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テヒマニ

月とひばり(日々の雑感)

2018.03.23 20:16

日が傾きかけた散歩の帰り道、田んぼのなかをのんびり歩いていたら、ひばりのなく声がしました。


春、誰かを求めてかわいらしく鳴く彼らの声は、ちいさなころからなじんだものです。育った土地は、ただただ田んぼと蓮根畑と湖しかなく、とにかく青空が広いところでした。

あぜ道には草花たちがピンクや青・白そして緑の小さな絨毯を広げ、陽ざしはぽかぽかとあたたかいのにほんのちょっと肌寒いのが心地いい。そんな時季によくひばりの声がするのです。

彼らの明るく陽気なその声を耳にすると、うきうきとします。


冬よりもちょっとだけ色の濃くなった青空のなか、いったいどこにいるのだろうと、歩調をゆるめてひばりの姿を探すのですが、なかなか見つからないというのがいつものことでした。


夕暮れ時にひばりの声を聞くのは珍しいなと、立ち止まって空を見上げると、まだ淡い色の三日月のすぐそばを、一羽のひばりが飛んでいました。

小さな点のように見えるその子はせわしなく飛び回っています。朝の鳥といわれるひばりなのにこんな時間まで飛んでいるのだから、私と同じようにちょっとテンポのずれた、おっちょこちょいの子なのかもしれません。

もういいかなと目で追うことをやめて歩き始めると、そのすこし後に声が止みました。さすがにその子も巣に帰る時間だったのでしょう。素敵なパートナーが早く見つかるといいね。そんなことを思いながら私も家路につきました。