人生100年時代の投資術
執筆者:小山英斗
皆さんは平均寿命の本当の意味をご存じでしょうか?平均寿命の意味は「今年生まれた子供が生きられる年数の期待値」ということ。なので今40歳の人が「平均寿命が80歳だからあと40年生きられる」というのは正確ではありません。これに対して「寿命中位数」というものがあり、こちらは「半数の人がこの年齢まで生きる」という数字。この違いをグラフで表したものが厚生労働省のホームページで見ることができます。
上のグラフでわかるように、実は平均寿命より寿命中位数の方が2,3歳延びていることがわかります。厚生労働省の発表では、平成28年の平均寿命と寿命中位数は以下の通りです。
世間ではよく平均寿命の方が言葉的にもなじみがあるため、女性の寿命は87歳とか言われますが、寿命中位数で言えばすでに90歳と考えたほうがいいわけです。またこの寿命は約20年で5歳ぐらい延びています。なので2040年頃には女性の寿命は95歳位までに伸びていると予想でき、男性も含め多くの人が100歳まで生きるのが当たり前になっているのかもしれません。
(資料)社会実情データ図録(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/)
またLISF SHIFTという本がありますが、その中で日本の2007年生まれの子供(今11歳)の半数が到達する年齢はなんと107歳としています。
そんな時代を迎えようとしているのに、今の日本ではまだ多くの企業は定年を60歳としています。それでも高年齢者雇用安定法の改正によって60歳まで雇用されていた人は希望すれば65歳までは継続雇用制度により働く機会を得ることができるようになりました。これは年金支給開始年齢が65歳まで引き上げられたことにも連動しているかと思いますが、なにより日本人の平均寿命が延びたことが一番の要因かと思います。
人生100年時代では、これまでの単線的なシングルステージの人生(教育 → ひとつの仕事 → 老後)から、これからは100歳まで走り抜くためのマルチステージ(教育 → 複数の仕事・自分探し・新たな教育 → 老後)の生き方が必要になるでしょう。
そこで必要になる人生における投資は以下の5つと思います。なお、ここでの投資とは、なにも「お金」をかけることだけではありません。自分の「時間」を使うことも投資です。
①健康への投資
なにをするにおいても健康が活動の土台となります。
②自分探しへの投資
自分が人生で本当にしたいことはなんですか? 本当にしたいことは、体験・経験を重ねることでだんだんと明確になっていきます。つまり多くの体験・経験をし続けることにゴールはありません。
③複数の仕事(収入)を持つための投資
仕事も経験を積むことで、自分の向き不向き、やりたいことが明確になっていきます。そして自分の強みをコアにおいて、そこから広がりを持たせて様々な分野の仕事を持つことは、生涯にわたって生活の安定基盤になります。
④資産運用への投資
日本人は欧米の人たちと比較して金融リテラシー(知識・経験)が低いと言われています。その結果のひとつとして、ここ30年の間に欧米の個人金融資産がおよそ5倍から6倍に増えたのに対し、日本人の金融資産は2倍程度にしか増えていません。これはその資産の多くを預金にしている日本人に対し、株等の投資資産の比率が高い欧米人との差だと言われています。
⑤人脈への投資
新しい仕事にチャレンジしようとするときや、新たなことを学ぼうとするとき、それを助けてくれる人脈を持っているかどうかが人生に大きく影響します。
未来が見えるね研究所では「100歳まで走り抜くためのマルチステージの生き方」を今後も研究テーマにしていきたいと思います。そして5つの投資について具体的な実践方法を掘り下げていきます。
未来が見えるね研究所 代表 小山英斗