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薔薇と脳髄の向こう

青春という。

2018.03.26 03:53


冬籠り、春さり来れば。


桜は二部咲き程だっただろうか。


速度の遅い電車が山の間を縫うように小さな振動とともに走る、長閑な場所だったと、記憶している。

山と山の間の、朽ちの足音がゆっくり忍んでくるような、そんな木造の校舎に、僕たちは居た。


木漏れ日と一緒にてんとう虫が教室の中へやってきて、女子達は驚いて逃げてた。箒とちりとりで追い出して、それでやっと再び休み時間の安らかな時間が戻る。

剥がれかけた掲示物を誰がなおすわけでもなく、古びた机も椅子も誰がいやがるわけでもなく。僕たちにとってはそれがきっと当たり前だったから。


ずっとこのままなんじゃないかと思うくらい、平穏で慣れ親しんだ時間だった。

でも確実に僕たちは、永遠の終わりに向かって歩いて居たんだ。


部活に行く友人の背中を見送って、黒板を消す友人のスカートの裾に目が行って、ベランダではあの子達が話をしていて。

毎日、そんな感じだったから、余計に終わりを想像できなかった。


はるいろが、僕たちを優しく包んでいた。


忘れないように、忘れかけていたあの頃のいろを思い出せるように、僕は今こうして文字に起こしている。


先生の死角に入るように前の友人の背中に隠れて授業を受けた。

昼食はいつもベランダで食べてた。

テストは、やる気がなくていつも寝てばかりだった。

テスト前に消しゴムを友人に貸した。

野菜ジュースが、クラス内で流行ったっけな。



なんて事ないはずなのに、思い出して、もう戻らない時間に焦がれる。

でも確かに、僕たちは、あのクラスで青い春を過ごしていたんだ。