初・ディベート見学
去る3/17(日)に、とある中学生ディベート大会を見学してきました。
事前に発刊されている本を同僚の先生に頂いていたので、さらっとどんなものかというのは頭の中に想像できている状態でしたが、百聞は一見にしかず、いやぁ、楽しめました!
まず、ディベートと言ってもいろんな形式があると思いますが、私が見学にいったディベートは、一般社団法人パーラメンタリーディベート人材育成協会(PDA)が主催するもので、1チーム3~4名の生徒同士が一つのお題についてpro(賛成) と con(反対)に分かれて互いの意見を制限時間内に述べ合います。簡単に手順を下記に説明します。チームAが賛成派、チームBが反対派です。
1)まず最初に立つ生徒(チームA・一人目)は自分たちのチームが賛成する理由(1A)を述べます。
2)次の生徒(チームB・一人目)は先程の理由(1A)にする反論を述べた後、自チームがなぜ反対するのかの理由(1B)を述べます。
3)そして次の生徒(チームA・二人目)は先程の生徒が述べた反対の理由(1B)に対する反論と同時に自チームの理由(1A)を再度示し、さらに2つ目の賛成する理由(2A)を述べます。
4)そしてつぎは(チームB・二人目)相手チームの理由2つ(1A&2A)への反論と、否定理由(1A)の再構築、さらに自チームが反対する2つ目の理由(2B)を述べます。
5)引き続きチームBのメンバー(チームB・三人目)が立ち、自チームが優れていると意見をまとめ、述べます。
6)最後にチームAのメンバー(チームA・3人目)が立ち、チームBの2つ目の理由(2B)に反論し、自チームが優れていると結論付けます。
3)と4)は負担が大きいので、ここを二人に分けて受け持ってもOK,なのでチームによって3人チームな場合と4人チームな場合がありました。
こちらは決勝のお題。
お題を発表されてから15分間、準備時間があります。役立つボキャブラリーのリストがA4の用紙にまとめられたものが配布され、生徒たちはそれを参考にしながらまずチームとしての賛成または反対する理由を2つ決め、あとは役割分担して自分の言うべきことを先程のボキャブラリーリストや電子辞書を駆使してノートにまとめていきます。
このノートは自分が話す際には見てもよく、ほぼ見ながら言う生徒、完全に自分のものにして言う生徒、様々ですが、一人目以外は反論を述べつつ自分の意見をも述べるので、常に流動的に対応する必要があります。また、一人目であっても、POI(Point of Information・質疑応答)というものが挟まってくる可能性があります。自分が話している途中に相手チームがいまの言葉はどういう意味?とかあなたが主張しているのはこれであってる?とか今何いったかわかんなかったからもう1回言って、とかなにかしら質問される場合がある。ただこの質問に答える時間は自分の持ち時間に含まれるので、自分が言いたい最後まで言えなくなっちゃう、と思うと no thank you と拒否するのもアリです(笑
このあたり、拒否しまくったら点数が下がるのかどうかってよくわからなかったですが、私が見ている中ではわりと拒否してる子も多かったし、拒否していなくても不意に飛んできた質問にうまく答えられてない場合もあったし、そもそも質問自体がそれ必要か?と思えるものもあったかな。それでもこういう練習を通して将来、たとえばビジネスの場での会議に役立つ力がつくことは疑う余地はないでしょう。
余談ですがパーラメンタリーディベートは、その名の通り昔の議会を模しているので、このPOIの際には右手を上げつつ左手でかつらがずれることを防いで手を挙げる、というルールがあり、みんなぴょこっとPOI!と頭をおさえて立ち上がるのはすごい可愛かったです。
それはさておき、予選が2回あって、どちらも一つの試合をじっくり最初から最後まで見たのですが、もう、一言では言い表せない!かなり英語力が高いチームはもちろん見ごたえがあったし、そうでもない、中学から英語はじめた中1です、とか、ディベートはじめて3ヶ月です、みたいな子たちもいたんですが、自分の知識と英語力を総動員して、相手に伝わるようにアイコンタクトやジェスチャーも交えて、とにかくジャッジに訴えまくる!伝えたい!伝えてやる!という意識の塊!
これだよな、欲しいのってコレだよ!
通常PDAでは高校生でこのような大会を行ってきたようで、中学生でというのは今回が初の試みだったようですが、大成功だったと言えると思います。もちろん英語力がまだまだたりないな、とか反証の材料が弱いな、とか事実を曲げて意見を述べているな、とか改善点はたくさんありますが、間違ってるかも…と言いよどんでちゃダメなんです。間違ってもいい、自分の考えを述べる、違う意見を聞く、お互い意見を交わす。
仕事をする上で普通に必要な力ですが、それが伴っていない日本人は、大人の中ですら多いですよね。それは残念ながら日本ではこれまでこのような機会をもつことが教育の場において皆無だったから。
今まではそれでも生き残ってこられたかもしれません。でもこれからは違います。今まであった職業がこれからどんどんなくなり、新しい仕事がどんどん創出され、いままでの価値観では通用しない時代です。グローバル化する社会に必要な力、ディスカッション出来る日本人を作る!それは英語教育の場が最も最適かもしれません。
当然英語でこのようなトレーニングをすることは、母語で考える時、行動するときの姿勢にも影響を及ぼします。より論理的に思考する癖がつくでしょう。そして母語でならもっと言える、そんな自分にも気づきますよね。
その昔、自分の英語力にそれほど自信がなかった私がヨーロッパ旅行で現地の言葉でコミュニケーションをとりながら、くそー、英語でなら簡単に言えるのになと思っている自分に気づき、あれ、まってまって、私って英語でなら簡単に言えるんだ?まじで?とそこから自分の英語力に気付いたように(笑い話のような話ですがホントの話なんですよ、コレ)、英語でやれるんだから母語でならもっと簡単と気付く、そういうこともあるだろうなと思いました。
もちろん母語でのディスカッションのトレーニングもどんどん公教育に取り入れられていくことを望みますが、私はその部分にはタッチ出来ないので、自教室で出来ること、その模索を常に行っていきたい。うーーーーん、頭パンパン!!!
最後に朝日新聞の方からのコメント、 Who is running the world?
若い生徒たちはどう聞いたのかな。未来の世界を動かすのは俺たちだ!そんな気概をもっている子たちが溢れていた会場だったと思うのです。
楽しかった!
当教室の春休みは3/19(月)から3/30(金)まで、その間にやりたいことがありすぎて、もうほんっとにワクワクしています。みなさんも春休みを楽しんで下さいね!