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大洪水後のシュメール文明 ⑤

2022.11.11 06:51

http://blog.livedoor.jp/melody87/archives/2525857.html 【第10章 大洪水後のシュメール文明】より

熊本県のピラミッド、トンカラリン

 熊本県菊水町に、「トンカラリン」と呼ばれる古代の遺跡がある。地上ではなく地中に延々460mに渡ってつなげたトンネル型の遺構である。エジプトのピラミッドの大回廊8mとトンカラリンの高さも同じなど共通点もいくつかあり、石積みもエジプトのピラミッドと同じものである。

 トンカラリンの周辺からは、変形頭蓋骨が出土している。おでこが平らで、顎(あご)が飛び出している。この形は南米で発掘されたシャーマンの頭蓋骨に見られる特徴で、日本で発見されたのは熊本だけだった。

 またトンカラリン周辺の前方後円墳の江田船山(えたふなやま)古墳からは、ペガサスの模様がはいった刀も出土し、合計92点もの出土品がある。

メンヒル(柱状の巨石)

 当時、人間は氏族集団で暮らし、メンヒル(柱状の巨石)を使った世界的な軌道システムによって、かなりの遠距離を移動していた。生活の糧として家畜の大群を放牧しながら、暖かい季節は海や川や湖の近くで草、木の実、魚などの恵みを享受していた。代表的なメンヒルはイングランド、フランス、ドイツ、ポルトガル、スカンディナヴィアなどに存在する。

 地球にやってきた偉大なる神々は、当時の人間にとっては未知の存在であった。偉大な力で地球を利用した空の神々(アヌンナキ)は、人間の内面に生まれ始めた「自分たちは動物と違う」という感覚のひな型になっている。アヌンナキは彼らの故郷について、さまざまな物語を伝えた。人間には理解できなかったが、はるか遠くから旅してきたことだけはわかり、やがて北方の氷原の上空にある伝説の源へ帰って行くのだと結論づけた。

 そして或る日、アヌンナキが本当に去ってしまうと、毎年春が来て太陽の輝きが増すたびに、人間は北の空をながめて帰還を待ち、彼らの肖像を岩や土偶に彫るようになった。神々は去る直前に、巨大な岩の複合建造物や位置標識の作り方を教えていったので、それによって人間は太陽の旅の終わる位置や、天空における太陽の位置的バランスを知るようになった。しかし、子孫たちは、空からきたアヌンナキがそれらの神殿を造ったと考えたのである。

 アヌンナキは去る前に、月の周期を人間に理解させたいと思った。月が人間の日々の行動を左右しているのがわかったからである。彼らアヌンナキはシャーマンたち(氏族のメンバーで人間とプレアデス人の混血種の者)に相談すると、シャーマンたちは喜んで人間の感情について教えた。アヌンナキは人間の感情の豊かさに驚嘆し、シャーマンのほうでは、ニビル人であるアヌンナキがそれを知らなかったことに衝撃を受けた。

 その瞬間、同じ状況でも、他人が自分と同じように感じているとはかぎらないという認識が生まれ、個別性という観念が出てきた。その経験から、人間は子供たちを観察し始め、各自のユニークさを知って驚くとともに、いったいその違いはどこから来るのだろうと考えた。いっぽう、アヌンナキも感情について学び始めた。

 アヌンナキは月食が起きる時期や、月が昇ったり沈んだりする方角を示すストーン・サークルによって、その周期をたどって行く方法を教えた。人々が月に同調し始めると、シャーマンたちはストーン・サークルを使って「夢時間」に旅し、植物、昆虫、動物、岩のあいだで交わされる交信について知恵を集め、それらの波動が月といかに共鳴しているかを教えた。

 当時、シャーマンとアヌンナキは共同で働いていたが、アヌンナキは時々立ち寄るだけで、氏族の系譜はプレアデスのシャーマン、つまり生まれながらにプレアデスのライトボディー「カー(魂)」を持つ先住民によって守られていた。シャーマンはキノコを持ってストーン・サークルに入り、聖なる植物の精霊とともに旅する方法を教えた。そうした植物の精霊は、地球上の特別な場所について教えてくれた。どの谷も山も川も神聖であった。人間は、そのすべてが発するエネルギーのきらめきに、自分の名前もすぐには思い出せないほどに驚愕したものである。

宇宙船の移動方法と距離と時間

 プレアデス人は、プレアデス星団から地球まで500光年ある距離を7時間でやってくる。飛行機のように目的地が近づいたら速度を落としてゆっくりと飛行場に着陸することと同じように、地球から離れた位置で第三密度の世界に現れ、ゆっくりと近づいてくる。そのために7時間かかる。仮に地球の寸前まで来てから姿を現すと、地球に衝突する可能性が生じる。

 乙女座のウンモ星人の概念では、宇宙は二重構造になっており、もう一つの宇宙は時間が逆に流れている。彼らはそこを通ってあらゆる距離を移動する。それは地球人が地下鉄に乗って移動するようなもので、目的地近くで電車を降りて、第三密度の地上に顔を出すようなものである。そして地下鉄に乗っている間は一瞬にしかすぎない。彼らは飛行するという言葉は使わず、「位置する」や「置く」という考え方をする。座標をコンピューターにインプットしてボタンを押すだけで、行きたい宇宙座標の位置に宇宙船が移動できる。そして地球に近づいたら、別の推進方法に切り替え、普通の飛行をして来る。これは宇宙船の周りに大気と空白域を作って摩擦をゼロにして飛ぶ方法である。

 UFOには無機物としてではなく、生命として意識を持つ存在もいる。それを目撃して意識が覚醒してしまった者も少なくない。

人類の王の出現

 人類同士の争いにより、シュメール(ニビル王アヌが創造した文明)の王都は、ウルク、ウル、アワン、キシュ,ハマジ、マリなどシュメールの主要都市の間をめまぐるしく移動した。人類同士の闘争は、やがてアヌンナキをも巻き込み、さらに拡大していった。人類の闘争によって地が荒廃したため、強力なリーダーシップを持ち、かつアヌンナキと人類の仲介者になりうるような人類の王の出現が待ち望まれた。

サルゴン1世の任命

 紀元前2760年のこの頃、第1のメソポタミア地域で、1人の指導者の下に国々を統一しようとアヌンナキは決め、武闘派の王を望んだ。マルドゥクと敵対するイナンナに、適切な人間を見つける仕事を託した。彼女は、旅行中に出会い愛した1人の強い男をエンリルに推薦した。4つの駐屯地の司令官を父に持ち、高僧を母に持つアルバカドである。エンリルは彼に王冠と笏(しゃく)を与え、シャルル・キン(サルゴン)、“高潔な摂政”として指名した。そして、新しい王権都市が樹立され、アガデ、“統一された都市”と名付けられた。そこは、キシュからそう遠くは無かった。彼はエンリルによって権限を与えられ、イナンナは自分の優れた武器を携えて、彼の戦士たちに同行した。“下の方の海”から“上の方の海”まで、全土が彼に服従した。彼の軍隊は第4の地域を守るため、その境界に駐留した。

 アルバカドとは聖書のアルパクシャドであり、セムの息子の1人である。シャルル・キンはアッカドの最初の王、サルゴン1世である。アガデとは、戦後のニビルの最初の首都の名前であり、その統一された都市に因んで名付けられた。

 マルドゥクは地球人の軍隊を組織して野望を果たそうとしたが、イナンナに選ばれた武闘派の王サルゴン1世は、マルドゥク軍と戦うために選ばれた。

 サルゴン王年代記には、次のようにある。

“アガテの王サルゴン イナンナの時代に権力を得る サルゴンに敵無く、並び立つ者無く その威光はすべての地に及ぶ 東の海を制覇し、西の地を征服する”

 このアッカドのサルゴンはイナンナを、レイプした勇気ある人間の男であった。

“ある日、女王が空を飛び、地球を横切った後、ある日、イナンナがエラムとシュブールと…を横切った後で、神の愛人は疲れ、寝てしまった。私は、庭の外れから彼女を見た。私は彼女に接吻し、体を重ねた。”

 神の愛人とは大神アヌの愛人のことで、イナンナのことである。気付いたイナンナは怒らなかった。むしろ、自分の好みのタイプだった。その頃、シュメールでは遷都(せんと:都を他所へうつすこと)を繰り返し、都市間の争いが発生し、ついには都市の守護神同士の抗争にまで発展していた。そこで、サルゴンを強い男と見込んだイナンナは、シュメールとアッカド全土の王として、彼を推薦することとした。そして、サルゴンはイナンナの変わらぬ愛人となった。

 この時、各都市には守護神がある、という考えだったが、その考えは、古代ギリシャやローマ帝国などにも受け継がれる。

バビロン神殿の建設とイナンナの激高

 マルドゥクはイナンナとシャルル・キン(サルゴン1世)の動向に抜かりなく目を光らせ、鷹のように獲物に襲い掛かった。マルドゥクが天に届く塔を建てようとした場所から、シャルル・キン(サルゴン1世)は聖なる土をアッカドの中心都市アガデに移し、そこに“天国のように明るい物体”を埋め込んだ。この行為に激怒したマルドゥクは、第1の地域のメソポタミアへ急行し、ナブと手下を連れて塔のあった場所にやって来た。「聖なる土は私だけのものだ!神々の門は私が築くのだ!」とマルドゥクは猛然と宣言し、川を迂回させるよう、手下に命じた。

 彼らは塔の場所に堤防と壁を築き、エサギル、“最高神のための家”をマルドゥクのために建てた。ナブは父を讃えて、そこをバビリ、“神々の門”と名付けた。こうして、エディンの中心にマルドゥクは強引に納まった。

 マルドゥクは、事ある毎に激怒している。エサギル=バビロンのマルドゥク神殿は、このようにして強引に建造されたのである。

 イナンナの怒りはとどまるところを知らなかった。彼女は自分の武器でマルドゥクの手下を手当たり次第に殺した。人々の血がかつて無いほど、川のように流れた。ネルガルはマルドゥクの下へ行き、人々のためにバビリを離れるよう、説得した。「本物の天の印が現れるまで、平和的に待とうではありませんか」マルドゥクは立ち去ることを決意し、国から国へと、空から眺めて移動した。その後、ラーは第2の地域のエジプトでアムン(アモン)、“見えざる者”と呼ばれた。アムン(アモン)とは、神話上で追放されたラーのエジプト名である。

■紀元前2700年頃

 この頃、パキスタンのモヘンジョダロは、周囲5kmにも及ぶ大都市であり、巨大な建物が目立つ城塞区と市街区に分かれ、4万人程が暮らしていた。街を東西南北に貫く幅10mの大通りに、小さな路地が直角に並ぶ碁盤上の街並があった。路地に面した建物はレンガでできた二階建ての建物だった。ここではプライバシーが尊重された生活が営まれており、建物は排水溝を持ち、汚水は下水道に流れ込むように設計されていた。またそれぞれの家にはゴミを捨てるダストシュートが備え付けられ、ゴミ集積所や井戸も設置されていた。現代社会のようにある程度高度な都市生活が営まれていた。

 モヘンジョダロのあるインダス文明は、チグリス・ユーフラテス川沿いにあるメソポタミア文明と盛んな交易を繰り返していた。遺跡から発掘される印章は活発な商業活動の証とされている。出土する玩具の数々からも知的水準の高さが伺い知れた。

 モヘンジョダロから出土したパシュパティ神(シヴァ:イナンナ)の印章は、ヨガの姿勢をとっている。高度なヨガの難しいポーズで座る行者が一人描かれており、ウエストが細く、あごひげを生やし、男根を勃起させた半裸の人物で、ぼさぼさの長髪に水牛の角の頭飾りを着けている。ヨガはアヌンナキが伝えたものだった。

 危険な大型獣、野生の水牛、サイ、ゾウ、トラに囲まれている。伸ばした両腕は飾り輪で覆われ、両手は軽く膝に置かれている。深い瞑想状態を示す伝統的な姿勢である。これによってヨガがこの時期既に完成した体系として知られていた事がわかる。ムーラバンダサナは初心者にできる型ではなく、中級のポーズを多数マスターして初めて可能となる型である。

■紀元前2644年頃

 またこの頃、バビロニアに楔形文字が伝わる。楔形文字はウルク文化期(紀元前3200年頃)にシュメール人によって絵文字としての性格が強いウルク古拙文字が発明されたが、長期間繰り返し使われるうちに、次第に単純化・抽象化されて、青銅器時代初頭(紀元前2500年)には約1,000文字のシュメール文字になり、青銅器時代末期(紀元前2000年)には約400文字(ヒッタイト語楔形文字)から約200文字(アッカド語楔形文字)へと変化していく。

■紀元前2510年頃

 支那(中国)では文字が流通され、エジプトでも文字が流行となる。日本では石置の印が流行となる。

■紀元前2350年頃

 メソポタミアのシュメールでは小麦の生産量は40%減り、唯一大麦の生産量だけが安定的な推移をみせていた。彼らが築いた灌漑システムはシュメール文明を強力なものにしたが、破壊も招いてしまった。3000年間の灌漑水が蒸発してしまい、土地奥深くに埋もれていた塩が表面に浮き上がってきた。最終的には日光によって硬化した塩が白く土地を覆い、土は無菌状態になり、小麦は二度と育たなくなった。現代でも地元の人はこの問題に悩まされ、一部の地域では地面にひびが入っている。

■紀元前2300年頃

東日流(つがる)の地震と大噴火

 年を経て、阿曽辺族(あそべぞく)と津保化族(ツボケゾク)の両族は、南平賀川を境界として東西に分け、国域を定めて和解したが、盛田大館安東浦・西浜(青森県の東津軽郡:ひがしつがるぐん辺り)に居住する津保化族(ツボケゾク)が、これに反対したことから再び戦となり、岩木山の麓(ふもと)で戦を続けた。

 その時代の東日流(つがる)は、地鳴や地震が頻発していたがある日突然、阿曽辺族(あそべぞく)の居留地の阿曽辺盛(岩木山)が、天を突くばかりの大音響を発して地割れを起こし、同時に噴火、数百メートルの高さまで大石が吹き上げられて飛び散り、火口からは溶岩が流れ出た。

 阿曽辺族(あそべぞく)の集落はみるみるうちに火の海となって溶岩に閉ざされ、大部分の者が死んだ。津保化族(ツボケゾク)の中にもこの異変に怖れをなし、東日流(つがる)を去る者もあり、残った者は中山あたりに住居を建て、火を噴く山から離れて居住した。

 以来、津保化族(ツボケゾク)の多くは石化に居住し、安東浦(深浦町:青森県西津軽郡)で漁をして暮らしていた。津保化族(ツボケゾク)の狩は馬を走らせて弓で狩り、海では鉛の網を使って漁をし、土を焼いて器を造り、常に火を使った食生活をしていた。

 石を道具として使用していたが、それは研磨したもので刀はよく斬れ、一度使っても捨てることなく、修理しても使えない状態になるまで使った。

 衣類は樹皮や草皮をはぎ、糸を紡いで織ったものをアマンダと言ったが、日常はそれを着用していた。

 熊など大きな獣の皮を、毛のない方を内側にして二枚を合わせ、ふちを縫って袋状のものを作り、その中に入って寝たが、その袋をツトと言った。

 住居は木を円錐状に寄せて骨組みとし、屋根はハツポという煙を排出する開口部を設けた。

 床は建物の円形の内部に合わせて掘り下げて平らにし、外壁は円錐状の骨組みに葦(あし)を葺(ふ)き、その周囲には雨水を排水する溝を施し、家とした。

 このような家をクケ、大きなものはカッチョ、更に大きなものはチヤシ、更に巨大なものはポロチヤシと言った。

 狩に使用する道具は矛(ほこ)、吹矢、刃物、毒針、石斧、投縄、仕掛罠、落し穴、銛(もり)、そり、籠(かご)、焼豆だった。

 海で使用する道具は、筏(いかだ)、丸太船、藻刈棹(もかりざお)、網、釣針(つりばり)、底見箱、銛(もり)などで、今に伝わるものも多い。

阿曽辺族(あそべぞく)のいけにえの始まり

 世界に氷河期が訪れるなどして大地が氷に覆われると、阿曽辺族(あそべぞく)はそれまでのような生活ができなくなった。生き抜く為には工夫しなければならず、頭を使ったことから知覚が発達し、体形や頭脳の働き、身長も伸びた。体をおおっていた毛はなくなり、石を割って矛や刀を造り、それを使って狩りをすることを覚えた。阿曽辺族(あそべぞく)の長は、この技術を代々申し送りして伝えた。一族の暮らしは占いが生活の要となり、その占い師が一族の長となった。

 この時代の東日流(つがる)に起こった地震で生き残った阿曽辺族は、これは神の怒りによるものだとして、噴火の神を鎮めるためにはいけにえを捧げなければならないと、八月十五日の満月の夜にはいけにえに決まった若い娘に飾り付けをして火口に落として捧げ、次には食糧にする鹿や魚を捧げ、三番目には一族が大事にしている首飾りや宝物を落として捧げるという儀式を行った。

 そのいけにえの選定は占い師によって決められ、神のお告げとして家族に伝えられた。阿曽辺族のこのような悲惨、無残な習わしは、津保化族との合併まで続いた。

 一族の神は太陽と海と山で、毎日踊りを踊って崇めた。その踊りは笹竹を輪にして、毛はぎの毛皮を張ったものを打ち鳴らして踊る踊りだった。

 そして寿命は長くはなく、30ないし40歳で終わり、女は10歳で子供を産み、親子といえども成長すれば男女の交わりをし、子孫を残していった。

 女性は結婚すると顔に刺青をし、牙歯(げし)を抜く習わしがあり、男は強ければ多くの妻を持つことができた。

阿曽辺族(あそべぞく)の連絡方法

 阿曽辺族(あそべぞく)の連絡方法には、縄を結んで伝える縄結び伝、石を並べて伝える石置伝、更に煙を使って遠方へ知らせる煙方伝、また丸太を空洞にくり抜いて鳴木とし、それを打ち鳴らして遠距離に知らせる方法をもって一族の安全を警護する一族だった。

紋吾夷士族と葬(そう)

 この阿曽辺族(あそべぞく)と津保化族(ツボケゾク)のことを総称して紋吾夷士族と言った。時代が移り、この紋吾夷士族は身を飾る物も多く使った。飼う鳥獣は犬、鷹、馬で、草や木、魚や虫から薬物やら毒物を採取した。

 そして神を信仰したがその起りは、死への恐怖、天地の異変、水害や火災の難、病気や食の困窮、敵の侵略による殺害、不時の運命の災難、その他生き抜くために心身を悩ませることのない安住の願いから発信したものだった。

 そしてまた始祖人に墓がないのは、紋吾夷士族以来の祖宗(そそう)で、死は新生へ向かうもの、生きている間に生命を断ち食糧とした死体は白骨になるまで山野に放置し、肉は草木への肥料とし、飢えた鳥獣と虫が食糧とした後、残った白骨は石で砕いて粉灰(こはい)として川の流れに流した。

 これが故人が生存している間の飢えた時に、食糧として殺傷した諸生物の精霊に悔い、天、地、水の万物創造万能の神に捧げ奉るという個人の葬(そう)だった。

■紀元前2260年頃

イナンナの冒涜行為

 しばらくの間、イナンナは平穏だった。シャルル・キンの2人の息子は平和を望む後継者だった。そして、彼の孫ナラム・シンが王座に就いた頃、エンリルとニヌルタは第1の地域を留守にして、海の向こうの土地へ行った。ラーは第2の地域を離れ、マルドゥクとして他の土地を旅していた。イナンナは全権力を手に入れることを思い描き、ナラム・シンに全土を奪い取るよう命じた。マルドゥクの領地マガン(エジプト)とメルーハ(古代王国ナビア)に侵攻するよう、指示した。イナンナはエンリルとニヌルタがいない間に、全土を我が物にしたかったのである。

 ナラム・シンは第4の地域のシナイ半島を地球人の軍隊が通過するという冒涜行為を働き、マガン(エジプト)に侵攻して、封印されたエクルに侵入しようと試みた。第1の地域シュメールとアッカドから陸路でエジプトに侵攻するには、どうしても第4の地域、シナイ半島を通過せざるを得なかった。

 このような神聖を汚す冒涜行為と違反行為にエンリルは激怒し、ナラム・シンとアガデに呪いを掛けた。ナラム・シンはサソリに咬まれて死に、エンリルの命でアガデは全滅させられた。地球年にして、1500年のことだった。

 なお、サルゴン王年代記では、サルゴン王がマルドゥクの支配する聖地を冒涜し、民心はサルゴンから離れ、サルゴンは苦悩の中で生涯を終えたことになっている。これなども、マルドゥクによる真実の改竄である。

“サルゴンが犯した神聖冒涜行為に偉大なる神マルドゥクは激怒し、サルゴンの民を餓死で滅ぼした。マルドゥクはサルゴンに罰を与え、民心はサルゴンから離れた”

ア・キ・チ(地球の生命の創成)と新年祭

 そのサルゴンの後継者たちのシュメールとアッカドの王たちの時代には、“聖なる結婚”の儀式とは別に、イナンナは王たちと一緒に新年の祝いの儀式も行うようになった。そして、その王たちを“聖なる結婚”の儀式の掟の中に組み込んでしまった。

 最初の頃は神々だけが集い、アヌンナキの地球滞在記などが生々しく語り継がれており、“ア・キ・チ(地球の生命の創成)”と言われた。王権導入の後、イナンナは王たちをギグヌに招待し、彼女の“性のパートナーの死”を再現し始めた。死ねば、王は交代させられた。これは祭事全体の流れの中に取り込まれた。そのため、王たちはイナンナと一夜を過ごしても、何とかして死なずに済む方法を見つけ出さねばならなかった。そして、これは王の運命だけではなく、来るべき年が豊作となるか、凶作となるのかを占う神事でもあった。

 この祝典の最初の4日間は、神々のみが参加した。5日目に王が登場し、高位の従者を引き連れてイシュタル通りを行進する。王が神殿に到着すると、待っていた高僧が王の印の冠と笏(しゃく)を取り上げ、至聖所の中の神の前に置く。そして、権力の印を奪われた王の顔を、高位の祭司が打ち叩く。それから王を跪(ひざまず)かせ、王が犯した罪のリストを読み上げ、神の許しを求める“償いの儀式”に参加させる。

 次に祭司は、この街の外の死を象徴する穴に王を導く。王は神々が彼の運命を定める相談をしている間、この穴の中に捕らえられている。9日目に王は穴から出て、王の印を返され、再び行列を率いて街に帰る。そして、夜が迫ると体を洗い清め、香水を付けられ、いよいよギパールの館に導かれる。やがて朝になり、イナンナとの夜のセックスを生き抜いたことをすべての民に知らせるために、王はその姿を民の前に現す。こうして“聖なる結婚”の儀式が終わり、王は次の1年間の統治を許され、その地と領民は繁栄の時を約束される。

 このような儀式は、古代近東(北アフリカの地中海沿岸部やシリア地方、イラク地方など)のすべての地域で2,000年以上、情熱と歓びをもって行われていた。聖書の雅歌(がか)にも、“宴の家、アヌギム”での“愛の歓び”として歌われている。このヘブライ語の語源は、シュメール語のギグヌ(アヌのギグヌ)であることは明白である。

 この“ア・キ・チ”は、現つ神(あきつかみ:現人神)の語源である。つまり、イナンナに招待された王を暗示しているわけで、神に選ばれし王、ということである。

 またかつてギパールは神と公式の配偶者が、夜間休むための離れ家だった。少なくとも、エンリルとニヌルタが滞在していた時まではそうだった。しかし、イナンナがアヌとウルクで会うようになってから、イナンナがドゥムジとウルクで会うようになってからは、“一夜を楽しむ密室”ギグヌへと変貌していった。そして、この“新しい利用法”を、他の男神たちが真似るようになった。特に有名なのは、ウルにあるイナンナの父ナンナルのギパールである。ここでは、“イナンナの儀式”において王が演じた役割を、“神の貴婦人=エンツ(シュメール語ではニンディンギル)”が演じた。

 このギパールは、ナンナルの神殿からは近く、ナンナルの妻ニンガルが住んでいた場所からは遠かった。正式な妻以外に、このような“神の第2夫人”を持つ習慣が、初期の王朝時代から新バビロニア時代に至るまで、2,000年以上にもわたって続いた。

 だからと言って、正妻とエンツの間に敵対関係があったわけではなく、エンツが女神ニンガルに贈り物を捧げているように、良好な関係にあった。古代近東(北アフリカの地中海沿岸部やシリア地方、イラク地方など)の王たちは、自分たちの都市に次々とギパールのような館を造り、自分たちの娘だけがエンツになる方策を講じた。エンツはいわゆる“神殿娼婦”とは異なる。神殿娼婦はクアディッシュと言われ、種々の尼僧たちが神殿で行ったが、聖書でも軽蔑的な職業として取り上げられている。この際、実際の神々とではなく、祭司などと交わった。しかし、エンツは神殿娼婦や神々が持つ妾(めかけ)とは違い、子供を産まなかったし、何らかの処置により子供ができなかった。これに対し、普通の妾(めかけ)は子供を産むことができたし、実際に生んだ。

 このような規則や習慣は、神の血統を主張する王たちにとっては、その血統を特殊な方法で証明しなければならないことを意味していた。エンツから子は生まれないし、神の妾(めかけ)の子は正妻の子(神々同士の間に生まれた子)には敵わなかった。様々な王たちが、イナンナを母とする、と主張したのは、このような理由のためと、実際にイナンナと交わったためである。

 ウル第3王朝時代からイシン第1王朝時代にかけ、イナンナは国家祭儀の聖婚儀式で祀られた。この儀式では、儀式参加者たちが聖婚歌を唱和する中、イナンナに扮した高位の女祭司が、配偶神のドゥムジに扮した王と儀礼的に交わる式も含まれていた。

 エンツと神殿娼婦は区別されていたが、後に混同され、更に、男娼(だんしょう)まで出てきた。それを、イエスは激しく糾弾し、十字架に掛けられた。

 そして、この儀式が世界中で豊穣を祈る儀式と結びつき、世界各地で男女の交合が豊穣のための神事とされた。日本でも奈良県の大神(おおみわ)神社の地域や飛鳥座(あすかにいます)神社、尾張の田懸(たがた)神社・大懸(おおがた)神社などで、天下の奇祭として執り行われてきた。そして、王の生死と豊穣の占いが混同され、“神への人間の犠牲”という概念が登場し、後に人間の生贄が出てきてしまったところもあった。

 娘をエンツにしようとしたのは神の御加護を受けるためだが、主たる目的は長寿を授かることであった。神々の長い寿命。ギルガメッシュも望んでいた長寿である。よって、世界中で“不老不死の妙薬”が求められた。

 しかし、後にマルドゥクがバビロニアの主神となると、イナンナはウルクを追われた。これ以後、イナンナは武装した戦う女神となり、ますますマルドゥクとの対立は深まった。バビロニアの王ナブネイドは言っている。

“金の部屋に住む身分の高い皇女、ウルクのイナンナ、引き具を付けた7匹の獅子の二輪戦車に乗った彼女。ウルクの住民は、王エルバマルドゥクの規則により、彼女の崇拝を止めて、彼女の部屋を取り除き、軍の馬具を解いた。イナンナは怒ってエアンナを去り、見えない場所に留まった。”

 そして、新年を祝う儀式もマルドゥク流に変えられた。新年祭はサグ・ム・ク(年の初め)と言われ、7日間続けられた。この間、主従の身分差は無くなり、親は子供を罰せず、通常の仕事はすべて休みであった。新バビロニア時代にはアキツと呼ばれ、春のニサンの月(春分を含む月)の12日間であった。

 祭儀の内容は、次の通りである。

 主神マルドゥクは人民の代わりとして一旦裏切られ、消え去らなければならない。王も、神殿の前で権威を象徴する一切のものを投げ出し、国民の代表として神に1年間の不幸な出来事を釈明し、許しを乞う。すると、ウリガルと呼ばれる主教が王の頬を打ち、大衆の前で説教する。その間、町は灯を消し、人々はマルドゥクを求めてさ迷う。しかる後、マルドゥクの像を華やかに飾りつけ、栄光の“復活”をさせる。

 クライマックスは、神マルドゥクとその妻サルパニトゥムの“聖なる結婚”である。次の1年が平和で豊饒(ほうじょう)であるように祈念し、神に代わって国王が神殿の女祭司と交わった。実際には、用意された奴隷がその期間だけ王位に就き、これが終わると王の身代わりとして殺害されたらしい。

 これは人間の生贄である。また、バビロニアでは性生活は重要な意味を持っていた。性的な節制は不幸の原因になるとして避けられ、性を拒む女性は悪魔の手先とされた。これは性的な退廃で、性的堕落の根源はイナンナである。インダス文明の主神、シヴァは破壊と創造の神で、リンガ(男性器)が象徴だが、まさに、このイナンナの性質そのものである。しかし、マルドゥクによる乗っ取りが行われて以来、本来の神話や伝承が誤解・曲解され、挙句の果て、人類に性的退廃が蔓延していった。更に、そこに人身供犠(じんしんくぎ)などが重なったのが悪魔崇拝、黒魔術、ディオニソス崇拝である。

 聖書で言うところの偶像崇拝の根源バアルとは単に「神」という意味で、主にエンリルのことを指していたが、こういう理由から、後にマルドゥクを暗示する言葉となった。

 イナンナは人類に“聖なる結婚”の儀式という性的に誤った道=左道(さどう)を教えてしまった。そういう意味で、イナンナはサタン、ルシファーの原型の1つでもある。他にもサタン、ルシファーの原型はさっき述べたとおり、マルドゥクの地球人との結婚を機に反乱した火星にいたマルドゥク一派のイギギである。つまり、サタン、ルシファーの原型はイナンナとマルドゥクである。

 イナンナが王たちと一緒に祝った新年の儀式から、興味深いことが言える。高僧が王の印を取り上げ、権力の印を奪われた王の顔を高位の祭司が打ち叩き、王が犯した罪のリストを読み上げ、死を象徴する穴に王を導く。そして、王は9日目に穴から出て、10日目の朝に夜を生き抜いたことをすべての人たちに知らせるために、王はその姿を人々の前に現す。

 イエスはユダヤの王と主張したが、祭司たちが認めず、極刑とした。兵士はイエスの着ている物を剥ぎ取り、赤い外套(がいとう)を着せ、茨で冠を編んで頭に載せ、また右手に葦(あし)の棒を持たせて(以上、王の印)、その前に跪(ひざまず)き「ユダヤ人の王、万歳」と言って侮辱した。唾を吐きかけ、葦の棒を取り上げて頭を叩き続けて侮辱したあげく、外套(がいとう)を脱がせて元の服を着せ、十字架に掛けるために引いて行った。そして、イエスは十字架に掛けられて息を引き取り、横穴の墓に葬られたが、3日後に復活し、40日後に昇天した。

 つまり、イエスの重要な物語は、この“イナンナの新年の儀式”が原型なのである。そして、王が9日目に穴から出て復活し、10日目の朝に民の前に姿を現したことは、「生命の樹」において10個のセフィロトをすべて通過し、最高セフィラ“ケテル”に達して神から知恵を得る、つまり、神から認められることの暗示なのである。

 旧約聖書だけではなく、新約聖書までシュメールの焼き直しに過ぎない。それほど、シュメールの真相は重要なのである。

エンリルに与えられたガルズの預言

 マルドゥクがアムンになった後、第2の地域のエジプトの王権は崩壊し、無秩序と混乱が蔓延していた。アガデが全滅させられた後、第1の地域でも同様だった。王権は「神々」の都市と人間の都市を転々とした。そこで、エンリルはアヌに相談し、王権をナンナルの手に預けた。彼の土地ウルクに、3度目の王権が授けられた。ナンナルは人間たちの“正しい羊飼い”を任命し、ウル・ナンムと呼ばれた。彼は国に安定と反映をもたらした。

 エンリルが夢物語を見たのは、そんな時のことだった。天空のように明るく輝く1人の男が現れた。エンリルのベッドの側に立つと、白い髪をしたガルズだった。彼は左手にラピスラズリの石板を持ち、その上には天空が描かれていた。天空は12の星座によって分けられ、ガルズはそれらを右手で指し示した。彼は牡牛から牡羊へと指を移動させた。それを3回繰り返した。それからこう言った。

「慈愛と平和の正しい時代に、悪行と流血が続くだろう。天空の3つの部分で、マルドゥクの牡羊がエンリルの牡牛に取って代わる。“最高神”を名乗った者が、地球の覇権を奪うだろう。“宿命”によって定められ、かつて無い大惨事が起きる!大洪水の時のように、正しく立派な人間を選ばなければならない。彼と彼の種子によって、“万物の創造主”が意図されたように、文明化した人類が維持されるのだ!」

 エンリルが目覚めると、ベッドの脇にその石板が置かれていた。彼は、誰にもそのことを話さなかった。ただし、天体の大家たちに尋ねることにした。神託の神官ティルフ(テラ)はエンリルに示した。

「ウリム(ウル)にあるナンナルの神殿へ行き、天体の時間を観測されよ。地球の72年が1つの“空の分け前”の長さです。3つの推移を注意深く記録するのです」

と言い、預言された時をエンリルに教えた。彼はアルバカドの孫イブルの子孫で、ニブル・キで6代続く神官であり、娘たちはウリム(ウル)の王たちと異種結婚していた。地球の総督エンリルでさえ、人類の神官に頼るようになってしまった。

 “空の分け前”とは、歳差運度の角度1度に相当する年数で72年。なお、72という数字はルカ書(10章1節)においてイエスが72人を任命し、すべての町や村に2人ずつ遣わされたことの原型である。

 御神託は前兆を探して天を観測することと混ぜ合わされ、後に、次第に対立する神々の両陣営に人類が引き込まれていくにつれて、預言が重要な役割を果たし始めた。言い換えれば、神々のエゴに人類が翻弄されるようになった、人類がそのエゴを背負わされたということである。

アブラハムの登場

 エンリルが夢物語とその前触れについて考えている間、マルドゥクは国から国へと歩き回っていた。彼は自分の最高権力について人々に話していた。自分の信奉者を獲得することが目的だった。“上の方の海”の土地とキ・エンギ(シュメール)の土地の境界で、彼の息子ナブは人々を扇動し、第4の地域を奪おうとしていた。そして、目論見通り、西の住民と東の住民との間で衝突が起こった。王たちは軍を組織し、キャラバンは行き来を止め、都市の周りに壁が建てられた。ガルズが預言したことがまさに起きている、とエンリルは思った。そこで、立派な家系の子孫、ティルフ(テラ)とその子供たちにエンリルは目を付けた。「彼こそ、ガルズが選ぶように言っていた人間だ!」とエンリルは自分自身に言った。

 マルドゥクはあちこちで自分の正統性を主張していた。彼はあらゆる「神々」の上に自分を君臨させ、彼らの力と属性を、勝手に我が物のように語った。これこそがバアルの原型であり、偶像崇拝の原型である。バアルとは、元々カナン地域を中心に各所で崇められた嵐と慈雨の神で、セム語で“主”を意味し、原型はエンリルである。エンリルの住まいは最初、ヒマラヤ杉の森の横、“着陸場所”の近くにあり、そこは後にバアルベクと呼ばれる場所で、イシュクルに与えられた。それを、マルドゥクが乗っ取ったのである。つまり、神話を改竄(かいざん)した。あらゆる神話は、後にマルドゥクによって改竄された。それが神話の人物関係が伝承ごとに異なっていたり、矛盾したりする原因である。他に、言語がバラバラにされたことも、混乱の要因となっている。

 また、マルドゥクの息子ナブは人々を扇動したが、これもマルドゥクこそがあらゆる「神々」の上に君臨する「神」である、と吹聴していたのである。ナブは、神=マルドゥクの言葉を伝える役割である。選ばれた人間へ“神々の秘密”を伝授することが司祭職、すなわち「神々」と人間の仲介者の血統となった。そして、御神託は前兆を探して天を観測することと混ぜ合わされた。後に、次第に対立する「神々」の両陣営に人類が引き込まれていくにつれて、預言が重要な役割を果たし始めた。来るべきことを宣言する「神々」の代弁者をナービー(ナビゲータ)と言うが、これはマルドゥクに代わって、天空の印がマルドゥクの主権到来を示していることを人類に確信させようとした、ナブのあだ名である。それがまさに、この場面である。

 エンリルは夢物語のことは内緒にして、ナンナルに命じた。

「アルバカドがやって来た川に挟まれた土地に、ウリム(ウル)のような都市を築き、ウリム(ウル)から離れてそこに住みなさい。そして、その真ん中に神殿を建て、神官で王子のティルフ(テラ)にそこを任せるのだ!」

 ナンナルはエンリルの命じた通り、アルバカドの地にハランという都市を築いた。ティルフ(テラ)はそこの神殿の高僧となるよう送られ、彼の家族も同伴した。預言された2つの“天体の部分”が完了した時、ティルフ(テラ)はハランへ行った。

 ハランとは、聖書において、ヤコブがカナンから帰る途中、天へ伸びる梯子(はしご)が置かれ、神の御使いたちの昇り降りする天まで達する梯子(はしご)を見た場所である。そこは山の多い土地と幾つかの川で守られたフルリ人の都市であった。神殿と建物は、ほとんど正確にウルに似せて造られている。

 ウリム(ウル)の王座は息子のシュルギが引き継いだが、彼はこの上なく卑劣で好戦的だった。ニブル・キ(ニップル)で自らを高僧として選別し、ウヌグ・キ(ウルク)でイナンナの外陰部を愉しんだ。そして、ナンナルの目を盗んで、山間地から戦士たちを自分の軍に入れ、西部の国々を占領し、“宇宙管制センター”の尊厳を無視した。神聖な第4の地域に足を踏み入れ、何と、“第4の地域の王”を名乗った。

 神聖を汚す行為にエンリルは激怒した。エンキはその侵略についてエンリルに苦々しく話した。

「お前の統治者たちは、あらゆる国境を越えてきた!」

「すべてのトラブルは、マルドゥクが原因だろ!」

とエンリルは言い返した。しかし、エンリルは夢物語については言わないまま、ティルフ(テラ)に注意を向けた。特に、彼の一番上の息子イブル・ウム(アブラハム)に。イブル・ウムは勇敢で、聖職者の秘密に精通した、王子に相応しい子孫だった。“二輪戦車の場所”の昇り降りができるように、神聖な場所を守りに行くよう、エンリルはイブル・ウムに命じた。

 アブラハムは羊飼いではなくて、エンリルから信頼された神官の家系で、しかも王子であった。ティルフ(テラ)はアルバカドの孫イブルの子孫で、ニブル・キで6代続く神官で、娘たちはウリムの王たちと異種結婚していたので、神の血をも受け継いでいる。また、アルバカド=シャルル・キン=サルゴン1世とは聖書のアルパクシャドのことで、セムの息子の1人。つまり、イブル・ウム=アブラハムはニブル・キ出身だが、セムの直系、ニブル・キとウリム(ウル)出身の聖職者で、王族の末裔である。よってアブラハムの子孫とされるヘブライの民は“選ばれし民”とされている。アブラハムに命じた主はエンリルであり、彼の任務は神聖な場所、第4の地域、“二輪戦車の場所”を守ることだった。

■紀元前2250年頃

 この頃エジプト(アヌンナキに征服された)では電球が使われており、デンデラ神殿複合体にあるハトホル神殿には、デンデラの電球と呼ばれるレリーフが残されている。

■紀元前2048年

 堕落したシュルギ王は「神の掟おきてを守らぬもの」および「王の正当性を汚すもの」として告発され、神々の裁きにより死刑判決を受けた。流浪(るろう)の神マルドゥクがヒッタイトの地に出現し、メソポタミア再進出をねらった。マルドゥクの長男ナブが暗躍し、ナンナルとイナンナの領土を侵食した。これに対してエンリルは、75歳のアブラハムにカナン進駐を命じネゲブに行った。アブラハムの任務は、マルドゥク一派の動きを監視することであった。

■紀元前2047年

 シュルギ王の息子アマル・シンがシュメールの第三代王に就任した。アブラハムは、エンリルの命を受けてカナンのネゲブからエジプトに進駐した。引き続きマルドゥクの動きの監視にあたった。

■紀元前2041年

 アブラハムはエジプトからカナンのネゲブへ戻る。

 カナンの地の5人の王が、マルドゥク信仰に基づき塩の海で同盟を結んだ。マルドゥクの復活を恐れたイナンナは、アマル・シン王にカナンの他の5人の王を討伐するよう命じた。 イナンナの命を受けたアマル・シンは、東方の諸王と連合して、カナンの地を攻撃した。アマル・シン王と東方の諸王の連合軍は、カナン侵攻の余勢(よせい)をかってティルムンに侵攻し、宇宙港の支配権をねらった。

 しかしエンリルの命を受けたアブラハムは、アマル・シン王と東方の諸王の連合軍をティルムンから撃退した。この戦争によりウル第三王朝は致命的なダメージを負った。

■紀元前2038年

 アマル・シンは、ティルムンの聖地を汚した罪により、蛇に噛まれて死亡した。アマル・シン王の弟シュー・シンが、シュメール第四代の王に就任した。シュウ・シン王は王国をかろうじて維持したが、各地で反乱が相次いだ。

■紀元前2029年

 シュウ・シン王が退位し、ウル第三王朝最後の王イッビ・シンが即位した。彼の統治時代に、マルドゥクを信仰する西の地の民がシュメール王国に侵入し、そのまま全メソポタミアを席巻した。この結果、首都ウルのみが、イッビ・シン王の支配領域となった。

■紀元前2024年

武装要塞となったシュメールの各都市

 紀元前3600年頃のアヌンナキの来訪により、チグリス・ユーフラテス川流域に神殿/都市文化が形成され、それまで田園生活を送っていた人々が突然、都市に集まるようになった。彼らの感情は新しい形で刺激され、それらの各都市が紀元前2000年ころには武装要塞になった。

 アヌンナキがもたらしたウラニウムが防衛の姿勢を誘発し、武装要塞を作らせたのである。人間はより高い波動に達するためには、その段階を経験しなければならなかった。それは同時に、アヌンナキの自我やアイデンティティが、地球における成長と発達に深く関わっているためである。

 その体験の多くは否定的なものであった。アヌはシリウス人と競争していた。シリウス人はすでに独自の神殿/都市文化をエジプトに配置しており、アヌは嫉妬したのである。ニビルが帰還したあと、シリウス人は壮大な神殿/都市複合体を築き、それがナイル川流域のパワー・ボルテックスをすべて活性化させた。

 また。彼らはエーゲ海一帯にまで活性化の建造物を作っている。シリウス人が人間に働きかけたのは、高次の頭脳活性化が目的だったが、アヌンナキは人間の頭脳を単なるロボット的構造とみなし、人間を労働者として支配するために利用するつもりであった。

 人間はつねにアヌンナキが思っているより利口だったが、シリウス人は常に、人間の潜在能力を深く理解していた。ニビルの視点で言うと、シリウスと太陽は双子の星である。シリウスは三つの部分からなる非常に進化した星系で、エジプトやドゴンなど、アフリカのさまざまな初期文化を通じて地球人に大きな影響を与えてきた。 

 ニビルのアヌンナキは、45万年前に地球を訪れるようになった。シリウス人は人間よりニビル人をよく知っている。よって、シリウス人の言い分を真剣に聞いたほうがよい。それを聞くための手段がエジプトの記録なのである。

 この頃、ウルから旅立って行くアブラハムはシリウス人であった。聖書に出てくる彼の物語は隠れ蓑(かくれみの)だったのである。またなぜあれほどエジプト人が不当にそしられてきたのかというと、すべてアヌンナキが流したシリウス人に対する意図的な悪評の典型である。

 この嘘を見破ることで力は弱まる。このような真実の発見が必要な理由は、「人間が自分の力を取り戻すために必要なのは、自分の物語を再発見することだけ」だからである。人間はまず、感情を侵害され、それに対する反応が体内にパターンをつくり、そのパターンがやがて病気という結果を生む。

 シリウス人たちは、ある種の情報を地球に配置したいのだが、その情報を三次元に置いたあと、その多次元的性質は、電話が電気信号を音に変えるように変換されねばならない。他の次元や星系からきた存在たちが、ミステリーサークルやヒエログリフ(象形文字)などの情報をたえず地球に配置している。しかしその情報は、アヌンナキが捏造し監視してきた人間の過去にまつわる公式と矛盾するので、しばしば破壊されてしまう。

 ニビル王アヌは特にシリウスの情報に腹を立てている。だから今も、古代のシリウスの知恵を守っているエジプトの先住民に、いくつかの遺跡(とりわけギザ高原の地下トンネル群など)の発掘を許さないのである。地球における主要な変換器はスフィンクスの下にあるため、他の星系の存在たちが絶えずそこにいろいろなものを配置し、エジプト先住民が守っている。

放射線を内蔵するための契約の箱

 紀元前2024年に起きる核戦争で、死海はいまのような生命のない水たまりに変わり、その引き金を引いたのはアブラハムであった。

 この頃、ユーフラテス川流域に位置する古代シュメール都市ウルは、ニビルのアヌンナキによって支配されていた。当時ニビル人はシュメール人と呼ばれ、シュメールは今のバチカンのように神権統治であった。そしてウルから派遣されたアブラハムが光輝く元素を入れた小箱を運んでいた。彼はそれが大変危険な元素で、大きな恐れを生むことを知っているので、慎重に守っていた。

 その元素は、ウルの地中深くから掘り出されたが、もともとニビル人が埋めておいたものであった。これが、「ウラニウム(ur -anium)」という言葉の語源である。この種の言葉にどれほど深淵(しんえん)なコード化がなされているか気づく必要がある。人間の創造性の中枢コントロールセンターがある場所は頭蓋骨、つまり「クラニウム(cr -anium)」である。

 ウルは、放射線を保管するためにアヌンナキが選んだニビル人の首都であった。アブラハムの使命は、それをアヌンナキの神殿に配置して、人間の祖先の感情体をコントロールできるようにすることであった。ウラニウムは半減期という過程を経て、徐々に不活性元素に変換していく。このとき配置された力を、ここでは「アヌ爆弾」と呼ぶことにする。放射線はある意味で、アヌンナキあるいはニビル人からの贈り物とも言える。

 アブラハムが放射能の箱を運んでいる様子では、そのウラニウムを使って神殿にアヌの意識を配置し、地球上に新しいレベルのニビル支配を始めるつもりのようであった。こうして、牡羊座の時代の幕開けと同時に父権社会的な意識の流れが起こった。

 牡羊座の時代は、戦争と支配がふさわしい時代であった。ウラニウムは「東方の国々」、つまり中東に配置される必要があった。この地域はかつて深い大海原の下にあり、海底は地中の高温のマントルに近接していた。それが紀元前1万800年の地軸逆転にともない、大陸移動、地殻変動によって海底から浮上したのである。アヌンナキにとってここは、強力なエネルギーを非常に深く致命的な形で配置できる場所であった。

 結局のところ、アヌとアブラハムが配置した感情体の意識によって何が起きたかというと、人間が多くのカルマと多くの体験を味わった。アヌンナキは単純に世界を支配したかった。アヌこそニビルの偉大な父なる神であり、地球はアヌのために選ばれた三次元の領土であった。地球と接触するたび、つまりニビルの軌道が太陽系に入り、ニビル人の宇宙船が地球に着陸したときや、神殿のテクノロジーを使って人間を監視するとき、アヌはただ人間を利用した。

 やがて紀元前2000年ごろ、ひとたび人間が十分自省的になると、感情が目覚めてきた。アヌは当時、感情を持っていなかった。彼は自分の全面的支配から人間が抜け出しつつあるのに気づいた。しかしウラニウムを使えば、マヤ歴の終わりにアヌが太陽系から遠く離れたときでも監視できるのを彼は知っていた。

 アブラハムはシリウス人なのに、アヌ爆弾(ウラニウム)を運んでいた。シリウスもまた放射線の配置に関わっていた。なぜシリウス人のアブラハムがアヌの神殿にウラニウムを配置したのか。

 アブラハムがウラニウムを持ち込んだのは、アヌンナキがシリウス人に嫉妬し、彼らがエジプトに築いた壮大な都市/神殿文化に嫉妬したからである。しかし、アヌンナキの神殿/都市文化はどうしてもエジプトの精妙絶美のレベルに達しなかった。なぜなら、アヌの都市や国家は競争心と嫉妬から生まれたものなので、最終的には必ずソドムとゴモラに発展し、ガイアを破壊する性質を帯びるという、致命的な創造物だったからである。

 それはやがては、地球そのものを破壊する可能性をもっていたので、放射線という限界を内臓しておく必要があった。競争に基づく文化とはそういうものであり、その文化があるレベルの複雑さに達すると、それが必ず活性化するようになっていた。「契約の箱」はソドムとゴモラのレファイム神殿に設置され、核の装置が爆発した。その結果、ついに紀元前2024年にソドムとゴモラは核破壊されたのである。

 アブラハムの真の物語が隠蔽されたために、人類は囚われの身になっている。その物語は、4次元のアヌンナキが人間の現実を支配するためにコード化した媒体なのである。つまり、ニビル人はアブラハムを道具として利用している。「偉大なる父なる神」についてありとあらゆる信念を持っている限り、人間は物語が何を隠蔽しているかを決して見ようとしない。

 4次元の知性たちは、「デーモン、悪魔、怪物、ルシファー、幽霊」と書いた大いなる煙幕を巧妙に張って、輝かしい2次元の元素たちの姿を見せないようにしていたのである。人間はそれにごまかされ、自分自身の癒しに直接導いてくれる教師である2次元の諸元素たちを、否定的に判断し、怖れていたのである。

 今現在、三次元の人間の環境は大量の放射能を抱え、そのためニビル人からさらにアクセスされやすい環境になって、フォトン・ベルトに進入を始めた。アブラハムの時代にも同じようなレベルの「感情汚染」があり、それが元素たちを具現化させた。当時の「感情汚染」は、地球に降りてきて人間を利用した神々に誘発されたものである。

マルドゥクの支配権宣言と恐ろしい決定

 イブル・ウム(アブラハム)がハランを出発するやいなや、マルドゥクがそこにやって来た。彼も神聖を汚す行為を目にしてきたが、それは“新しい秩序”の生みの苦しみだと見なしていた。彼はシュメールの入り口であるハランから最後の突撃を計画し、イシュクルの領地の端に位置するハランから、軍勢の召集を命じた。ハランに逗留して24地球年が経過すると、降りて来た他の「神々」に手当たり次第、マルドゥクは涙ながらに懇願した。彼は自分の非を認めたものの、支配権を強く主張し、こう言った。

「おお、ハランの神々よ、裁きを下す偉大なる神々よ!私の秘密を聞いて欲しい。私はベルトを結びながら思い出すのです。私は神マルドゥク、偉大な神、わが領地エジプトではラーとして知られている。私は罪を犯して追放され、山岳地帯へ行き、多くの国をさ迷った。太陽が昇るところから、太陽が沈むところまで行った。そして、イシュクルの領地へ私はやって来た。24年間、私はハランの真ん中に巣篭もりし、その神殿で神託を求めた。いつまで待つのか、私は自分の支配権について、神官に尋ねた。あなたの追放の日々は終わった、とそう言った。ですから、宿命を定める偉大な神々よ、自分の都に向かって進路を取らせてください。我が神殿エサギルを終の住み処とし、バビリの王を任命させてください!私の神殿にすべてのアヌンナキの神々を集め、私と協定を結んでください!」

 マルドゥクはこのように、他の「神々」に彼の時代の到来を宣言した。

 自分たちに服従を迫るマルドゥクに、アヌンナキの「神々」は動揺した。エンリルはニブル・キ(ニップル)の指導者全員を会議に招集した。エンキとマルドゥクの兄弟たちもやって来た。この出来事には全員が不安を感じ、彼らは皆、マルドゥクとナブに反対した。議会では責める声が蔓延(はびこ)り、部屋中で非難合戦が繰り返された。しかし、

「いずれ来ることは誰も阻止できない。マルドゥクの最高権力を承認しよう」

とエンキだけが助言した。

「牡羊の時代が来るというのなら、マルドゥクから“天と地球を結ぶもの”を剥奪してしまおう!」

とエンリルは怒って提案した。すると、エンキ以外の全員が、“二輪戦車の場所”を壊滅させることに賛成した。そして、エンキの息子ネルガルが“恐怖の武器(核兵器)”を使用することを提案した…。エンキだけが反対し、この事がアヌに伝えられた。アヌは、彼らの意見に同意した。

「運命付けられていることを、自分たちの判断で無きものにしようとしても失敗するぞ!」とエンキは言って、立ち去った。邪悪なことを実行するために、ニヌルタ(アラム・ムル)とネルガルが選ばれた。

禁断の“恐怖の武器”

 エンキは立ち去っても、心の中では笑っていた。武器の隠し場所は、自分しか知らないと思っていたからである。エンリルが地球へやって来る前、エンキは宇宙船操縦士のアブガルと共に“恐怖の武器”を隠したからである。しかし、後にアブガルがエンリルにその隠し場所を秘密裏に教えたことを、エンキは知らなかった。そして、長いこと放置されていたから、武器として機能しないかもしれない、などとも楽観視していた。

 エンキから聞くまでもなく、エンリルは2人の英雄に“恐怖の武器”の隠し場所と、武器を深い眠りから起こす秘密の方法を教えた。エンリルは警告した。

「武器を使う前に、“二輪戦車の場所”からアヌンナキを立ち退かせておくこと。そして、都には危害を加えず、人々も殺してはならない」

 ネルガルは自分の“空の船”で舞い上がったが、ニヌルタはエンリルに引き止められた。彼は、ガルズの預言とイブル・ウム(アブラハム)の選出について、ニヌルタだけに話した。

「ネルガルは短気だ。くれぐれも都市には被害を及ぼさず、イブル・ウム(アブラハム)には事前に警告を発するのだぞ!」

とエンリルはニヌルタに命じた。ニヌルタが武器の場所に着くと、既にネルガルが空洞から運び出していた。それらの“メ”を長い休眠から起こしながら、彼は7つそれぞれにタスク名を与えた。最初のものには“敵無しのもの”、2番目には“赤々と燃える火”、3番目には“恐怖で崩れ落ちるもの”、4番目には“山を溶かすもの”、5番目には“世界の端を探し求めるもの”、6番目には“上も下も誰も容赦しないもの”、7番目には極悪非道な毒(放射性元素)が満たされており、“生き物を蒸発させるもの”と名付けた。

 ニヌルタがその場所へ到着した時、ネルガルは敵を滅ぼし、絶滅させる気満々だった。

「俺は息子(ナブ)を殺す!俺は父(マルドゥク)を絶滅させる!奴らがむやみに欲しがった国を消し去り、罪深い街をボコボコにしてやる!」

 ネルガルは復讐に燃え叫び、激怒して声を荒げた。

「勇敢なネルガルよ、君はそんな公正ではない破壊をして、自分が正しいと言えるのか」

とニヌルタが尋ねた。

「エンリルの指示ははっきりしている。選ばれたターゲットまで私が先導する。君は、私の後からついて来い!」

「アヌンナキの決定は、俺だって知っている!」

とネルガルは返した。

 2人は7日7晩、エンリルからの合図を待った。案の定、マルドゥクは待ち時間が完了すると、バビリ(バビロニア)に戻ってきた。彼は武装し、信奉者たちの前で自分の最高権力を宣言した。それは、地球年で1736年のことだった。

 その日、その運命の日、エンリルは合図を送った。ニヌルタはマシュ山に向けて発ち、ネルガルが後に続いた。山と平原、第4の地域の中心部をニヌルタは見渡した。胸を締め付けられながら、彼はネルガルに信号を送った。「手を出すな!」それから、ニヌルタは最初の武器を空から第四領域ティルムンへ放った。それはマシュ山の頂上を、閃光と共に削ぎ落とし、一瞬のうちに山の内部を溶かした。彼は“二輪戦車の場所”の上に2番目の武器を放ち、太陽7個分の光を放ちながら、平原の岩は血の吹き出る傷口となった。地球は震えて崩れ落ち、天空は輝いた後に暗くなった。“二輪戦車の場所”の平原は真っ黒焦げに砕けた岩で覆われ、平原を取り囲んでいた森はすべて、木の幹が残されて立っているだけだった。「やった!」とニヌルタは自分の“黒い神の鳥”から叫んだ。マルドゥクとナブがあれほど欲しがった管制塔は、彼らから永久に奪われた。

 ネルガルはニヌルタに張り合おうと思い、エルラ、“全滅させる者”になってやろうという衝動に突き動かされた。“王のハイウェイ”を伝って、彼は5つの都市がある緑に囲まれた渓谷へ飛んだ。そこは、ナブが人々を寝返らせた場所であった。ネルガルは、ナブを籠の鳥のように押しつぶしてやるつもりだった。それら5つの都市に向けて、ネルガルは次々に“恐怖の武器”を送り込んだ。渓谷の都市は、炎と硫黄でメチャメチャになり、そこで生きていたものはすべて蒸気になった。凄まじい武器によって山々はぐらつき、海水を塞いでいた場所は閂(かんぬき)が壊れて開き、海水が渓谷へ流れ込み、渓谷は水で満たされた。都市の灰に水が注がれ、蒸気が天に立ち上った。「やった!」とネルガルは叫んだ。彼の心に、もはや復讐心は無かった。

 こうしてアヌンナキ達は核攻撃を行った。すべては彼らのエゴのせいである。それはマルドゥクだけのエゴではなく、ニビルの法では禁じられているマルドゥクの権利を最後まで認めようとしたエンキのエゴ、人類を最初から快く思っていなかったエンリルのエゴ、愛するドゥムジの復活を夢見て性的妄想に浸ってしまったイナンナのエゴ、神々の一員に成りたがった人類のエゴなど、様々なエゴが重なって、このような事態を引き起こした。

 ここまではネルガルとマルドゥクの対立は表立っていなかったが、“罪深い街”という言葉が出るほどなので、よほどマルドゥクのことを恨みに思っていた。聖書の中にも、主が言われた言葉として載っているよ。

“ソドムとゴモラの罪は非常に重い、と訴える叫びが実に大きい。私は降って行き、彼らの行跡が、私に届いた叫びの通りかどうか見て確かめよう。”

 この破壊的な任務を担ったのは、ニヌルタとネルガルだった。聖書では、2人の御使いとして登場する。つまりアヌンナキは神々であるが、天使でもある。よってイエスが神々と共に降臨して来た時、聖書の民は神々を天使軍団と勘違いしたのである。ウツは鷲の翼で飾られ、鷲の紋章を付けていた。これは天使が背中に羽を付けている原型となった。

 ネルガルがターゲットとした場所は、聖書ではソドムとゴモラを中心とする地域である。その場面は次のようにある。

“シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアルが、ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アドマの王シンアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラ、すなわちツォアルの王と戦ったとき、これら5人の王は皆、シディムの谷、すなわち塩の海で同盟を結んだ。彼らは12年間ケドルラオメルに支配されていたが、13年目に背いたのである。

(中略)

 セイルの山地でフリ人を撃ち、荒れ野に近いエル・パランまで進んだ。

(中略)

 そこで、ソドムの王、ゴモラの王、アドマの王、ツェボイムの王、ベラすなわちツォアルの王は兵を繰り出し、シディムの谷で彼らと戦おうと陣を敷いた。(中略)

 ソドムに住んでいたアブラムの甥ロトも、財産もろとも連れ去られた。アブラムがケドルラオメルとその味方の王たちを撃ち破って帰って来た時、ソドムの王はシャベの谷、すなわち王の谷まで彼を出迎えた。いと高き神の祭司であったサレムの王メルキゼデクも、パンとワインを持って来た。彼はアブラムを祝福して言った。「天地の造り主、いと高き神にアブラムは祝福されますように。いと高き神が讃えられますように」アブラムはすべての物の1/10を彼に贈った。

(中略)

 主は言われた。「ソドムとゴモラの罪は非常に重い、と訴える叫びが実に大きい。私は降って行き、彼らの行跡が、私に届いた叫びの通りかどうか見て確かめよう」

(中略)

 2人の御使いが夕方ソドムに着いた時、ロトはソドムの門の所に座っていた。ロトは彼らを見ると、立ち上がって迎え、地にひれ伏して言った。「皆様方、どうぞ私の家に立ち寄り、足を洗ってお泊まり下さい。そして、明日の朝早く起きて出立なさって下さい」彼らは言った。「いや、結構です。私たちはこの広場で夜を過ごします」しかし、ロトが是非に、と勧めたので、彼らはロトの所に立ち寄ることにし、彼の家を訪ねた。

(中略)

「実は、私たちはこの町を滅ぼしに来たのです。大きな叫びが主の下に届いたので、主は、この町を滅ぼすために私たちを遣わされたのです」

(中略)

 主はソドムとゴモラの上に天から、主の下から硫黄の火を降らせ、これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした。ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった。アブラムはその朝早く起き、先に主と対面した場所へ行ってソドムとゴモラ、および低地一帯を見下ろすと、炉の煙のように地面から煙が立ち上っていた。”

 5つの都市がある緑に囲まれた渓谷とは、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイム、ベラ(ツォアル)の王たちが同盟を結んだシディムの谷=塩の海(現在の死海付近)である。そこは、ナブが人々を寝返らせた場所で、イシュクルの領地だった。よって彼らが12年間支配されていたケドルラオメルとはイシュクルもしくはエンリルのこと、あるいは彼らが任命した王で、ナブによって寝返ったことが、13年目に背いた、という表現になっている。

 シディムの谷で5人の王が戦いのために陣を敷いたのは、マルドゥクがさせたことである。いと高き神の祭司であったサレムの王メルキゼデクは、パンとワインを持って来てアブラムを祝福したが、サレムとはエルサレムのことで、ウツが司令官だった。つまり、サレムの王メルキゼデクとは、太陽神ウツあるいは彼が任命した王のことである。ここでも、イエスの象徴である“パンとワインによる祝福”がウツに関連して登場している。

 また、“ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった”という表現では、“塩の柱”とはヘブライ語で“ネツィブ・メラー”で、対応する“塩”を意味するシュメール語は“ニ・ムル”だが、この言葉には“蒸気”という意味もあるから、これは“蒸気の柱”となり、“蒸気が天に立ち上った”ことを暗示していることになる。このように、聖書の場面はかなりの創作が見られるが、それが起きたのは地球年で1736年、BC2024年のことだった。

ソドムとゴモラ

「主はソドムとゴモラの上に天から主のもとから硫黄の火を降らせ、これらの町と低地一帯を町の住民、地の草木もろとも滅ぼした」――『創世記大19章』――

 ソドムを死海南東部に位置する都市遺跡バブ・エ・ドゥラー、ゴモラをこの遺跡に隣接する同時代の都市遺跡ヌメイラとする説がある。いずれも現代のヨルダン・ハシミテ王国のカラク県に位置する。

ソドムとゴモラの遺跡

 死海周辺はかつて青々とした肥沃な平地だった。近くには繁栄した都市がいくつかあり、人口100万人を超える所もあった。調査の結果、湖の南西岸に灰になったソドムの遺跡が発見された。近くには4千年たった今でも認識できる状態の灰と化したゾアルの遺跡がある。

 古代の都市はしばしば正方形の城壁で囲まれていた。現在は長年の雨風によって浸食され、認識できる物はほとんど残っていない。しかし残っている小山は明らかに大昔に破壊された建造物である。

 また最も良い状態で残っている遺跡はマサダのすぐそばで見つかっている。マサダは死海を見下ろす丘の上に建てられた要塞である。湖よりも434m高い地点にある。マサダのすぐ下に、比較的保存状態の良い場所が二ヵ所ある。かつてゴモラがあった場所と考えられている。マサダから眺めると、そこも長い年月と気候による浸食が見られる。しかし周囲の砂漠の風景とは明らかに違うことが一見してわかる。

ここも正方形の城壁で区切られたように見え、正方形の内部にはめずらしい形状のものが多く見られる。それらは自然に形作られたものとは考えにくいものばかりである。調査の結果では、それらが無類の物であることがはっきりしている。

 そして遺跡内に入っていくと、実物大の大きさに驚く。かつては大都市であり、核戦争前は、多くの人でにぎわっていたが、突如として滅亡の時がやってきた。この遺跡から谷間をはさんだところで、広大なカナン人の埋葬所が発見されているが、そこにある墓の数を概算すると、控えめに見積もって百万以上になる。

 死海の北側にもう一つの都市跡が発見されている。ここにはアデマという都市があった。ここにも周囲の砂漠と比べて際立った灰と化した廃墟がある。このあたりも硫黄のにおいがするが、地熱活動は全くない。

 ここでも至るところで硫黄が見られ、また灰も見つかっている。この灰の分析の結果、灰は硫黄の化学反応の副産物である硫酸塩であることが分かった。遺跡から持ってきた硫黄の玉は圧縮された粉になっている。ゴモラで見つかった硫黄は、地熱地帯の硫黄とは明確な違いがあった。分析の結果、ほぼ純粋な硫黄であることが分かった。約98%の硫黄と微量のマグネシウムで構成されている。白い灰は純粋な硫酸カルシウムである。

 地熱活動地帯の硫黄は通常40%以下の純度しかないが、破壊された都市で、その程度の純度の硫黄は見つかっていない。硫黄が白色なのは、一定の時間高熱にさらされたことを示している。

 まとめると、石灰岩すなわち炭酸カルシウムで建設された都市に、火と硫黄が降ってきた。高熱で燃焼した化学反応による主な副産物は純粋な硫酸カルシウムになった。

モジェンジョダロなどその他の遺跡

 この戦争で使用された核兵器によって、インダス文明の古代都市モヘンジョダロは突如として破壊された。4万人が住んでいたこの遺跡で見つかった白骨遺体46体は突然に死がやってきたような状態であり、そのうちの9体には高温で加熱された跡が残っていた。モヘンジョダロは現地の言葉で「死の丘」を意味しており、非常に古い時代に生きた得体の知れない死者が眠る墳丘として、地元民に伝わる禁忌(きんき)の領域となっている。

 またトルコのカッパドキアでも核が使用された。この場所は浸食でできたのではなく、当時の強烈な核戦争で、都市が丸ごと焼け溶けて、更に地盤自体、土地自体が高温の放射能で融解し固まってしまった。現代でもその当時の凄まじい核戦争から土地が回復していないのである。

 さらにインダス文明のハラッパーやイラクの古代の都市でもガラス化した遺物や砂が見つかるなどしているが、これらは高温をつくりだす核兵器が使われた結果である。他にもチェコスロバキアのボヘミア地方、フィリピン、タイ南部、エジプト(アヌンナキに征服された)、スーダン、リビア、アメリカ・テキサス州、オーストラリア、イギリス諸島、ペルーのサクサイワマン遺跡、ブラジルのピアウイ州の遺跡群で、石灰の砂の層がガラス化した層が見つかっている。こういった場所には航空基地があった。ヒンズー教の古代の聖典マハーバーラタにも街が灰とかしたことや、馬が蒸発したこと、死の灰現象など、その時の描写が詳しく書かれている。

神々の誤算と大いなる惨禍

 自分たちがしでかした邪悪な仕事を見渡しながら、2人の英雄は目の前の光景に困惑した。空はにわかに曇り、風が吹き始めた。黒い雲の中で渦巻きながら、“邪悪な風(放射能)”が空から薄暗がりを運んできた。日が暮れると、水平線の太陽を、その薄暗がりが覆い隠した。夜には、おぞましい光が暗がりの縁を取り巻き、月は昇ってくる途中で姿を消した。次の朝になると、西から、“上の方の海”から暴風が吹き始めた。それは、暗褐色の雲を東へと導き、入植地の方へと広がって行った。その雲が到達した場所は、生きているものすべてに情け容赦ない死をもたらした。“容赦しない渓谷”から、閃光によって引き起こされた死が、シュメールへと運ばれてきた。

 ニヌルタとネルガルは、エンリルとエンキに警告を発した。「止められない“邪悪な風”が、すべてに死を運んでいます!」エンリルとエンキは、その警報をシュメールの「神々」に伝えた。「逃げろ!逃げるんだ!人々を分散させろ!身を隠させよ!」「神々」は自分たちの都から逃げた。怯えた鳥のように、彼らは自分たちの巣から逃げ出した。

 国中の人々が“邪悪な風(放射能)”の手中に落ちた。逃げても無駄だった。死はひっそりと、幽霊のように、田畑や街を襲った。一番高い壁も、一番厚い壁も、洪水の水のように通り抜けていった。どんな扉もそれを締め出すことができず、どんな錠も撥ね返すことができなかった。扉に鍵をかけて家に隠れていた人は、ハエのように殺された。通りに逃げた人は、道の上に死体となって積み重なった。咳と痰(たん)が肺を塞ぎ、口は唾と泡で一杯になった。“邪悪な風(放射能)”は目に見えず、人々を包み込むと、彼らの口は血で溢れた。“邪悪な風”はゆっくりと吹きつけながら、西から東へと、平野や山地を移動していった。後には死者と死に行く者が残され、生きていたものはすべて、人も牛も同じように犠牲になった。水は毒に犯され、田畑はすべて植物が枯れた。南はエリドゥから北はシッパールまで、“邪悪な風(放射能)”は国を打ちのめした。バビリ(バビロニア)より南の国々はすべて“邪悪な風”に飲み込まれ、第2の地域の中心部もかすめた。しかし、マルドゥクが最高権力を宣言したバビリは、“邪悪な風(放射能)”を免れた。

錬金術と諸元素

 錬金術のコードは諸元素の変換方法を教えてくれるものである。錬金術の文献において、金は常に大変突出した扱いを受けてきた。金とは、ニビルのアヌンナキが3次元に入るときに通過するポータルを開く金属なのである。プレアデス人はスギライトやサファイアを経由して人間世界に入り、シリウス人はダイアモンドを経由する。人間の3次元領域に入るには、地球外生命体も3次元にならなければいけないので、金はアヌンナキが3次元の世界に具現化するための道具になる。人間が錬金術を怖れるのはそのためである。またアヌンナキは、太陽系内にいないときも地球上の通信装置として金を使う。

 放射性物質は金よりさらに高次元の星の周波数にアクセスするので、アヌンナキは人間をそそのかして不安定元素の実験をさせた。仕組みを理解したかったのである。しかし、人間が現代において自爆寸前になっているわけで、それは過ちだったとアヌンナキは気づいている。制御できない状態の放射能使用は宇宙の銀河系全体を脅かすため、ニビル王アヌは銀河連盟の会議で非常にまずい立場にある。どう援助すれば人間が自分自身にストップをかける決心をするか、誰にもわからない。

認められたマルドゥクの覇権

 “大いなる惨禍”の後、エンキとエンリルはこの大惨事を調査するために会った。エンキは、バビリが免れたことは神のお告げであることをエンリルに言った。

「マルドゥクは最高権力を運命付けられていたのだ。バビリが免れたことが、その証拠だ!」

「“万物の創造主”の御意思だったに違いない!」

とエンリルは言った。そして、エンキにガルズの預言について明かした。

「それを知っていたのなら、何故、“恐怖の武器(核兵器)”の使用を回避させなかったのだ」

とエンキが聞いた。

「いろいろなものを見すぎたのが原因だ。君が地球に来て以来、ミッションはいつも障害にぶち当たった。私たちは妨害を出し抜く方法を見つけた。例えば、我々の任務の最高の解決法だった地球人の創造のようなことが、望まない無数の紆余曲折の源泉でもあった。君が天体の周期を測って星座を割り当てた時、誰がそこに“運命”の手を予見できただろう。私たちが選んだ“宿命”と、曲げることのできない“運命”とを、誰が区別できただろうか。誰が間違った予言を口にし、誰が真実の預言を断言できるのか。それ故、私はガルズのことを胸の内にしまっておくことに決めたのだ…。彼は本当に“万物の創造主”の密使なのか、それとも、私たちの幻覚・幻影だったのか…。どんなことが起ころうと、起きるがままに任せよう、そう、私は自分に言い聞かせたのだ!」

 エンキは頭を垂れて頷きながら、弟の言葉に耳を傾けた。

「第1の地域は荒れ果て、第2の地域は混乱し、第3の地域は傷ついた。“二輪戦車の場所”はもう無い。それが、起こったことだ!」

とエンキはエンリルに言った。

「それが“万物の創造主”の御意思なら、それが我々の地球特命ミッションに残されたことなのだ。マルドゥクの野望によって種は蒔かれた。そこからどんな作物が生じようと、彼が刈り取れば良いのだ!」

とエンリルはエンキに言うと、マルドゥクの勝利を認めた。

「50の地位はニヌルタにやるつもりだったが、マルドゥクにくれてやろう。マルドゥクには、荒廃した第1の地域の覇権を宣言させよう。私とニヌルタだが、彼の行く手を塞ぐつもりは無い。私たちは海の向こうの土地(南米)へ旅立ち、ニビルのために金を入手するという特命ミッションを完了するよ!」

とエンリルは言った。彼の言葉には、失意が感じられた。

過去と未来

「“恐怖の武器”を使わなかったら、別の事態になっていただろうか?」

 エンキは弟に食って掛かった。

「ニビルに戻るなというガルズの言葉に、我々は従うべきだったのか?地球ミッションは、アヌンナキが反乱を起こした時に打ち切るべきだったのか?私は私のすることをして、君は君のすることをした。過去は、もう取り返せないのだ!」

とエンリルが言い返した。

「そこにも教えは隠されているのではないか?」

エンキは自分自身とエンリルに問いかけた。

「地球で起きたことは、ニビルで起きたことを映し出しているのではないか?過去の物語の中には、未来の輪郭が記されているのではないか…。人類は我々の姿に似せて創造された。我々が達成したことや失敗したことを、繰り返すのだろうか?」

 エンリルは黙っていた。彼が立ち去ろうとすると、エンキは腕を差し出した。

「兄弟として、共に異国の惑星での難問に立ち向かった同志として、肩を組もうじゃないか!」

 エンキはエンリルにそう言った。エンリルは兄の腕をしっかりと掴み、彼を抱きしめた。

「また会えるかな、地球で、あるいはニビルで?」とエンキは尋ねた。

「ガルズは、ニビルに行ったら死ぬと言っていたが、本当かな?」

とエンリルは答えると、踵(かかと)を返して立ち去った。

 エンキは1人、後に残された。一緒にいるのは、自分の心の中の思いだけだった。すべてがそうやって始まり、今までのところ、どう結末を迎えたのか、彼は座って思いを馳せた。‘すべては“運命”だったのか、それとも、あれこれ決定したことによって形作られた“宿命”だったのか?天と地球が入れ子状の循環を規則正しく繰り返しているのなら、起こったことは、また発生するのだろうか?“過去”は“未来”なのか?地球人はアヌンナキを真似て、ニビルを追体験するのだろうか?最初にやって来た彼が、最後に去っていく彼となるのだろうか?’

 次から次へと思いが湧き上がる中、エンキは決断を下した。ニビルから始まり、地球での今日までのあらゆる出来事と決断を、記録に残すことを。“未来の世代への道標”となるように。後世の人々が、“運命によって指定された時”にこの記録を読み、“過去”を思い出し、“未来”を預言として理解してくれるように!“未来”が“過去”の審判者となるように!

 エンキは“天と地球が入れ子状の循環を規則正しく繰り返しているのなら”と仮定しているが、規則正しい循環であれば、何も進化しない。螺旋のように上昇する循環でなければ、進化はしない。規則正しい循環は、シンボルで表せば二つ巴(ふたつどもえ)。陰陽が拮抗し、その場で堂々巡りである。これが三つ巴(みつどもえ)となって、初めて上昇する。と同時に、下降も始まる。どちらになるかは、人類次第である。人類はその両方を選択し、あわや下降が上昇を打ち負かすところであった。

 しかし、降臨があって、三つ巴から神宮の花菱へとなった。神の戦車メルカバーとなり、中心に救世主がいて、ようやく完成形となった。つまり、神宮は降臨する神々を迎える宮だった。

 更にそれが4つ集まったのが、縄文以来の封印を守ってきた諏訪大社(すわたいしゃ)である。4つの宮に立つ4本の柱がそれを表し、十六花弁八重表菊紋を暗示していた。御柱(おんばしら)のハシラはアシェラ由来で、それはイナンナの暗示。十六花弁八重表紋菊は元々イナンナのシンボルである。