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人事の役にはあまり立たないけど、とにかく面白い「江副 浩正」

2018.03.20 12:38


オススメ度:★★★☆☆


今回の「人事の代わりに読みました」は、人事や採用担当というよりは我々、HR系企業人向けとも言える「江副浩正」です。なので、あまり人事/採用担当向けにオススメかというとそこまでではないのですが、読み物としては抜群に面白いのでおすすめです。


多くの方には不要だとは思いますが、改めて説明すると、江副浩正とはリクルートの創業者であり、その評伝といえるのが本書です。戦後日本における屈指の起業家であり、ある意味、事業を通して今の日本の就職の形をつくった人物であり、またあの「リクルート事件」の主役となった人でもあります。


著者はリクルートがまだ日本リクルートセンターだったから新卒に入社し、その後、コピーライターとして有名になっていた馬場マコト氏、これまた新卒でリクルートに制作として入社し、定年までキャリアを積んだ土屋氏。二人の優れた広告制作者が丁寧な取材と膨大な資料をもとに、読みやすい筆致で江副浩正という人物とその歴史を掘り下げていきます。


広告制作者らしい仕掛けも十分で、死体検案書からはじまる評伝なんてなかなかないですよね。生い立ちから東大での大学新聞の広告営業のアルバイト、そこからリクルートの原型となるビジネスを生み出す過程、集ってくる仲間、リクルートの創業、求人以外の事業での成長、そしてあの「リクルート事件」、その後、、。立志伝のようで反面教師的な教訓を含んだビジネス書のようで優れた小説のようで、読み方によって読み手によって受け取り方は変わりそうですが、とにかく面白いことだけは間違いありません。著者の二人は江副氏を敬愛しながらも、その影の部分も遠慮せずに書いています。でも、そのおかげで一人の肉体を持った人間として感じることができます。


個人的には、江副氏がつくったビジネスの延長線上で禄を食んでいる身として背筋が伸びるような気もしました。


ということで、祝日に何か面白い本を読みたいと思ったら「江副浩正」おすすめです。