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シー・ズーについて

2022.12.30 01:00

1960年代に日本で犬種登録されて以来、シー・ズーの人気は衰えたことがありません。

まん丸のクリっとした瞳にふわふわの毛並み、トコトコと人の後をついて歩く姿はまるでぬいぐるみのようで、おっとりとした性格は小さな子供から年配の方まで心を和ませる雰囲気を持っています。まさに愛玩犬の代表とも言えるこの犬種についてお話します。


シー・ズーの歴史

シー・ズーの起源はチベットの寺院で飼われていた魔除け犬、ラサ・アプソだといわれています。ラサ・アプソは「神聖なる獣、獅子に似たたてがみのある犬」として7世紀、中国の唐の時代の頃から、高貴な貢物としてチベットから中国の皇帝へたびたび献上され、中国では獅子狗(シーズークヮ)と呼ばれていました。長い間裕福な貴族しか飼うことを許されず、特に19世紀には西太后が非常に愛好していたという記録がありますが、そのあいだに中国にいたペキニーズなどと交配をすることによって、今のシー・ズーの形となっていったようです。

中国革命で清の国が崩壊したとき、宮廷にいた多くのシー・ズーは権力の象徴として惨殺され、絶滅の危機を迎えます。しかし、ごく少数のシー・ズーはヨーロッパの外国高官などによって海外に連れて行かれ、主にイギリスで繁殖と改良が行われ、再び人に知られることとなりました。しかし1960年ごろにイギリスからアメリカに渡った頃はまだ、ラサ・アプソと混同されており、1969年になってアメリカのケンネルクラブでようやくシー・ズーとして登録されました。

同時期に日本にも紹介されたシー・ズーはその愛らしさから瞬く間に人気が出て、今や日本の愛玩犬として不動の人気を保っています。


シー・ズーの特徴

シー・ズーはケンネルクラブの標準として体高が26.7cmを超えてはならない、という規定がありますが、実際には大きさにかなりの差があり、小さな子では体重が4kgに満たないものから大きな子では10kgという子もいます。小型犬に分類されますが、骨格はしっかりとしています。

全身の毛はやや固めのオーバーコートと柔らかいアンダーコートが密生しており、特に鼻の周りの毛は放射状に生えているため「菊の花」と称されています。長いしっぽの毛はふんわりと背中に乗っており、それをゆっくりと左右に振りながら歩く様子は「金魚のよう」と言われることもあります。


【性格】

シー・ズーはもともと貴族の夫人の膝に乗せられたり、着物の袖の中に入れたりするための犬種だったため、性格はいたって穏やかです。無駄吠えや噛み癖も少なく、飼い主さんに対して深い愛情を注ぎます。そのため、あまり体力のない高齢のご家庭や、初めてペットを飼う人にも比較的飼いやすい犬種といわれています。

しかし、貴族としてただ可愛がられていた犬種であるため、何か作業をしたり、人からしつこく命令をされたりするのは少し苦手です。プライドが高く、気ままで多少頑固な面も持っています。人にベタベタせず、少し距離をおこうとする性格はちょっと猫に似ているかもしれません。

【被毛について】

日本に多いシー・ズーは白地に薄茶色や黒の模様があるいわゆるパーティーカラーと呼ばれるものですが、実はシー・ズーの毛色には特に規定はなく中には白地にこげ茶色、全身真っ黒といった子も見られます。

毛は一生伸びつづけ、ショーに出場するような子は、毛先が床に着くほど長く伸ばしています。しかし、長い毛はそれだけお手入れも大変ですから、通常ペットとして飼う子は定期的にカットする子がほとんどです。カットの仕方によって顔の印象がだいぶ変わり、耳の毛の根元にリボンなどのアクセサリーをつけることも出来るので、愛犬をオシャレにさせたい人にはぴったりといえるでしょう。

【食事について】

元々育ちがよく、あまりほかの子と食べ物について争ったりしてこなかったせいか、シー・ズーは他の犬種と比べて、あまり食事に執着しないタイプの子が多いようです。おとなしいからといって、全く運動をさせなければお腹も空かないので、食欲を出すためにも少しの運動はさせるようにしましょう。また、鼻がつぶれているために深いボウルなどに入っているフードを食べるのは少し苦手で、そのせいで食べるのを止めてしまうこともあります。フードボウルは浅くて広いお皿のようなものを選びましょう。


気をつけたい病気

目が大きく飛び出ているため、目の表面(角膜)を傷つけてしまうことがよくあります。

また、鼻がつぶれているために体に対しての呼吸量が少なく、熱射病になりやすい犬種と言えます。さらに絹のような毛はちょっと手入れを怠ると毛玉になって、それが皮膚病の原因となることもあるため、被毛の手入れは欠かさないようにしましょう。

また、やや脂性肌である子が多いようです。垂れ耳でもあるため、皮膚トラブルや耳の病気にも気をつけましょう。


おわりに

見た目の可愛らしさ、性格の良いシー・ズーは飼いやすい犬種で、日本でも安定した人気をもつ犬種です。キレイな毛並みを維持するために、定期的なトリミングと毎日のブラッシングが必須ですが、カットによって見た目の印象が大きく変わる点もシー・ズーの魅力と言えるでしょう。ぜひその子に似合ったカットを見つけてあげてくださいね。