朧月夜 ~音楽に見る濃淡の妙~
G-clef Presents mov.37 : ♪非日常空間♪ Salon G-clef Concert 第13弾
2018/4/15(日) 13:30~15:30
晴れ男!
前日からの春の嵐で当日の客足も危ぶまれたが、未だかつて雨に見舞われた本番はなく、この日も開演3時間前には打ち切ったように雨が上がり、傘を持たずに来られたお客様の姿も。ただ沿線(それも隣駅!!)で事故があったらしく運行見合わせ等、遠方からのお客様の到着それ以前にピアニストの到着に若干ドキドキはらはらしながら、それでも何とか無事、開演することが出来た。
悔いは残るが
今回は自身のコンディションに最後まで不安が残り、これまでのように国別に解説を入れて演奏を細切れにするのではなく、西洋歌曲に関しては9曲ぶっ通しでの演奏に変更した。それでも音の抜けは悪いし、デックングはしてるし、力みすぎて逃げに走っているところもあり、完成度としてはかなり低い。何より小声唱法何処行った?! と言わんばかりに始終声が汚かったのが残念で悔やまれるが、過去にもそうだったように、自身が相当悪いと感じる時ほど傍目(傍耳?)には然程悪くなかったりするもので、今回も実は演奏の映像を見る限りでは、思ったほど最悪な出来ではなかったようである。歴代の4月本番にしてみれば、よく歌えたほうでないか。
内容的には昨今のレクチャーコンサート色濃厚で、今回は『同一詩人による複数の作曲家作品の違い』をメインに、唱歌の参考とされた西洋歌曲との聴き比べなど、皆さんにも新鮮な発見を提供出来たようで、そういう面に於いては満足のいく本番が出来たようでひとまず満足。
実感型・人体の不思議展
言い訳するわけではないが、良いも悪いもひっくるめその時の状態込みで観て聴いて感じていただくのが当演奏会のある意味醍醐味でもあり、その点ではしっかりと役目を果たせたようである(と良い風に捉える超ポジティブさ!)。大学時代の憧れの先輩にも声変わり以降初めて聴いていただくことが出来、ド緊張ながらも感無量であった。ちゃんと声量もあるし、昔より自由に歌えていると感想を戴き、何より未だにソプラノで歌えていること・更に低音も使えていることに人体の不思議を実感していただけたのは、今後の自信と更なる発奮に繋がった。
歌い続ける原動力は
何があろうと歌い続けてきたこと、兎に角歌うことが好きで辞められないことは、今歌えていることに直結するし、これからも恐らく続いていくだろうし続けていくということを、今日改めて実感した本番になったと思う。それは正に、聴いてくださるお客様あっての事。声変わりよりずっと以前から通い続け、変化の歴史を一緒に辿ってくださるお客様、その事実を知って新たに興味を持たれた方、聞いた事のない言語や音楽に惹かれて来てくださる方など、恐らく一般的な演奏会の客層とは一味も二味も違う個性も感性も豊かなお客様あっての Salon G-clef である。
余談だが、以前金沢遠征した際に夢二記念館で購入した「竹久夢二『セノオ楽譜』表紙画大全集」という画集が今回大活躍した。実は「宵待草」の他に、ドイツ歌曲「蓮の花」の表紙画が収録されており、当時の日本に於ける西洋音楽の普及の一片と共に、その贅沢な装丁を皆さんに見ていただく機会も作り、音楽を別の面からも楽しんでいただけた。
ご来場、誠にありがとうございました!
【当日のプログラム】
唱歌:----------
♪さくらさくら
曲:橋本国彦編
詩:日本古謡
♪夏は来ぬ
曲:小山作之助
詩:佐佐木信綱
♪港
曲:吉田信太
詩:旗野十一郎
♪茶摘
曲:不詳
詩:不詳
♪鯉のぼり
曲:弘田龍太郎
詩:不詳
♪こいのぼり
曲:小出浩平
詩:近藤宮子
♪朧月夜
曲:岡野貞一
詩:高野辰之
♪しゃぼん玉
曲:中山晋平
詩:野口雨情
♪背くらべ
曲:中山晋平
詩:海野厚
♪早春賦
曲:中田章
詩:吉丸一昌
日本歌曲:----------
♪宵待草
曲:多忠亮
詩:竹久夢二
♪さくら横ちょう
曲:中田喜直
詩:加藤周一
♪さくら横ちょう
曲:別宮貞雄
詩:加藤周一
伊太利亜古典歌曲:----------
♪Sento nel core 私は心に感じる
曲:スカルラッティ
詩:不詳
♪Sento nel core 私は心に感じる
曲:ドナウディ
詩:不詳
♪Nel cor piu non mi sento もはや私の心には感じない(うつろの心)
曲:パイシェッロ
詩:不詳
独逸歌曲:--------
♪Sehnsucht nach dem Frühlinge 春への憧れ
曲:モーツァルト
詩:オーヴェルベック
♪Die Vögel 鳥
曲:シューベルト
詩:シュレーゲル
♪Die Lotosblume はすの花
曲:シューマン
詩:ハイネ
露西亜歌曲:----------
♪Ах ты, душечка, красна девица ... ああ、いとしの麗し乙女
曲:グリンカ
詩:民謡詩
♪Не пой, красавица! 歌うな、美しい娘よ!
曲:ラフマーニノフ
詩:プーシキン
♪Не пой, красавица! 歌うな、美しい娘よ!
曲:リムスキィ =コルサコフ
詩:プーシキン
アンコール:---------
♪丘を越えて ~映画『姉』主題歌
曲:古賀 政男 [編:髙岡康平]
詩:島田 芳文
ピアニスト:島田 稲子
昔着ていたドレスは、毎回こうして飾って皆さんの話のネタに。これが結構盛り上がるんだな。