ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission1-③
久しぶりにメンバーが揃った。
初夏にリリースする新曲の音合わせだ。
一回目はツインボーカルとパフォーマー5人全員揃ってフルで通した。
直人「やっぱ3ヶ月もブランクがあると、若干ズレるね」
健二郎「すんません!数秒ズレてるの俺みたいっす」
直己「まだまだ始まったばっかりだし、そう気にすることないよ」
剛典「健二郎さんじゃないっすよ。俺なんか数秒どころじゃないし…」
直人「がんちゃん、ずっと映画の番宣で
出ずっぱりだろ?ダンスの練習時間削ってでもカラダ休めないと持たないよ」
剛典「ありがとうございます…しっかし直人さん相変わらずキレッキレですね!後ろにいるからめちゃわかる」
ELLY「直人さん、時間あったらスタジオかスタバにいるもんね!」
直人「ELLY!スタバだけ余計」
ELLY「あ!すいませんwww」
パフォーマーのいつもの会話を笑いながら聞いていると、相方の臣がスッとみんなの前に立った。
臣「すいません、俺これから映画のロケがあるんで先に抜けます」
健二郎「え!?臣ちゃん、マジで?まだ一回しか音合わせしてへんのに…」
直人「あー、健ちゃん!先に臣からはスケジュール聞いてたから、急にじゃないんだ。
ごめん!俺の伝達ミス」
臣「健ちゃん、ごめんね。じゃ、俺行きます。後は隆二と音合わせして下さい」
直人「気をつけてね」
メンバー一同「お疲れーっす」
臣はスーッと俺の前へやって来て、くしゃっと頭を撫でて言った。
「じゃあ、後よろしくな。行ってきます」
臣は続けて俺の頭をぐいっと引き寄せ、耳元で呟いた。
「夜にLINEすっから…」
一瞬ドキッとして、メンバーの方を振り向いた。
みんな振り付けの確認に集中していて、こちらを見ていない。
「気をつけてね…」
俺は多分ブスッとした表情をしたんだろ…
「ここは笑って欲しかったな」
臣はそう言って、俺の顎を軽くつねって、怪しい笑顔を浮かべた。
いつからだろう?
相方がこういう行動を見せるようになったのは…
ため息をつきながら、出ていく臣の後ろ姿を見ていると、片耳に装着しているイヤモニから恭介の声が聞こえた。
「スタンバイOKだ」
to be continued…