・・だいたい把握できてるけど・・・」
ゆうこ「さおりも知ってたんだってね!ってかあれ、さおりから貰ったよね!?グルだったの!?」
さおり「違うよっ。渡してって頼まれただけで、のぼるがそんな事してるって知ったの今日だし・・・」
ゆうこ「でも知ってたんでしょ!?」
さおり「いや、まぁ・・・そうだけど・・・。ってか、のぼるも知ってたの?ゆうこの秘密」
のぼる「そりゃ・・・、盗撮盗聴してれば気が付くからな・・・」
さおり「はぁ・・・。あたしからしたらどっちもどっちだと思うけど?」
ゆうこ「なにそれ!なんで私がこんなやつと一緒なのよっ!」
のぼる「はぁ!?それはこっちのセリフだろっ!」
さおり「あー・・・もう・・・少し落ち着いてよ・・・。ここ外だって。みんな見てるから・・・」
ゆうこ「じゃあ、さおりの家行こうよ。ここから一番近いし」
さおり「えっ・・・」
ゆうこ「このままじゃ、納得できないもん」
のぼる「そーだな。家行くぞ」
さおり「ちょっとちょっと!待ってよ!?あたしの家は無理だって!」
ゆうこ「なんでよっ!このままほっとく気!?さおりがセッティングした飲み会でしょ!」
さおり「・・・えー。でも・・・」
のぼる「たしかこっちだったよな」
ゆうこ「ほら、さおり。行くよ」
さおり「・・・どうしよう」
さおり「あのさ、ほんとに入るの?」
のぼる「家の前まで来たのに帰るわけないだろ?」
ゆうこ「ちゃんと話しつけなきゃ収まんないもん」
さおり「はぁ・・・わかった。・・・見たらあんたたちも共犯だからね」
ゆうこ「え?」
さおり「ほら、入って。あんまり扉、開けてたくないの」
のぼる「な、なんだよこのうめき声・・・」
ゆうこ「え・・・だれ・・・」
さおり「ペット。飼い始めたって言ったでしょ」
のぼる「お、おい・・・おいおいおいおいおい!こうただよなっ!?」
ゆうこ「ひぃっ!?」
さおり「誰かにしゃべったら、許さないから」