石橋、将来を見据えた鋭い形テン!暫定MVPたろうのリスク測定技術! RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 13-16回戦レポート
3/12(月)、3/15(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 13-16回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
前回までの成績はこちら↓
▼▼▼14回戦:将来を見据えた石橋の形テン取り▼▼▼
1mが4枚切れでこの手牌を渡されたら、何を切るだろうか。
普通は北になるのだろう。
3m9sか4mの受け入れかも選べないし、かといってドラ受けを消す打3pは少々安易に映る。
そう考えると、北という貴重なアンパイを消費してしまうことにはなるが、やはり打北になりそうだ。
一方、ここから2mを打ったのが石橋。
2m??と思われた方も多いと思うが、私にはこれが実に合理的な選択に見えた。
1.まず、1mが4枚切れで、1mを第1打に切っているプレイヤー2人が真っすぐに進めている河であるため、4mも持たれていることが想定される。
したがって、4m受けの価値が低くなっていると考えられる。
2.次に、この手牌が勝負になるのはすぐにシャンポン受けを引いた場合以外には、終盤勝負になるため、3p周りにドラ絡みをくっつけたピンフやタンヤオがメインになる。
そう考えただけでも、2mを打っておき、この直後に9sトイツ落としから入ってシャンテン数と同じ枚数のアンパイを抱えておく方が、終盤勝負がメインのこの手牌にとっては相性がいいといえるのではないだろうか。
そう考えると、この8sもツモ切りになる。
いったん9sを切っておき、7sが入った場合のピンフに備える手順もあるが、いずれにしてもすぐにソウズのこの部分を外す構想であるため、8sより少しでも安全な9sを残しておいた方が得との判断だ。
そして、2枚切れの中を引いたところで、予定通り9sトイツ落としを開始。
その後2枚目の3sが切られたところでチーから入ると、仕掛けに対する周りの反応も伺いながら、最終手番で1人テンパイに持ちこむ。
構想通り、終盤のテンパイを安全に取り切った石橋がニヤリと3,000点を受け取った。
この形テンを見て、私は7年前を思い出す。
石橋が最高位を戴冠したときの、このシャンポン受けダマテンである。
ここから3sを打ってシャンポンのダマテンに構えた石橋は、「リーチやカンチャン受けはないか」との質問に、真っ先に「将来的に危険牌を引いたときの、北をトイツ落としした形テン」に言及した。
※詳細を知りたい方はこちら↓
RTDリーグでは過去2年間結果に恵まれなかった石橋が、MAX 2,000点のアガリだけでトップを決めたところを目撃し、王座復権への道がかすかにのぞく。
7年前の栄光を再び。
2018年、石橋の逆襲が始まった。
▼▼▼13回戦:全9局中7局がマンガン決着の超打撃戦!▼▼▼
形テンで勝負が決まるほどの14回戦と対照的だったのが13回戦。
佐々木のこのマンガンツモから幕が開くと、全9局中7局でマンガンが飛び出す超打撃戦に!
そんな打撃戦を制したのはやはりこの男。
開局のマンガンに加え、仕掛けも駆使したこんなマンガンもアガり切ると、南2局ではトップ目からカン2sで何のためらいもなくリーチという攻めっぷり。
これはアガれなかったが、最後まで攻めの姿勢を貫いた「麻雀攻めダルマ」佐々木が、自身の得意なフィールドでもある打撃戦を制している。
あのー・・・ところで、マンガンってそんなにアガれます?
▼▼▼15回戦:佐々木、逆転で今期2度目の連勝を飾る▼▼▼
勝又がハネマンツモで走る展開になった15回戦。
ここでもドラポンの勝又が2フーロで追加点を狙うが、これに食らいついていったのが佐々木。
門前で仕上がればハネマン級の大物手に育つ手牌だったが、勝又が切った4mをチーしてタンヤオのみでかわしにいく。
これをすぐにツモって勝又のチャンス手を粉砕すると、南2局ではチートイツを一発でツモってトップ目に並んだ。
このチートイツ、実際、かなりリーチしにくい。
5p後の2pがリーチ宣言牌になっていると、1pが手牌に絡んでいることが強く意識に入るからだ。
それでも全く躊躇なくリーチに踏み切り、結果一発ツモにしてしまうのだから、佐々木の攻撃性には恐れ入る。
すると、次局にはオタ風の東ポンから入ると、自風の西もポンしてこのリャンシャンテン。
「2つ仕掛けてリャンシャンテン」という言葉だけ聞けば、良い仕掛けには聞こえないが、ホンイツ評論家を自称する佐々木に言わせると「この手牌はもうそこにあるホンイツ」である。
あっさり發を重ねた佐々木は、加カンまで入れてツモアガリ。
見事な逆転劇で、今期2度目の連勝を決めた。
▼▼▼16回戦:たろう得意のフィールドで繊細なリスク測定技術▼▼▼
さて、WHITE DIVISIONも3節目。早くも3分の1が終わろうとしているのだが、「ここまでのMVPは?」と聞かれたら、みなさんならどのプレイヤーを挙げるだろうか。
きっと思い思いの名前が挙がると思うのだが、私の回答は鈴木たろうである。
佐々木と迷うところだが、「(昨年までと比較した)今年」ということであれば、昨年までも変わらずハイパフォーマンスを発揮してきた佐々木よりは、やはりたろうかな、と思う。
今年のたろうは、とにかく手順が正確でブレがない。
手牌のさばきがお手本のようだと思うのに加え、今期から採用された「降級システムがあるリーグ戦」は正にたろうのフィールド。
同様に降級システムのある自団体のAリーグで、常に大きなプラスという驚異的な成績を残し続けてきたたろうの肝は、なんといっても「リスクの測り方」である。
今期、負けに対する「降級」というリスクが明確になったことで、たろうのリスク測定眼から見える視界がより鮮明になったことは間違いないだろう。
開局にオヤのマンガンで先制したたろうに対し、南場で達也がオタ風の西をポンした場面。
ドラの發が重なる直前に發を打たれた達也は、2枚目の西をポンして發バックのテンパイを渋々取った。
これに対するオヤのたろう。
特に状況がなければ打8pで1p4p、6p9p、3s6sのイーシャンテンに構えるところだが、達也のオタ風ポンをどう評価するか。
ドラをポンしていないところを見ると、達也という打ち手の評価も込みでドラアンコがメインになるだろう。
あとは、ポンテンが入っているかどうかだが、イーシャンテンぐらいが多いだろうか。
とすると、今なら無スジを切ることができる。
3pを打っておき、達也の現物2pを残す選択肢もあったが、1p4pが良いため打3pでは弱すぎるとの判断で、たろうは8pを打っていった。
では、このツモ6pで打3pのテンパイを組むのかといえば、ここでは達也の現物4sを抜く。
達也のツモ切りが続いているためテンパイの可能性が高まり、放銃リスクが上がったからだ。
そのため、現物4s、スジの5sと打っていき、テンパイを目標に方向転換する。
すると、8pをチーして打6mで達也との2人テンパイに持ち込んだ。
この6mは、4mが3枚見えのワンチャンスであり、達也に放銃となる可能性がある。
しかし、この6mを通せばほぼテンパイが取れる巡目であり、ピンズに比べれば危険度が段違いに低く、ラス目の達也に放銃しても下3人が接戦になるため、まだ逃げ切りやすい状況が残ることも織り込み済み。
この一連の流れを淀みなくこなしていくたろうを見て、今年のたろうはやはり一味違うなと感じたのであった。
そして、次局にこのリーチ。
「誰も向かってこれないでしょ?」とたろうの笑い声が聞こえてきそうだ。
そういうリスクの押し付け方も本当にうまい。
そんなリスクを押し付けておいて、相手が守備に回った場合に出やすい8p待ちにしてあるのだから、相手からするとたまらない。
及第点の1人テンパイに持ち込むと、平賀の追撃も振り切り、大トップをもぎ取った。
相変わらずの強さを見せつける佐々木、そして今期冴えわたるたろうが、リードして3節目の最終戦を迎える。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回は、3/19(月)21:00からWHITE DIVISION 17、18回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定